บททั้งหมดของ 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: บทที่ 2481 - บทที่ 2490

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第2481話

依茉の夫である弘毅は、あまり彼女が結城家に行くのが好きではない。特に、彼女が辰巳の料理は最高だと褒めるのを聞きたくないらしい。それに、桐生家三番目の御曹司である新の料理の腕は辰巳に負けてないと張り合うのだった。依茉は正直に言って、新と辰巳の料理の腕前は確かにそう変わらないが、やはり違っていると思っていた。それに新もあまり普段料理をしていない。依茉も新の義理の妹として、いつも彼に料理をお願いするわけにはいかない。だから一番良い方法は、辰巳に頼んで彼女の家で働いているシェフを鍛えてもらうことだ。辰巳は依茉の頼みを快く承諾した。辰巳と咲は依茉が車に乗るのを見ていた。車は辰巳の母親である薫子が、依茉が星城に滞在している間に貸しているものだ。依茉は星城に咲の目の治療のために訪れているから、薫子は依茉を重要な客人として見ている。依茉の滞在費も薫子が全て負担している。「咲、外はまだ暑いから家の中に戻ろう」辰巳が咲の手を繋ぎ、二人一緒に家に戻ろうとした時だった。二人が玄関先まで来ると、外から大きな叫び声が聞こえてきた。「このめくら女!」辰巳はその声は初めて聞いたが、相手が大事な婚約者のことをこのように呼ぶのを聞き、瞬時に顔色を暗くさせた。咲のほうはその声を嫌というほど聞き慣れている。あのように好き勝手に貶し言葉を向けてくる人物は、異父姉妹の鈴しかいない。鈴はもう刑務所から出てきたのか?咲は知らなかった。ただ、鈴の刑罰は軽く、すぐに刑務所から出てこられるということは知っていた。しかし、彼女もわざわざ鈴が出てこられる日が具体的にいつなのか覚えておらず、きっと年末か年が明けた頃だろうと思っていたのだ。まさか今もう出てこられるとは思ってもいなかった。「鈴よ、あの異父姉妹の」咲は小声で辰巳に教えた。「私がもう目が見えるようになった事は、暫く彼女には伏せておきましょう」柴尾家で働いている使用人たちの中で、辰巳が手配した人たちは咲の目が見えるようになったことを知っているが、もともと柴尾家にいた使用人たちには教えていない。咲が柴尾邸で過ごす時は目が見えなくても、すでに慣れて自由に行動できていたため、使用人たちはまさか彼女の目がすでに回復しているとは思っていなかった。彼らはただ、辰巳が名医の弟子である依茉に咲
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第2482話

咲は辰巳の言葉に思わず笑った。彼女は理仁がよくヤキモチを焼いていることだけは知っていた。どうやら、彼女の夫もヤキモチを焼くのが相当好きらしい。鈴は門の前で、辰巳が咲の手を繋ぎ、二人がゆっくりと向かってきている様子を見て、一気に怒りが込み上げてきた。鈴が刑務所に入っている間に、咲は外で結城辰巳を落としたわけだ。辰巳は理仁に引けを取らないくらい、かなりのイケメンだった。理仁のほうは厳しくクールな二枚目だが、辰巳のほうは彼と比べるととても穏やかで優しそうだ。鈴は、もし自分がこの二人のうちどちらか選ぶなら、辰巳のほうがいいと思った。ただ鈴にはチャンスがない。そもそも鈴はまだ二十歳を過ぎたばかりで、両親が刑務所に入っていなかったとしても、こんなに若くして結婚するつもりはなかった。あと数年遊んでから結婚を考えるくらいだ。それに、結城家の御曹司に会える機会など数少ない。そんな結城家の男と恋人関係になりたいと思っても、できる話ではない。咲は辰巳と一緒に立っていてもまったく違和感がなく、美男美女のお似合いカップルだった。それで鈴は狂ったように嫉妬してしまった。このめくら女は柴尾家の一切を継ぎ、さらには二人のおばの家庭を破産にまで追いやり、借金まで背負わせた。きっと結城家の力に頼ったに違いない。刑務所にいる間は手を出すことができなかったが、解放された今、絶対にこのめくら女の好き勝手にさせないし、幸せになどさせはしない!「ちょっと、そこのめくら、さっさと門を開けて私を中に入れなさい!執事は?使用人たちは?」咲のことを大声で呼んでいるのに、執事も他の使用人も出てきやしない。まさか全員クビにされたのか?この、クソ女!母親が育て上げた使用人たちを簡単に変えてしまうなんてどうかしている!「鈴、あなた、いつ刑務所から出てきたの?」「そんなのあんたに関係ないでしょ。今すぐ門を開けなさいよ」咲は屋敷の門まで来たが、開けずにただ鈴を見つめて淡々とした口調で言った。「私は目が見えないから、門は開けられないわ。自分でどうにかして開けたら?」「このめくらが……」その瞬間、突然辰巳が門に蹴りを入れ、鈴は驚いて数歩後ろにさがった。彼女はビクビクした様子で、さっきまでの穏やかな表情から一変し凶悪な顔つきになった彼を見ていた。
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第2483話

