Semua Bab 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Bab 2461 - Bab 2470

2644 Bab

第2461話

姫華も笑って言った。「理紗さん、そんなに笑わないでよ。私だってすっごく慌てちゃって、緊張しすぎたの。お兄ちゃんなら私よりもっと、もっと慌てたはずよ」「はいはい、もう笑いません。笑うと、ちょっと痛みが軽くなったような気がするわ」姫華は言った。「そうなの?じゃ、笑って。笑ってお腹の痛みがおさまるなら、たっくさん笑ってよ。私、図太いから笑われても平気だし」理紗はお腹を抱えて笑ったが、すぐに眉間にしわを寄せた。「痛いわ、今はさっきよりもはっきり感じられる。どんどん間隔が早くなっているみたい」その言葉を聞き、詩乃が即座に指揮を執った。「行くわよ。すぐに病院に!」第一子には、多くの人が少なくとも、半日から一日がかりになる。それよりも時間がかかる人は二日、三日痛みに耐えなければならない。しかし、人によっては陣痛が来てから数時間でさらっと産んでしまう。人によって違うから、理沙が出産にそこまでかからない可能性だってあるのだ。それで、一家総出で理紗を連れて病院へと向かった。病院に向かう途中、理紗は玲凰に電話をかけた。玲凰が出ると、彼女はこう言った。「玲凰、お腹が痛くなってきたから、きっと生まれるんだわ。お義父さんと、お義母さん、それから姫華ちゃんたちが病院に送ってくれてるの。あなたも時間があったら病院まで来てちょうだい」「う、生まれるって?予定日まではまだ半月あるんじゃないのか?どうして今生まれそうなんだ?時間がないわけないだろ、妻が出産するんだぞ。暇すぎて死にそうだ、病院に行ってるって?どこの病院だ?今すぐ向かう。心配するなよ、俺がすぐに駆けつけるからな」玲凰は妻からもうすぐ子供が生まれると聞くと、手元の仕事を放り出して、立ち上がりすぐに病院へ向かおうとしたが、方向を間違えて、うっかり休憩室に入ってしまった。彼に仕事の進捗を報告しに来た管理職の社員が、驚いたように社長が休憩室に入っていくのを見ていた。社長は会社を出るのではないのか?奥様がもうすぐ出産するから社長はすぐに病院へ向かうと話しているのを聞いていたが、どうして休憩室などに入っていったのか……その管理職は、玲凰が休憩室で何か取って行くのかとも考えた。するとすぐに、玲凰が中から出てきたが、通話しながら、手には別に何も持っていなかった。そしてす
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第2462話

「あなたのお母様に電話しておくわね」理紗は自分の母親に連絡していなかったが、詩乃は女性は出産する時に、自分の実家家族に傍にいてほしいだろうと思った。それで、自ら理紗の実家側に病院に来るようにと電話で伝えた。そしてすぐに、神崎家と篠崎家の両家の一団が分娩室の外に押し寄せ、ハラハラしながら理紗を待っていた。やはりさっき詩乃が思ったとおり、理紗は病院に到着して検査するとすぐに分娩室に運ばれていった。姫華はSNSにこの件をアップし、唯花と唯月は理紗がもうすぐ出産することを知った。理仁はすぐに唯花に付き添い、結城おばあさんも連れて病院へ向かった。唯月は妹よりも早く病院に到着していた。多くの人が分娩室の前で待っているのを見て、唯月は詩乃の傍に行き、軽く声をかけた。「あら、唯月さんじゃないの。どうしてここに?」「姫華ちゃんがSNSに投稿しているのを見て、理紗さんの出産を知ったんです。それで見に来ました。どうです?入ってからどのくらい経ちました?」詩乃は言った。「入ってからもう長く感じるけど、時間を見たらまだ一時間も経っていないわね」焦っている時には、時間が長く感じられる。今まさに全員がこのような状態に置かれている。玲凰は廊下を何回ぐるぐると回っていることだろうか。彼はまさに居ても立っても居られず、せわしなく歩き回っている。こうすることで緊張を緩和できるのだろう。彼は出産のあの裂けるだという痛みを妻に代わってあげたかった。出産は例えるなら、鼻からスイカを出すくらい痛いといわれる。「理紗さんは頭位だから、大丈夫ですよ」唯月は詩乃にそう言って落ち着かせようとした。しかし、詩乃のほうはまだ冷静だ。彼女はあのうろうろと落ち着かない様子の息子を見て言った。「ほら、うちの息子を見てみなさい。あれじゃ、廊下があの子のせいですり減りそうだわ。一体何周ああやって回っていることやら」「ああなるのも当然です。玲凰さんは理紗さんのことをとっても大事に思っているから」唯月は、自分が陽を出産した時のことを思い出していた。妹によると、俊介もあのようにかなり慌てた様子だったらしい。玲凰ほど緊張してうろうろ動き回ることはなかったが……子供が生まれるとまずはその子が助産師に連れられていき、彼女は後から分娩室を押されて出てきた。出て
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第2463話

