詩乃が話し終わってすぐ、姫華と善が急いで中に入ってきた。執事がやって来て二人に玲凰が呼んでいると伝えたので、何かあったのではないかと思い、彼らは急いで駆けつけてきたのだ。「お母さん、お兄ちゃん、何かあった?」姫華は二人のほうへ歩きながら尋ねた。両親と兄の深刻そうな顔と、母親が何かの資料を手に持っているのを見て、姫華はまっすぐに母親の隣に来て座った。そして、母親の手からその資料を取り、続けて尋ねた。「お母さん、これなに?」善も心配そうに詩乃を見つめていた。彼は玲凰から近いところに腰をおろした。姫華の隣も空いていたが、詩乃はまだ彼への態度が少し良くなっただけで、受け入れてはいないから、善は詩乃がいる前で姫華のすぐ隣に座るのは避けた。「大丈夫よ、お兄さんが柏浜の黛一族について調査してくれたのよ。それを整理した資料を持って帰って見せてくれたの。あなたは桐生さんのお宅にいたのでしょう?内装は進んでいるの?」詩乃は善をちらりと見てから娘に尋ねた。姫華はその資料を見ながら返事をした。「お兄ちゃんが私と善君に帰ってこいって言ってるって聞いて、何かあったのかと思って急いで帰ってきたのよ」詩乃は笑って言った。「なるほどね、おかしいと思ったら、それで二人が一緒に来たのね」詩乃は突然、娘と善が一緒になるのを受け入れるのも、良いことだと思った。善は確かにA市出身だが、彼は今星城に家を持っているし、内装中の屋敷も神崎家のすぐ隣にある。こんなに近いのだから、家で何かあった時には二人に声をかけたら五分もせず、すぐに帰ってこられる。もし二人が本当に結婚して一緒に暮らすようになれば、姫華は毎日何十回でも実家に帰ってくることができる。「内装はまだ完全に終わっていません。僕も焦っていないんですよ。業者にはゆっくりでも細かいところまできちんと工事してもらえればいいですから」内装についてそう返事をしたのは善だった。あそこは彼と姫華が一緒に暮らす家だ。だから絶対に少しも気を抜かず最高のものに仕上げなければならない。細かいところをどのような内装にするか、材料は何を使うのか、彼は全て姫華と相談した。庭のどこに木や花を植えるのかも姫華の意見を取り入れた。つまり、全て姫華の好みに応じて工事している。善が彼女のためだけにつくる家だからだ。彼女に気
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