「つべこべ言わず、さっさとここを開けなさいよ!」鈴は辰巳にものすごい形相で睨まれて、これ以上咲を「めくら」などと侮辱することはできなかった。でも、中に入れろと言って引き下がらなかった。この時、辰巳が冷たい声で言った。「お前、耳が聞こえないのか?さっき咲が言っただろ、彼女は目が見えないから門を開けられないって。入りたいなら自分で考えろよ。開けられないなら、ずっとそこでつっ立ってろ」「でも、私は鍵を持ってないから、どうやって入ろっていうんです?門には鍵がかかってるのに!」鈴は息を詰まらせた。もし鍵を持っていれば、あのめくらに頼むまでもなく、自分で開けていたのに。辰巳は咲の体を支え、優しい声で言った。「外は暑い。咲、中に戻ろう」鈴の話など、ひとつも辰巳には聞こえていないかのような振る舞いだった。すると咲は本当に辰巳に付き添われて家のほうへ戻っていった。「め……咲、開けなさい。ここは私の家よ。私は家に帰るの!」辰巳が振り返り、冷たく不気味な目つきで鈴を一瞥すると、鈴はもう何も言えなくなった。声を詰まらせ、あの二人がどんどん遠ざかり、家の中に消えていくまで見ていた。鈴は怒りが爆発して地団太を踏み、屋敷の正門を掴んで激しく揺らした。大声で、自分の知る執事の名前を呼んだが、執事が家から出てくることはなかった。他にも使用人の名前を叫んだが、誰一人姿を現さなかった。ようやく一人の使用人を見つけ、すぐに大声で叫んだ。「ちょっと、こっちに来て門を開けなさい。私は柴尾家の次女よ。ここは私の家なんだからね!」鈴は多くの使用人の名前を呼んだが誰一人として返事をしなかったので、きっと家にいた使用人は咲が全て変えてしまったのだとわかった。そして心の中の咲への恨みがさらに濃くなっていった。呼ばれた使用人が門まで来て、鈴を暫くの間見定めてから言った。「私は次女の方を見たことがありませんので、その方がどのような顔をしてらっしゃるかも知りません。あなたがその次女であるか判断ができかねますので、ここは開けることができませんね」「だから、私はあんた達が仕えるべき、柴尾家の次女だって言ってるでしょ。うちには家族写真が飾ってあるのよ、あんた達写真を見たことないわけ?」使用人は正直に話した。「私は庭の清掃の仕事を任されております
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第2484話