分娩室の扉が開いた。すると前で待っていた全員がドアを囲んだ。助産師の一人が子供を抱いて、玲凰に微笑みかけた。「神崎理紗様のご家族の方ですね?」「俺が夫です。助産師さん、もう生まれたんですか?妻の様子は?中に入って様子を見てもいいでしょうか?彼女はいつ個室に移れますか?」玲凰は立て続けに質問し、どれも理紗のことばかりだった。唯月は興奮状態の両家から後ろのほうへ追いやられていた。彼女は玲凰がしきりに理紗のことを気にかけているのを見て、心の中で理紗は正しい人を選んだと感嘆していた。助産師は笑顔で玲凰に答えた。「奥様の状態はとても良いですよ。元気な男の子が生まれました。母子ともに健康です。お子さんの体重は3300グラムです。奥様は処置がありますのでもう暫くかかりますから、お子さんだけお連れしました」母子ともに健康だと聞いて、玲凰は安心した。全員、理紗と子供どちらも元気だと聞き、笑顔になっていた。それからさっき生まれたばかりの子供を安心して見ていた。玲凰は助産師から子供を受け取って、じっと見つめた後、理紗の母親に抱かせて言った。「お義母さん、この子と個室で待っていてください。俺はここで理紗が出てくるのを待ちます」理紗の母親の千明(ちあき)は、孫を抱いて喜び笑った。孫は娘にそっくりだと思い、言った。「私もここで理紗を待ちます」孫が出てきたが、娘はまだ中にいる。千明は孫を詩乃夫妻に預けて、個室で待っていてほしいと伝えた。子供が出てきて、分娩室の前から半分がいなくなった。しかし、詩乃と唯月はすぐに個室から出てきて、また分娩室の前に戻り、理紗を待った。姫華と航、それから善の三人が個室で赤ちゃんを見ていた。この時、理仁が唯花を連れて到着した。「伯母様、お姉ちゃん」唯花は尋ねた。「理紗さん、出産終わった?」「唯花ちゃん、あなたまで来たのね。妊娠中で、結婚式が終わったばかりでしょう。理紗さんならもう元気な男の子を産んだわよ。3300グラムですって、母子ともに健康よ」詩乃は妊娠中の唯花まで来たので少し責めるような口調だったが、すぐに笑顔になって唯花に伝えた。孫ができて、詩乃はご機嫌だった。すると今度は理仁を責めるように言った。「結城さん、どうしておばあ様まで連れてきたんです?お
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第2464話

