All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 2031 - Chapter 2040

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第2031話

「玲さん、気に入ってくれました?垂れ幕に書いてある言葉は全部俺の本心です。決してからかっているわけではありません」奏汰は愛おしそうな目つきで彼女を見ていた。玲は背を向けて去ろうと思ったが、二歩ほど進んでまた立ち止まり、振り返って奏汰に言った。「あの垂れ幕をさっさと外せよ!」「なんでですか、あれは玲さんへの愛を綴ったものですよ。俺があなたに言いたい事を書いてあるんです。直接言おうと思っても、聞いてくれないじゃないですか。だから、ここに垂れ幕をさげておけば、毎日あの言葉を目にして、俺のことを気にし始めるかもしれないでしょう?」玲は暫く彼を睨みつけていてから、再び背を向けて去っていった。玲は奏汰をどうすることもできない。この男は本当に恥も何もかも捨てている!あの結城家がどうしてこのような恥知らずを輩出したのだ?「玲さん」奏汰がすぐに追いついて、彼女の腕を掴んだ。玲のボディーガードはそれを阻止しようと思ってもできなかった。彼らは奏汰とやり合ったことがあり、奏汰の喧嘩の腕はかなりのものだと知っているのだ。本気で止めようとしたところで、それは無理なはずだ。それに、玲は奏汰に対して対処のしようがなく、完全に呆れかえっているが、実際には奏汰と本気で争っているわけではないと彼らもわかっている。それに玲の両親も奏汰のことを気に入っている。玲は力を込めて奏汰の手を振りほどき、冷たい顔を向けた。「結城社長、自重しろって言ってるじゃないですか!あんたはそれ以外に言える話はないんですか?」奏汰はニヤニヤと笑った。「俺たちは男同士じゃないんです?男が男の手を引いたところで、別にどちらも損はしないでしょう。ここまで来たんだし、うちで食事でもしていってください。奢りますから」玲は冷ややかな声で拒否した。「結構です!」「一人で食べても美味しくないです。一緒に食べましょう。玲さんが好きな料理しか頼みませんので」そう言いながら、奏汰は再び玲の手を引こうとしたが、玲に素早く避けられてしまった。しかし、玲はまたすぐに、図々しい奏汰に強引に手を掴まれてしまい、ラグジュリゾートのほうへと引っ張られていった。玲は奏汰に連れられる形で歩きながら、低い声で命令した。「結城奏汰、手を放せ!」「嫌です。できるなら俺を殴って倒してみれ
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第2032話

奏汰は振り向いて玲を見つめた。完全に彼女をからかっているらしい。「玲さん、あなたが腹を立てているのを見ていると、楽しいです」奏汰が周りの目を気にせず、彼女を口説き始めた時の彼女の反応を見て、彼はとても面白いと思った。もし、玲がなんの反応もしなければ彼は早々に諦めていただろう。彼は無反応な相手には興味を抱かない。玲がそうでなくて良かった。「結城社長!」突然、後ろから大きな声がした。奏汰と玲は立ち止まった。二人は奏汰を呼んだ人物のほうへ振り返った。女が勢いよくホテルに入ってきて、殺気立った様子で奏汰の前にやって来ると、玲の手を引く奏汰の手をバシンッと叩いた。若葉だ。奏汰がラグジュリゾートホテルに垂れ幕をさげ、また人目をはばからずに玲に愛を告白したという知らせを受け、確認しに現場に駆けつけたわけだ。到着してすぐに奏汰が図々しくも玲を引っ張ってホテルに入って行くのを目撃してしまった。若葉の想い人は奏汰の立場を考慮して、彼に強気の姿勢でいくことができずにいるので、若葉は相当頭に来ている。そして我慢できずに大声で叫び、玲を救い出そうとしたのだ。どうせ彼女は今黛家の後継者ではなくなった。だから玲への気持ちを抑える必要もなくなり、堂々と追いかけても別に構わない。奏汰は男なのに、周りの目も気にせず玲を口説いているのだから、何も恐れる必要はないはずだ。若葉も護身術を習ったことがあるが、大したレベルではない。しかし、それでも普通の人に対してであれば、力はある程度あるが、奏汰のように本当に武術を極めた者にとっては蚊に刺されたくらいでしかない。玲を引いている奏汰の手を外すことができなかっただけでなく、奏汰から警備員を呼ばれてしまった。「その女を追い出せ。今後は二度とこのホテルに入れるなよ!」するとすぐに警備員が若葉を担ごうとした。若葉はそれを避け、甲高い声で叫んだ。「あんたね、私にこんなことしていいと思ってるの?私は黛家の次女よ。みんながあんたを恐れても、私は全く怖くないんだからね!実力があるなら、私たちと公平に勝負しなさいよ。そんなふうに白山社長に無理強いして、それが実力だとでも言いたいわけ?」奏汰は警備員に動かないよう合図し、嘲笑うように言った。「黛家の次女だからってなんだ?それにお前は本物の黛家の次女か?一族か
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第2033話