さっきの使用人の態度に、鈴はまた腹を立て、悔しそうに足を踏み鳴らしていた。星城では十月を過ぎても、太陽が出ると暑い日がまだある。この日は太陽が照りつけていて、真夏ほどではないが暑かった。冬は寒い日もあるが雪が降るほどではなく、コートがあればダウンジャケットはいらない年もあったりする。鈴は門の前に長時間立っているので、暑くなってきた。鈴は太陽に焼かれて顔が赤くなり、汗が浮かんでいる。彼女はひたすら咲を罵り続け喉が乾いた。ずっと水も何も飲んでいない。それに、咲は家の中に入っているので、鈴はさっきよりも声を大きくして罵っていた。それでも咲に聞こえているかはわからない。彼女は門を見上げ、よじ登って越えようかと考えた。透かし彫りの金属の門なので、彼女も慎重によじ登れば越えられないこともないはずだ。そう思いながら、鈴は門をよじ登り始めた。この時、二階の部屋で咲が窓の前に立ち、門のほうを見ていた。咲の視力はまだ完全には回復しておらず、遠い場所はまだはっきりと見えないので、隣にいる辰巳に尋ねた。「鈴はもう帰った?」「いや、今門をよじ登ってるぞ」「えっ」咲はひとこともらして、すぐに笑いながら言った。「鈴もまさかこんな日が来るなんて想像もしてなかったでしょうね。以前の彼女は門を内側から鍵をして、私が入れないようにしたの。どうにかして入って来いって言われて、その時私もよじ登ったわ。あの時、鈴は使用人に命令してガラスの破片を地面にばらまかせたのよ。私は目が見えないから、やっとのことで門を登って越えて、下におりたときに手をついて、怪我をしてしまったわ。ガラスがたくさん刺さったの。目が見えないから細かい破片を取り除くことができなかった。うちの使用人はみんな鈴とその母親の話を聞くから、誰も私を助けてくれなかった。その夜は痛いのを我慢して、次の日外に出て、知らない人にお願いして、破片を抜いてもらったのよ。全部破片は抜いてもらったけど、両手はすごく痛くて。でも、病院で薬をもらうお金も持ってなかった。その助けてくれた人が両手にたくさん怪我があるのを見て、可哀想に思ったみたいで、薬局で消毒と塗り薬を買ってくれてね、手当てまでしてくれたんだよ。あれは十七歳の時だったわ。鈴はまだ十一歳だった。彼女は小さい頃からこうやって私をいじめて
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第2485話

その時、四匹のシェパードが鈴に向かって激しく吠えた。鈴はあまりの恐怖に顔から血の気が一気に引いてしまった。彼女は慌ててまた門の上まで登り、向こう側に跨いで越えた。その時犬が飛びかかってきたので驚いて両手を離してしまい、地面に落ちてしまった。ドスンッ!大きな音を立てて鈴は地面に激突し、痛みに悶える声をもらした。地面に落ちて激痛が走った。彼女はその痛みに構っていられなかった。犬たちが門に飛びかかり、立ち上がったのを見て、地面に尻もちをついている鈴はそのまま少しずつ後ずさりした。犬が門をすり抜けて噛みついてくるのではないかと怖がっていた。かなり遠くまで離れてから、犬が門を通り抜けられないことに気づき、鈴はやっと安心した。さっき向こう側に落ちていなくてよかった。もし、向こう側だったら、あの四匹の犬に噛まれていたはずだ。そしてこの時やっと、鈴は体が痛いことを意識した。門は二メートルはあり、彼女は一番高い所から落ちたので、痛くてたまらなかった。あのめくら女、絶対にあいつが犬をわざと放ったのだ。それに、家にあんな凶暴な生き物を飼っているとは。自分の飼っていたペットの犬と猫はまだ生きているのだろうか?鈴は痛みを我慢して這いあがった。門を越えて入るのは無理そうだ。咲も門を開けることはないだろう。今家にいる使用人は全て咲の言うことを聞く者たちばかりだから、彼らにも期待できない。鈴はこの時、一体どうすればいいのかわからなくなった。諦めるのも悔しくてたまらない。ここは鈴の家であり、小さい頃から暮らしてきた場所だ。以前なら、鈴は咲に嫌がらせができて、逆転されたことがないというのに。咲の目が見えなくなって時間が経過するほどに、鈴が咲をいじめても何もメリットなどなくなった。時には、逆に損をすることさえあった。しかし、表面的には鈴のほうが咲よりも強いイメージがあった。今や、鈴は家に帰ることすらできなくなった。しかも敷地に入る正門を一歩越えることすらできない。あのめくら女、卑怯にもほどがある!それに、もし自分の家にすら入れないとしたら、一体どうやって咲に復讐をすればいいというのだ。河野とかいった夫人は実力を見せてみろと言ってきた。今、門すらも通れない鈴が咲に復讐して全てを奪い返そうなどと夢のまた夢だろう?彼女
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第2486話