幸い、玲凰はそう長く待たずに、理紗が分娩室からベッドに横たわったまま助産師に押されて出てきた。「理紗」玲凰は妻の姿を見るとすぐに駆け寄った。理紗は髪が乱れて、唇は出産時の痛みに食いしばったせいか血が少し滲んでいた。ただ、彼女の状態は非常に良かった。みんなが自分を外で待ってくれていたのを見て、彼女は玲凰に言った。「玲凰、私たちの子供、助産師さんたちが私にとっても似てるって」すると千明が言った。「男の子は母親に似るって言うしね」玲凰は前屈みになり、愛する妻のおでこにキスをして、心を痛めた様子で言った。「理紗、お疲れ様。俺たち、子供は一人でいいよ」理紗の実家の篠崎家も、娘が子供を産むことを望んでいて、今は元気な男の子が生まれた。玲凰は神崎家の長男で、今理紗との間に第一子となる息子が生まれた。これで神崎家の跡取りの問題はなくなった。出産を初めて経験してみて、理紗も息子が生まれてよかったと思った。もし、娘だったら、自分と同じように出産の痛みを経験することになるかもしれないからだ。理紗は夫の提案に応えた。「そうね、一人でいいと思う」彼女自身、あまりの痛みでもう二度と産みたくないと思った。経験しなければ、まさかここまで痛いとは知らなかった。個室に戻り、理紗はベッドで休んだ。みんなが生まれたばかりの子供を囲んでいるのを見て、彼女は玲凰に言った。「ねえ、赤ちゃんを抱っこして私にもよく見せて」この子は彼女が十ヵ月もの間お腹の中で大切に育て、耐えがたい痛みを経験して産んだ子だ。それなのに彼女はまだゆっくりと我が子と対面していない。分娩室では、出産した後すぐに助産師が子供を抱き上げて彼女に見せてくれた。そして助産師は先にその子を抱えたまま出て行ったのだ。玲凰はすぐに腰を曲げて、ベビーベッドから新生児を抱き上げた。まだ生まれたばかりでとても小さく、柔らかかった。抱いてみると、まったく重たくなく、彼は慎重に慎重をかさねて抱いた。そして息子を抱いていると、彼はうっかり手から落としてしまうのではないかと怖くて、動くことができなくなった。「私が抱っこしましょう」千明は娘の夫のその様子に、自ら子供を抱き上げて笑って言った。「抱っこして歩くのがちょっと怖いのでしょう?その様子じゃ、理紗は一時間待っても子供
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第2465話

理紗は息子を抱いて、何度もキスをして笑った。「私の子供だもの、似ていて当然よ。口元は確かに玲凰に似ているわね」理紗はちらりと夫を見た。「この子は私たち二人の子よ。どっちにも似てるけど、私のほうにもっと似ているみたいね」玲凰は愛しそうな顔をして言った。「理紗に似ているほうがイケメンに育つだろう。君のほうが俺より容姿が整ってるんだからさ」その言葉にみんなが笑顔になった。理紗にしろ、玲凰にしろ、顔面偏差値が高いことは間違いない。子供は今まだ小さいからはっきりとはしないが、もう少し大きくなれば、絶対にイケメンボーイになるのは確かだ。理紗は出産後ゆっくりと休む必要がある。お見舞いに来ていたみんなは暫くしてから帰っていった。玲凰と千明は病院に残っていた。病院から出ると、唯花と理仁は神崎家に行った。神崎家は初孫が誕生したことで、喜びに包まれていた。唯花と唯月の二人は、たくさんの手土産を持ってきていた。詩乃は二人の姪に言った。「うちはなんだってあるんだから、こんなにまた贈り物なんて買ってこなくていいのよ。理紗さんが妊娠したばかりの頃にもたくさん買ってきてくれたでしょう」唯花が妊娠したのを知った時にも、理紗が詩乃に頼んで、多くの贈り物を唯花にしてくれた。唯花は笑って言った。「でも、伯母様の家にあるものは私が買ったものではないですから。これは私と姉からの気持ちなんです。理紗さんが無事赤ちゃんを産んだでしょ。つわりがひどくてずっときちんと食べられなかったから痩せてしまってるし、栄養をつけないとと思って、いろんな食べ物も持ってきましたよ」理紗はつわりが本当にひどく、ほとんど食べることができなかった。妊娠後期になってからいつも食後に吐くということはなくなったが、栄養はすべて子供のほうにいき、彼女自身はまったく肉がつかなかった。そして今出産を終えて、これからしばらくは産後ケアでしっかり栄養をつけなければいけないから、こうやって唯花たちは持ってきたのだ。「それなら、理紗さんに代わってお礼を言うわね」詩乃は嫁の代わりに、二人の姪にお礼の言葉を述べた。そして詩乃は唯花の心配をして尋ねた。「最近もつわりがあるの?もし吐き気が激しいようなら、一度病院で診てもらってもいいわね。何か薬があればいいんだけど。理紗さんは
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第2466話