このゴシップニュースが全柏浜に伝わった。玲を恋い慕う女性達は、全員奏汰に歯がゆい思いをしていた。そしてみんなで協力し合い、奏汰に対抗したいと思っているのだが、彼女たちの家族から彼を怒らせてはならないと注意されてしまった。奏汰は表向きは穏やかな様子だが、実は中身は腹黒だ。微笑みながらひどい事を平気でするタイプである。だから女性たちがたとえ手を組んでも、奏汰の相手にもならない。豪華な個室には十人以上が座れる大きなテーブルがあるが、そこには奏汰と玲の二人だけしか座っていなかった。そしてテーブルの上には豪勢な食事が並んでいるわけではなく、二人分の量があるだけだった。それから高級なお酒が二本あった。白山家のボディーガードたちはその隣の部屋で食事をとった。もちろんそれも奏汰がご馳走している。彼らは将来妻となる女性を守っているのだから、好待遇をしている。「玲さん、これ食べてみてください。ここにあるのは全部あなたのために俺が作ったんですよ」奏汰は玲にスープを注ぎながら、褒めてくれと言わんばかりだった。「もう長く誰かに料理をふるまったことはないんですよ」玲は口を引き攣らせて言った。「それでは、私は本当にラッキーですね」奏汰自ら腕をふるった料理が食べられるのだから。「確かにその通りです。うちの両親ですら俺が作った料理を味わう機会が少ないんですよ。うちのばあちゃんがどうしても食べたいって言ってきた時に、腕をふるうんです。うちの兄弟、従兄弟たちはみんな料理ができます。これはうちの祖母の要求ですからね。理仁兄さんだって料理が上手なんですよ。彼は当初身分を隠して唯花さんと接していた頃、よく料理をしていました」玲は奏汰を見ていた。「そんなに見つめないでくださいよ。俺は超イケメンなんで、周りが俺たちのことをどう思おうが気にしなくていいですから。俺たちの間柄については、あなたも俺もよくわかってるんだし」つまり、奏汰は玲が女性だということを知っているという意味だ。玲自身も自分が本当は男ではないとよくわかっている。だから二人とも、この状況がよく理解できているわけだ。「さあ、俺が作ったスープが美味しいか、口に合うか試してみてください」奏汰はスープが入った器を玲の前に置いた。玲は少し黙っていてから、結局はそれを手に取り、
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第2034話