それから鈴はネットの大手SNS運営会社に連絡し、咲に関するちょっとした文章を作成し、それをネット上にアップすれば、ネット民の声で咲を抑え込み、彼女の悪評を広めることもできるだろうと考えた。結城家ほどの星城一の財閥家なら、名誉というものを重んじるはずだ。咲の悪評がたてば、結城家も、もしかすると、あのめくらを嫁として迎え入れるのは取り消すかもしれない。鈴はまだひりひりと痛むお尻をさすりながら歩いていった。ここにはタクシーが通っていない。彼女はまだ遠くのほうまで歩いていって、また暫く道沿いに歩きつづけないと、タクシーが走る大通りには出ない。今携帯もないので、直接タクシーを呼ぶこともできない。「あのめくら、覚悟しなさい。絶対に倍にして返してやるんだから!」鈴は歩きながら咲を罵り続けた。そしてさっき辰巳が咲を守っている光景を思い出し、彼女は悔しそうに言った。「あんたの男を奪ってやる!」このような目に遭う前は、加奈子は鈴を結城家に嫁がせようと計画していた。理仁は厳しく気難しいタイプだから、鈴は辰巳か奏汰にターゲットを定めていた。この二人は穏やかで優しそうだから、あの冷たくクールな理仁よりもずっと良いと思ったのだ。そしてトラブルを起こしてしまってから、一家三人は仲良く刑務所送りとなった。そのせいで加奈子の計画は水の泡となってしまった。鈴は自分が以前狙いを定めていた男が咲の婚約者になっているのを見て、咲への憎しみが一層増していた。これから辰巳を奪い、咲に全てを失わせてやろうと決意した。歩きながら、鈴は自分一人では力不足だから、助けが必要だと考えた。実の弟である流星は他の都市の大学に通っているから、助けを求めることは不可能。しかも、流星は咲のほうに味方している。そこで鈴はあの二人のおばとその家族を思い浮かべた。おばたちの家は咲によって破産に追い込まれたそうだから、絶対に咲を恨んでいるに違いない。しかし、結城家が咲を守っている。彼らには暫く復讐のチャンスはないだろう。鈴はあの二人のおばを探しに行って、みんなで力を合わせて咲に対抗できるのではないかと考えた。おばたちが咲に負けてしまったのは、彼女たちが実家から離れてすでに数十年が過ぎているからだ。二人は実家のことにほとんど手を出すことはできない。しかし鈴は違う。彼
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第2487話

柴尾邸。咲は鈴が犬に驚いて逃げてから、一階に来て、リビングのソファに座っていた。辰巳は彼女に温かい紅茶を入れて持って来て、彼女に渡した。咲はお礼を言い、飲まずにテーブルの上に置いた。その後、辰巳は果物を洗って一口サイズに切り、綺麗なガラスの皿に盛りつけて、咲の好きなお菓子と自分で作ったケーキもまた別の皿に盛りつけた。それから一皿ずつ運び、テーブルの上に置いた。そして彼は咲の隣に腰かけた。「ちょっと食べたら」「お腹空いてないわ」辰巳は微笑んで優しく言った。「ちょっと甘い物でも食べたほうが、気分が良くなるよ」「今とっても気分は良いわよ」すると辰巳はそっと彼女の顔に触れて、最後に彼女の鼻の頭をちょんとつついた。「今日初めて君に出会ったわけじゃないんだ。咲の機嫌が良いか悪いかは見ればすぐわかるよ。こっちにも伝わってくるから」咲は辰巳の肩にもたれかかり言った。「私は鈴より六歳年上で、彼女の生まれた頃にはもういろいろと理解できるようになってた。あの頃も母親は私に冷たい態度だったけど、妹を作ってくれて私はとっても嬉しかった。鈴がまだ何もわからない小さい時、白くてもちもちな肌をしていて、とても可愛かったのよ。だからこの妹のことをとても可愛がってた。ただ、母親が妹のことはとても大事にするのに、私には嫌悪を向けて冷たくしてくることがとってもつらかった。それに、母親は私が鈴に近づくのを嫌ってた。あの夫婦は目に入れても痛くないほどに鈴を愛していたわ。後で流星が生まれても、鈴に対する愛情は減ることはなかった。そしてだんだん私はわかっていったの。私と鈴は姉妹で、同じ母親から生まれてきたけど違うんだって。彼女には両親がいるけど、私には母親だけで父親はいない。でも、母親は一度も私を愛してくれたことなんてなかった。鈴が少し大きくなって、私をいじめるようになっていった。私もバカな子じゃないから、ただ黙っていじめられるだけじゃなかったのよ。鈴は私に喧嘩でも、口でも勝てない時すぐに泣くの。泣くと鈴の母親はどちらの間違いかなんて無視して、何も聞かずに私を殴った。食事も抜きにされるの。食事を抜かれた時は、いつも義理の父親が帰ってくるのを待つしかなかった。彼は一応表面上はあの人よりも良かったからね。私に食事させるよう、彼が母親に言ってく
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第2488話