理仁は妊娠に関する知識を狂ったように学んでいた。それで、妊婦はずっとベッドで寝ていたり、座ってばかりでは駄目で、適度な運動が必要だということを知った。「それなら私も安心です」詩乃は姪の夫にとても満足していた。そして唯月のほうへ視線を向けると、彼女はこっそりとため息をついた。唯花のほうは幸運に恵まれ、結城理仁と出会い、結婚後の生活はとても幸せだった。さらに理仁は妻を溺愛するタイプだ。もう一人の姪である唯月のことを詩乃はとても心を痛めていた。唯月は良い人に巡り会えなかった。離婚後の生活は確かに良くなり、東隼翔は彼女を愛している。しかし、神様のいたずらか、彼は交通事故で両足が不自由になっている。今はリハビリを頑張っているが、一体いつ元の通りに歩けるようになるかはわからない。実を言うと、隼翔がリハビリに成功しなければ、詩乃は唯月と彼が一緒になるのには賛成できないと思っていた。唯月はずっと不幸続きだった。だから、詩乃は彼女のこれからの人生は愛する人の傍で幸せに楽しく過ごしてほしいのだ。言い方は悪いが、隼翔の世話をして過ごすような人生を送ってほしくない。詩乃が薄情な人間だと思わないでほしい。人は、このように身勝手な考えを誰もが持っているはずだ。それは隼翔の母親も同じだろう。隼翔が事故に遭う前は、美乃里はなにがなんでも息子と唯月が一緒になるのに反対していたのだから。それが今、彼が事故で障害を持ってしまい、美乃里は唯月に息子を受け入れてほしいと考えを180度変えてしまった。詩乃は唯月の伯母だから、もちろん姪のことを第一に考える。しかし、このような考えを彼女は口に出すことはなかった。隼翔は今必死にリハビリをしていて、医者も彼は元の通りに歩けるようになる可能性があると言っている。そして、唯月も隼翔に対して、確かに少しずつ好きな感情を持つようになっている。だから詩乃も、自然の成り行きに任せようと思うようになった。「ところで、隼翔君は最近調子はどうなの?」詩乃は小声で唯月に尋ねた。唯月は笑顔になり言った。「すごく調子がいいんですよ。毎日午前はリハビリを頑張って、午後には会社へ仕事に行っています。夜、重要な仕事の会食などがある時、私に時間があるなら、付き添って一緒に行っています」たまに彼が食事をしながら商談をする
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第2467話

唯月は伯母の言葉の意味を理解し、頷いて笑った。「ビストロピエナが全国どこに行っても見られる日がくるのを楽しみにしているんです」「お姉ちゃん、必ずその日は来るわよ」唯花は姉を励ました。唯花は姉なら絶対に成し遂げられると信じている。詩乃も笑って言った。「黛家の娘は能力が高いという話だものね」特に長女がだ。唯月は詩乃の妹の長女だ。黛一族は大昔から長女の能力が優れているという血族だ。もし、一人娘であっても、それは変わらない。実際、凪がそうだ。彼女は弱そうに見えるが、実は内に鋭いナイフを隠し持っているタイプだ。今は黛一族の多くは、そんな弱そうな凪にすっかり騙されてしまっている。凪の本性を知っている人間は、おそらく実の母親である和子だけだろう。唯花は何か言おうとして、結局口を開かなかった。姉にはその能力がある。でも、二世代に渡る宿敵関係がそこに関わっているから、能力があっても、激しい争いが繰り広げられるはずだ。黛家当主である和子はかなり残酷な人間だ。自分を小さい頃から世話してくれた実の姉の一家まるごと滅ぼしてしまった。さらに二人の姪にも容赦しなかった。ただ詩乃と唯花たちの母親は運が良く、命までは取られなかっただけだ。児童養護施設で育ち、苦しい日々を過ごしていたが、生きていられた。唯花の母親である佳織は養子縁組で里親に引き取られた。それも何度も違う家庭をたらい回しにされて、最後には唯花の父親である隆史と結婚し、それから安定した暮らしと幸せを手に入れることができた。唯花の記憶の中で、両親はとても仲が良く愛し合っていた。内海じいさんとばあさんは佳織が娘しか産まなかったことを嫌っていた。それでも、両親は唯花と唯月の二人にたっぷりと愛情を注いでくれた。もし昔あの交通事故がなければ、唯花は両親は白髪になるまでずっと仲良く暮らしていただろうと思った。そうであれば、唯花も唯月も小さい頃からこんなに苦労して、世間の冷たさなどを感じずに済んだだろう。その全ての元凶は、和子だ。「もうこんな時間だし、唯花ちゃん、あなたは帰って休みなさい。もうあなた一人の体ではないのだから」詩乃は唯花に帰って休息をとるように言った。「私なら大丈夫です。私、伯母様のところでご飯を食べてから帰りたいです」詩乃は笑って言った。
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第2468話