「あなたはさっきあのように黛若葉に言っていましたが、それでは彼女と凪さんの確執を深めるだけですよ」この時、玲が突然そう言った。「今、黛家は表面上は穏やかな一族のように見えますが、水面下ではそうではありません。あなたが彼女と凪さんの間に無駄な火種を投げつけては、たださらなる混乱を招くだけです」奏汰は恥もなにもかも気にせず玲を口説いているが、そもそも彼は教養のある人物だから、容易く誰かに対して気性を荒立てるようなことはしない。あのパーティーの夜に口舌戦を繰り広げてライバルたちを打ちのめした時も、口汚い言葉は吐かなかった。そして彼女たちはこの男はすごいと実感し、怒ることができなくなった。しかし、若葉相手には、奏汰は突然別人のように変わってしまう。奏汰はケラケラと笑った。「俺が彼女たちの関係を刺激しなくても、お互いにおとなしくはしていないはずです。あの夜のパーティーでわかりましたよ。凪さんは黛家の中では孤立している。家族はみんな次女のほうに味方していますね。当主は凪さんという実の娘のことは別に大事にしていないようです。でも、彼女に与えられるべき権利はきちんと与えている。それをしっかりと掌握できるかが彼女にかかっているでしょう。当主はどちらかというと次女のほうへ気持ちが傾いている。まあ、それも小さい頃からずっと育ててきた娘ですからね。当主だって、まさか自分が生んだ娘がすぐ取り替えられたなんて知らず、ずっとあの次女を本当の娘として育ててきたんですから。ですが、冷静な部分が当主を実の娘である凪さんのほうへ立たせている。黛家の当主の座を血縁者以外に譲るということは決してないでしょう」そして、当主の息子たち、その嫁たちも何かと画策している。本物と偽物の二人が争い合って、共倒れになった時に、自分たちが美味しい所を持っていこうと思っているのだ。唯花が神崎夫人のところに事実確認をしに行ったと、理仁から聞いたのを彼は思い出した。詩乃は妹と一緒に八歳の時に児童養護施設にあずけられた。年齢が低く、自分の家族に関することはあまり覚えていないが、鮮明に記憶していることもあった。例えば、彼女たち姉妹の母親はとても忙しかったという事だ。詩乃は幼い頃、周りからお嬢様と呼ばれ、二人の叔母がいたらしい。そしてある日、彼女たちの両親と他の家族が出かけた後、二度と戻
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第2035話

「玲さん、俺はそういうあなたの正々堂々と闘う姿勢が好きなんですよ」奏汰は玲を褒めた。玲は淡々とした口調で言った。「負けるのには必ず原因があります。その原因を追究し、改善していけば、必ずいつか勝てるでしょう。だけど、別に勝ち負けにこだわっているわけではないです。ビジネスのせいでまるで仇のように争いたくないんです」ビジネスの場において、永遠に仇など存在しない。しかし、利益目的での友人関係はあるだろうが、本当の意味での友人関係を築くこともできはしない。その点、玲はよく理解していた。「星城の神崎夫人が前任の当主の娘だと確認したんですか?」「その証拠はまだ掴めていませんが、十中八九確実だと言えますね。黛家の歴代を見るからに長女は特にすごい人物になる。神崎夫人は全くそれに当てはまります。彼女は今はもう現役を退いていますが、その前は星城のビジネス界を大きく動かしていた人物ですから。祖母は彼女を非常に評価しています。神崎夫人が若かった頃、祖母が気に入り、結城家の嫁として来てくれないかと考えていたそうです。でも、神崎家に先を越されたんですよね。まあ、当時神崎夫人は神崎グループで働いていましたから」玲は自分でまたスープを器についで、低く沈んだ声で尋ねた。「神崎夫人はお元気で、妹さんもご健在ですか?」「神崎夫人はとても元気ですよ。妹さん、つまり唯花さんの母親ですが、すでに十六年前に他界したそうです。唯花さんが十歳の時に」玲は食事をする手を止め、言った。「前任の黛家当主も悲惨な運命を辿った方ですね。とても妹のことを可愛がり信頼していたそうですが、妹に殺されてしまった。そして彼女の二人の娘は今、一人しか残っていないなんて」「唯花さんの母親こそ、不幸な運命を辿った方です」すると奏汰は唯花姉妹とその母親の話を玲に教えた。玲は言った。「あなたの従兄と唯花さんの恋愛物語は俺も知っています。結城家の後継者が結婚していたというニュースが出回ってから、世間にかなりの衝撃を与えていましたからね。星城だけでなく、隣接する都市のビジネス界でもかなりの騒ぎになっていたんですよ。娘のいる多くの家庭が、政略結婚させたいと彼を狙っていたんですよ。それが結局、いつの間にか名前も知らない女性と結婚していて、しかもスピード結婚だった。唯花さんの家庭背景なども全て根掘
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第2036話