「私と鈴は本当の姉妹なのに、まるで仇同士みたいに……今、私と彼女の立場は逆転して、あの子のほうが劣勢に立たされてる。私は力をつけて復讐したけど、嬉しいとは思えなかった。逆につらさが増したのよ」辰巳も咲が実の母親のもとでひどくつらい生活を送ってきたことは知っている。しかし、咲はあまり彼に昔の事を話そうとしなかった。そして今、咲から小さい頃の生活を聞き、彼は怒りが込み上がるとともに、彼女の境遇を思って胸が締め付けられた。そして自分の婚約者が目を真っ赤にして、静かに涙を流す姿を見ると、彼はまた胸が痛み彼女をぎゅっと強く抱きしめた。「咲、つらい時は我慢しないで思いっ切り泣いたほうがいいよ。少し気持ちが楽になるからね。兄弟姉妹でもみんな仲が良いわけでもないし、全ての親が子供を愛せるわけじゃない。親になる資格がない奴だってこの世にはいるんだ。俺たちは自分で親や兄弟を選べないだろう。ああいう人としての心を持たない奴にあたってしまったら、ただ離れるしかないんだ」咲はティッシュを取ろうとした。その時、辰巳が急いでティッシュを掴み、優しく彼女の涙を拭ってやった。その後、咲はまた自分で涙を拭いた。声はまだかすれていたが、気持ちを強く持とうとしているのも感じ取れた。「もう過去の事。私はなんとか耐え抜いてきた。それにお父さんに代わって復讐も果たしたわ。お父さんを殺した奴らはもう刑務所に送ったもの。鈴が出てきて、私からまた奪い返そうとするでしょうけど、怖くなんてないから。目がまったく見えなかった時だって、負けたりしなかった。今はもう見えるようになったんだもの、負けるわけないでしょう?」彼女はただ少し感情が乱れていろいろと考えてしまっただけだ。咲と鈴は実の姉妹同士だが、鈴は一度も咲を姉として見たことはなかった。だから咲も「姉」という立場を気にして、自ら相手に情をかけるつもりはない。鈴がこれから何をしようと、絶対に返り討ちにしてみせる。咲は今ではその目に光を取り戻した。それに柴尾グループの社長として会社を掌握している。自分も力をつけたし、後ろには結城辰巳という強い味方がいるのだから、怖いものなどあるわけない。彼女をここまで苦しめた実の母親も、すでにその罪を償うべく牢獄にいる。両親から甘やかされて何の力も持たない鈴など恐れるに足りない。
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第2489話