さっき唯花が何か言いたげにしていたのを、詩乃は気付いていなかったが、唯月は気付いていた。彼女は妹がきっと柏浜の黛家のことで何か話したいのだろうと予想していた。姉妹が外に出かけて、リビングは航と理仁、それから善の三人になった。理仁たちと一緒に病院に来ていた結城おばあさんは神崎家には来なかった。理仁がおばあさんを琴ヶ丘に帰すよう手配していた。おばあさんがその途中で誰かに会いにどこかへ行ったかに関しては、理仁も知らないし、関わるつもりもない。結城おばあさんはおとなしく家でじっとしているご老人ではない。リビングに残った男三人はお茶を飲みながら、ビジネスの話をしていた。唯月姉妹は家を出た。唯月が妹の体を支えて段差をおりようとし、唯花が笑って言った。「お姉ちゃん、私まだ妊娠三か月にもなってないから、体には別に変化はないよ。ちょっと前まではつわりで吐いてたから、妊娠したんだって実感してたけどね。今ではもう食べたり飲んだり平気だし、段差をおりるのに支えられるほどでもないわよ」唯月も笑った。「だって、第一子の妊娠には苦労したじゃないの、ちょっと注意しておいたほうがいいの。特に最初の三か月はね。前、私が陽を妊娠した時も、あなたがこうやってずっと私をお世話してくれてたでしょ」「そうね、時間ってあっという間だね。お姉ちゃんが陽ちゃんを妊娠してたのがまるで昨日の事みたいよ。それがもう三歳になったんだから」「本当にそうね、時間が経つのがとっても早いわ。昔はあなたも泣き虫だったのに、今ではママになるんだもの。あなたが大きくなって、私も年取ったわ」唯月のそのような言葉に、唯花は反発した。「お姉ちゃんのどこが年取ってるのよ。まだ三十過ぎたばかりでしょ。現代人は長寿になって、今じゃ七十を過ぎても働いている人もたくさんいるんだよ。お姉ちゃんの年はまだまだ若いでしょ」唯花は親しげに姉の腕に手を回し、頭を姉の肩にもたれかけた。「もう年取ったなんて言ったらダメよ。お姉ちゃんは私より五歳上なだけでしょ。もし年取ったって言うなら、私もその階段をのぼっているところよ。はははは、私たち姉妹はまだピチピチなんだから」「はいはい、そうね、私たちはまだ若いわ。私たちにはこれからもたっくさんやらないといけないことがあるもの、若くないとね。若いからこそ何でもできる力が
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第2469話