俊介が命の危険から脱した事を奏汰はまだ知らない。それに彼もあのクズ男の生死などどうでもいい。ただ、佐々木家の全員が後悔してやまないということだけ知っている。「クズ男の母親と姉はいつも唯月さんとあいつを復縁させようと考えています。彼女は馬鹿じゃない。ようやく地獄から抜け出したというのに、またそこに戻るわけがないですよ。彼らが後悔したのは、唯月さんが離婚してからどんどん暮らしが良くなっていっているのを見たからです。あの不倫相手だった女はクズ男と結婚してから子供は生んでいなかった。本当は妊娠していましたが、自分で転んで流産してしまったんです。それも報いでしょうね。以前、良い行いをすれば自分にも良い事が返ってきて、悪い事をすれば同じ目に遭うと聞いたことがあります。そしてその報いは必ずいつかは訪れるって。俺はただ言葉でそう言っているだけだと思っていましたね。本当に誰もが報いを受ける運命なら、悪事を働く人間がここまで多いわけないでしょう。でも、佐々木家の結末を見てから本当に報いというものはあるんだと信じるようになりましたね」俊介一家の結末は、奏汰が見た中でもフルスピードで報いを受けた例だ。玲はその話を聞いた後、痛快だった。そして彼女は言った。「離婚して良かったですね。唯月さんが子供のために我慢して離婚しないのではないかと思っていました。夫が不倫した家庭では女性が子供を悲しませないように、声を出さず我慢している場合が多いです。俺はそんな選択は見ていられませんね。不倫した男は、つまり妻に嫌気がさしている。もう愛情がなくなったんだから、いくら泣き喚いてもさらに夫が嫌悪感を増すだけでしょう。それならいっそ夫を自由にさせたほうがいい。だけど、離婚する時には、法で定められた自分の財産は必ず勝ち取らないといけませんね。クズ男と女の良いようにはさせてはダメです。唯月さんのお子さんの親権はどちらに?」「それは唯月さんです。実を言うと、彼女が離婚する時に、理仁兄さんが裏で圧力をかけていなければ、裁判までいく必要がありました。それでは結婚した後の共同財産を公平に勝ち取れるかわからなかったんです。あのクズ男は彼女に隠れてかなりの額を父親名義にして貯蓄していたんですから」玲は少し黙ってから言った。「それはそうでしょうね。男女平等を唱えるようになってから数十
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第2037話

奏汰はすぐにケラケラと笑って言った。「玲さんはお目が高い。うちの男たちはみんな優秀な奴ばかりですからね。絶対にクズ男とは比較になりませんよ。褒めてくれるのは嬉しいですが、やっぱり俺だけをもっと評価していただきたいですね」玲は彼を見て、ふいに尋ねた。「結城社長、おばあ様があなたに選んだ花嫁候補とやらは、もしかして俺ですか?」これについて、玲は暫くの間考えていた。この可能性だけが、結城家の誰もが同じ反応をした理由だと思った。それに、奏汰がすぐに玲が女だと簡単に見抜いた事も、非常に不可解だったからだ。奏汰の目が鋭く、すぐに彼女が女性だと見抜いたのだと言われても、玲は信じられない。なぜなら玲は奏汰と知り合ってから接した時間が短いからだ。いくら奏汰が聡明だとしても、簡単に見抜けるはずはない。玲は男装歴二十年以上で、誰にも女だとばれたことはない。それなのに、奏汰が何度か会っただけで、女だと見抜けるわけがない。結城おばあさんが玲は女であると気づいたのであれば、その可能性は否定できない。おばあさんは若かりし頃情報を集めるプロだった。今、星城のあの九条家ですら、よくおばあさんに教えを請うことがある。それにしてもおばあさんはいつ玲に目をつけたのだろうか?それにどうして女だとわかったのだろうか?奏汰は玲におかずを取り分けながら、聞き返した。「どうしてそう思うんですか?俺があなたを好きになったから近づいて、告白したということもアリじゃないんですか」「結城家のご年配の方々が寛容な方たちでも、あなたが同性愛者だという事実は受け入れがたいはずです。あなたが俺につきまとっている事は、柏浜でも星城でもかなり話題になっていますよね。でも、そちらはまったく表に出てあなたの行動を止めることはない。これは普通では考えられません。俺も結城おばあ様には連絡をしました。でも何も聞いていないのか?と尋ねられたんです。その言葉の意味を数日考えて、一つの可能性にたどり着きました。つまりおばあ様があなたの結婚相手として、俺を選んだ。違いますか?」奏汰は笑った。「玲さん、どうしてそこまで賢い方なんですか。まったく、面白くないなぁ」やっぱりそうか!玲は心の中でため息をついた。結城おばあさんの手のひらの上で踊らされたわけか。しかし、結城奏汰に踊らされたわけでなくて
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第2038話