辰巳は咲からの軽いキスでは物足りず、彼女をしっかりと抱きしめて、情熱的なキスで応えた。長いキスを終えて、辰巳は咲に言った。「もちろん、君がマリア様みたいになんでも許すような人じゃないって知ってるさ。咲のそのやり方が好きなんだ。俺と同じだからな。俺たちは結ばれる運命だったんだよ」「前よりもっと図々しさを増してない?」「それは君には敵わないけど?」咲「……」足音が聞こえて、二人は離れた。執事が入ってきて、二人の前まで来た。「お嬢様、すでに柴尾鈴の後をつけさせています。彼女はここを離れてから、外の店で携帯を借りて電話をしていました」そう言うと、彼女はメモしておいた電話番号を咲に渡した。「彼女が電話をしたのはこの番号です。電話が繋がると、あまり長くは話さず、すぐに切っておりました」咲は河野夫人の新しい携帯番号が書かれたメモ紙を受け取り、その番号を見て言った。「これは誰の電話?柴尾家の親戚にこの番号の人を見たことはないわ」咲は顔をあげて執事に言った。「鈴を見張っていて。彼女がどこに行って、誰と接触したか教えて。絶対に彼女に知られないようにね」この電話番号の持ち主が誰なのか、咲は調べることができる。執事は恭しく頷いた。そして静かに退室し、二人の邪魔はしなかった。辰巳は咲の手からその紙を受け取り言った。「これは俺が調べておくよ」「自分で調べられるわ」「最近ものすごく暇なんだ。ちょっとくらい何か手伝わせてくれよ。そうじゃないとあまりに暇すぎて、いろいろ妄想を……」辰巳はじろじろと何度も咲の体を見つめただけで、その続きは口に出さなかった。すると咲は顔を微かに赤く染めて、辰巳に少し不満をもらし、結局は手伝ってもらうことにした。来栖浩司に手伝ってもらおうと思っていると、勘違いしているのではないか?電話番号の持ち主を調べるくらい、浩司に手伝ってもらおうと思うこともない。彼女が自分で解決できることだ。「先生には夜手料理をご馳走するって約束してたでしょ?さあ、琴ヶ丘に戻りましょう」辰巳は咲に尋ねた。「ちょっと休まなくていいの?」「琴ヶ丘に向かう途中車の中で少し寝れば大丈夫。到着したら起こしてね」辰巳は微笑んだ。「それでもいいよ」彼はケーキを一切れとり、彼女に食べさせて
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第2490話

理紗が無事出産したと聞き、咲は顔をあげて辰巳を見つめ微笑んだ。「生まれたの?この間唯花さんから、理紗さんの出産予定日は来月だって聞いてたの。どうしてもう生まれたの?」「二週間くらい早かったらしい。それに37週を過ぎていて、早産ではないんだって」「まだ時間があるし、それなら先に理紗さんとお子さんに会いに行ってから、琴ヶ丘に戻らない?」詩乃は唯花の伯母であり、神崎家と結城家は親戚同士だ。理紗が出産したのだから、二人もお祝いに行くべきだ。「うん、そうしようか」咲はすぐに立ち上がった。「じゃ、出産祝いを用意しなくっちゃ。あ、そうだわ、事前にベビー用品を買っておいたの。出産祝いってこれでいいのかしら?一カ月のお祝いの時に持っていったほうがいい?他に何か買う?」「気持ちなんだからそこまで気にする必要ないって。一カ月のお祝いの時にはまた何か贈り物を考えよう」咲は買っておいた贈り物を準備しにいった。「明凛さんも、唯花さんも妊娠してるし、多めにベビー用品を買っておいたのよ。赤ちゃんの初対面の贈り物」辰巳も立ち上がり、咲のほうへ近づいていった。彼女が贈り物を袋に入れる様子を優しく、愛情のこもった瞳で見つめていた。「うん、多めに準備しておいていいね。将来俺たちにも子供ができるんだし」すると咲は彼のほうへ振り返り、笑って言った。「私たち、まだ正式に結婚もしてないのに、子供の話なんて早すぎるでしょ。先生だって、今の私の体じゃ妊娠するのは難しいって言ってたし。体の調子を整えるのにしばらくかかるって。普通の病院なら長くて五年はかかるって言ってたわよ」「いいんだよ。先にたくさんいろいろと準備しておくに越したことはないだろう?」咲は笑うだけで、言葉は返さなかった。彼女もいつになったら母親になれるのかわからないのに、今から慌てて準備しておく必要もないだろう。出産祝いを準備し終え、咲は二階に着替えに行った。その後辰巳と一緒に柴尾邸を離れた。辰巳は夜は琴ヶ丘に滞在するから、病院へ行く前に、咲が毎日飲む薬を忘れずに持っておいた。そして二人は理紗に会いに病院に行った。理紗のいる個室は多くの人で賑わっていた。全て神崎家の親戚や友人がめでたい知らせを受け取って、理紗と生まれたばかりの赤ちゃんを見に来たのだ。辰巳が咲を連れて理紗
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