唯月は少しの間黙っていてから、また口を開いた。「凪さんは今でも十分困難に直面してる。私たちが突然黛家に戻れば、彼女が今直面してることより更に難しい状況に対応しなければならない」凪は黛家当主の実の娘だ。もし生まれてすぐに若葉と入れ替えられていなければ、小さい頃から和子から当主を継ぐ教育を受けて、順調に家を継いでいたはずだ。しかし、凪は二十年以上も執事の田舎の家で育てられてきた。その家庭では、教育にしろ、見識にしろ、黛家とは到底比較できない。凪が黛家に戻ってきてからも、偽物の令嬢である若葉は黛家に居座り続けている。彼女は黛家の次女となり、世間の目には、当主がこの娘を特に可愛がっていているように映っている。それも二十数年間育ててきた情があるからだろう。それに以前は若葉が偽物だと和子も知らなかった。和子は全力で若葉を次期当主となれるように育ててきた。若葉は特別優秀な娘にはならなかったが、途中から戻ってきた凪よりもずっと良い。少なくとも、黛一族はみんな若葉が小さい頃からずっと成長を見届けてきた。一方凪は戻ってからまだ二年も経たない。彼女は黛一族の中ではその立場を確立させていないし、和子の凪に対する態度は良いものとは言えない。和子はよく凪を叱責し、若葉のほうを可愛がっているから、それを知る周りは、凪が次の当主になれるかは疑問だった。唯花は言った。「もしお姉ちゃんが黛家の当主になるなら、もちろん私たちがしっかりと支えるわよ。それに、お姉ちゃんの能力なら問題ないって信じてるし。ねえ、自信を持って、お姉ちゃんなら絶対にできるから。お姉ちゃんが本当に黛家の当主になったら、将来は陽ちゃんに妹を作ってあげてよ。もし、東社長がなかなか良いなって思ったら、彼と結婚することだって考えていいと思う。ただ、東家のほうが東社長が婿養子になるのを許すかどうかだけど」その言葉に唯月は顔を赤くさせて、妹を軽く注意した。「ちょっと、何を言っているのよ。私もまだ黛家を継ぐって決まったわけじゃないし、それに言ったでしょ、凪さんが適任だって。今彼女は次期黛家当主として学んでいるところよ。彼女の母親が私たちの家族や親戚を殺害したのは確かだけど、凪さんは今の当主自ら教育を受けているんだから。凪さんは私たちよりもずっと当主として優れているはずよ。それに東社長は東グループを率
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第2470話

「結婚式で、黛当主を見かけたよ。彼女は星城に来てからすぐに柏浜に戻りはしなかったみたい。彼女は伯母様に会いに来るかと思ってたけど、あれから半月、まったく動きがないわね」唯花は和子に会ったことも見たこともなかった。結婚式の席で理仁が彼女に教えた。結婚式に和子を招待したのは唯花の意見だった。彼女は伯母と和子を会わせて確かめたかった。詩乃と凪が血縁関係を調べたが、それでもさらに確かめたかった。復讐をするなら、相手を百パーセント確定しなければ。「きっと後ろめたさがあるから動かないのか、それかさっさと帰ってしまったのかもしれないわ」唯月は結婚式当日は感動のあまり、和子の事には関心が向いていなかった。そして結婚式の場でも、和子本人を見かけていない。「きっと彼女は伯母様と、私たちのおばあちゃんのことを調べているんだと思う」唯花は推測しながら話した。「柏浜のほうでは前から当主の二人の姪が星城にいるって噂が伝わっていたみたい。凪さんも伯母様を探し当てたわ。あの当主の頭なら、知らないはずがないと思わない?彼女がずっと姿を現さないってことは、きっと今調査をしているからよ。裏でこっそり伯母様のことを探っているかもしれない。それに私たち二人のこともね。私はお父さんのほうに似ているわ。当主が結婚式で私を見てもきっと慌てることはないはず。もしお姉ちゃんを見かけていたら、きっと何かに気付いたはずよ」唯花は父親似で、唯月は母親似だ。詩乃の話では、佳織は彼女よりもずっと母親に似ていたらしく、詩乃は父親にも母親にも似ているらしい。だから、詩乃と凪は少し似ている。「数日したら、私は柏浜に行って市場調査をしてみるつもりよ」唯月には将来の計画があるので、それを始める頃合いだ。今後、彼女が黛家を継ぐかどうかに関わらず、唯月はビストロピエナを全国の大都市に展開したいと思っている。唯花は言った。「私も一緒に柏浜まで出張したいな。黛一族がどれだけすごいのか見てみたい。自分をお世話してくれたお姉さんの家族を殺害できるような女がトップの家なんてね」その言葉の後半は、唯花は歯ぎしりしながら絞り出した。「あなたは家でお腹の子とゆっくりしてないとダメ。出張なんて考えないで、結城さんが心配するわよ。彼がどうにもできなくても、姉である私が許さないから」
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