玲は立ち上がって真顔に戻すと、また険しい表情に変えて冷ややかに奏汰に警告した。「私の秘密を外部に漏らしでもすれば、あなたとは完全に縁を切りますんで」奏汰は彼女のそんな警告など全く気にしていないようだったが、こう言った。「まさか俺があなたの秘密を漏らすわけないでしょう。もし、みんなあなたが女性だと知って男どもが好きになったら、俺自ら恋敵を増やすことになるのでは?今恋敵が山のようにいるんですよ。もうこれ以上増えられては困ります。俺はこの世で一番可哀想な男だ、女の恋敵がこんなにいるんですからね!」玲は冷たい声で言った。「自分が招いた事でしょう」すると玲は椅子を引いて、個室から出ようとした。別に彼女のほうから好きになってくれと頼んだわけではない。奏汰も彼女を追うことはなく、声を張り上げた。「夜は魚料理を食べに家に帰ってくださいね。将来の義弟も忘れずに呼んでくださいよ」玲は言った。「……誰が義弟ですか。結城社長、頼むからもう少し恥というものを知ってくれませんかね」「もちろん義弟はあなたのことじゃないですからね。俺は他人の前では面子はありますが、あなたの前ではそんなものどうでもいいんです」玲は不機嫌そうな顔をして、端正な顔をこわばらせ、個室を出た。彼女のボディーガードたちはすでに食事を満喫して外で待機していた。玲が出てきたのを見ると、ボディーガードたちはそれぞれ彼女に声をかけた。「玲様」「行くぞ」玲は落ち着いた足取りで歩いていった。ボディーガードたちの態度が、彼女を現実に引き戻した。今の彼女はまだ白山家の御曹司でいる。ただ、奏汰と二人きりの時にだけ、自分が女であることを思い出すのだ……黛グループにて。若葉は当主の和子の前に座り、目を真っ赤に腫らして泣いていた。「お母さん、結城社長を怒らせるなって言うけど、彼が私をいじめたのよ。あの人が私をラグジュリゾートから追い出したの。お母さんからなんとか言ってやってよ」和子はすでにどういうことなのか把握していた。昼に起きた事が、すでに柏浜中に伝わり、柏浜芸能ニュースのトップニュースになっていた。「白山社長はあなたのことは好きじゃないの。これ以上彼に会いに行かないで。それに白山社長をめぐって結城社長に喧嘩を売らないでちょうだい。白山社長を慕っている人はたく
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第2039話

和子は一瞬冷ややかな目つきになった。和子がただ口先で言った言葉を若葉は信じている。凪はどうであれ、和子の実の娘だ。若葉は無実であるが、父親の犯した罪は娘が背負わなければ……和子は瞳の底に宿った冷たさを戻し、優しい声で若葉を慰めた。「はいはい、泣かないのよ。彼はあの結城家の御曹司、彼があなたのプライドを傷つけるような事をしても、それは仕方ないことじゃないの?ほら、泣かないで。そんなふうに泣いてしまったから、お化粧が崩れているわよ。後で部屋に行って直していらっしゃいよ」和子はため息をついて、また言った。「若葉、私たち黛家は柏浜では名家に分類されているけど、トップクラスの財閥家と比べることはできないの。あの白山家も見上げるような存在なのよ。そして白山家は結城家より格下。結城家のような王者クラスの名家なんてそうそうないんだからね。結城奏汰を怒らせるなと言ったのに、お母さんの言うことをまったく聞かずに彼を刺激しに行くなんて。他の人であればお母さんもあなたのために文句を言ってあげるけど、彼相手では、それは無理よ」「お母さん」若葉は不満そうに声を張り上げた。「ちょっと前までは私が何をしたって、お母さんは助けてくれていたじゃないの」「言ったでしょ、もし相手が結城奏汰でなければ、あなたのために何だってしてあげるわよ。彼は結城奏汰よ、私でも彼に対しては礼儀を怠ってはいけない相手なんだからね。そんな相手にどうして文句でも言いにいけるというの?それに今回の件はあなたが先に手を出したでしょう。あなたが彼に殴りかかったりしなければ、彼から追い出されたりしたかしら?」若葉は唇を尖らせて言った。「だって、あの男が私の憧れの人をホテルに無理やり連れていったのよ、黙って見ていられないわ」「だけど、白山社長は拒んだりしていないのに、あなたが手を出してどうするのよ?白山社長が本気で結城社長からつきまとわれたくないのであれば、どうにかする方法なんていくらでもあるのよ。なんでそれがあなたにはわからないの。白山社長は結城社長に対して少し気持ちがあるってことよ」その瞬間、若葉は気性を荒げた。「お母さん、なんでそんな事言えるわけ?白山社長は男よ、彼が結城奏汰に気持ちがあるわけないでしょ。見るからにあの男は恥知らずな奴だわ。あいつは同性が好きで、気に入ったらすぐ口説
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第2040話

和子は若葉の涙を拭ってから、優しい声で言った。「白山社長は、若くて優秀な方で白山グループはうちよりも財力を持ってる。柏浜でもうちより地位が高いし、彼が婿養子になることは絶対にないから。あなたが本気で彼を好きにさせた場合は違う。あなたのために、黛家に婿養子として来てくれるでしょうね。今、凪が戻ってきたから、黛家の決まりでは将来彼女を上の立場に立たせなくちゃいけないからね。たとえ私がそれをおもしろく思っていなくても、決まりは決まりよ。私にも変えることはできない。でもそれでもいいじゃない。凪は白山社長と結婚することはできないから。だけど、あなたのほうは何も気にせずに彼にアプローチできるでしょ。彼のことが好きで、追いかけたいなら、正当な方法で彼にアタックしなさいよ。高圧的な態度で他のライバルを押さえつけるのは無理よ。そもそも今のあなたにはそれだけの力もないし、ライバルたちはみんな手強いのだからね。どうやったら白山社長から好かれるか、しっかり考えなさい。覚えておいて、白山社長があなたを好きになれば、他のライバルたちがいくら手強くても、足も手も出ないわ」若葉は何か考えているようだった。「結城社長のあの図々しさを見てごらんなさい、周りにどう思われようが気にせず、白山社長にしつこくつきまとい続けてる。白山社長もどうすることもできない様子よ。結城社長はあのような恥を捨てた行動で、一歩ずつ前進しているわ。あなたも彼に習ってみてもいいわ」若葉は母親の話も理にかなっていると思い、言った。「お母さん、わかったわ。結城社長をどうするかに気を取られるんじゃなくて、白山社長にアタックすることだけに集中する。白山社長に好きになってもらったほうが勝ちってことだもんね」和子は笑って若葉を褒めた。「さすが私が育てた娘、すぐに理解したわね。ほら、もう悲しむのはやめなさい。お化粧を直しておいで。お母さんが綾さんに電話してあなたと一緒に買い物に付き合ってくれるよう伝えるから。何か欲しい物があったら買っていらっしゃい」「お母さん、ありがとう」若葉はすっかり気分が良くなり、すぐに立ち上がってメイクを直しに行った。それに母親が本当に若葉の義姉に電話して会社まで迎えに来るよう頼むのを聞いた。これで若葉は綾と一緒に買い物に行ける。メイクを直している時、若葉はドアをノックする
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