All Chapters of 交際0日婚のツンデレ御曹司に溺愛されています: Chapter 621 - Chapter 628

628 Chapters

第621話

「唯花、あなたは出て行かなくていいわ。私がどうにかするから」明凛はそうひとこと言って、疾風の如くササッと店の前に行き、金城琉生を阻止した。手を広げて彼の邪魔をし、そして彼を引っ張って行った。「明凛姉さん」琉生は無理やり従姉に連れられて行き、彼は立ち止まりたいと思ったが、明凛が力いっぱい彼を車の前まで引きずっていった。「車の鍵を開けな!」明凛は冷たい顔でそう命令した。琉生は彼女を見つめ、非常に不満そうな顔をしていた。「明凛姉さん」「車を開けなさいって言ってるでしょ!」明凛は厳しい口調でまた命令した。彼女は琉生よりも頭一つ分小さいが、その勢いは彼には負けていなかった。彼女の美しい瞳は冷ややかに琉生を睨んでいた。それで琉生は思わず車の鍵を開けた。すると、明凛は車のドアを開け、彼を押して中へと押し込み、完全に彼を車に放り込んでしまった。「明凛姉さん、俺は姉さんに用があって来ただけで、唯花さんを探しに来たんじゃないんだよ」琉生は助手席に無理やり座らされ、従姉が彼のシートベルトを締めた。「座ってなさい、車から降りちゃだめよ!」明凛は彼にそう命令してから車のドアを閉め、運転席のほうへぐるりと周り車に乗り込んだ。彼女のこの動作は素早く、その一連の動作はあっという間だった。唯花がお店から出てきた時には、明凛はすでにエンジンをかけ、琉生を乗せたまま車を走らせていった。この時、唯花の表情もあまり良くはなかった。琉生にはあれだけ散々言ったのに、まだ彼女のところに来るとは、これは彼女に店を引っ越すか、それとも明凛との関係を断てということなのか?都合の良いことに、明日から高校生は冬休みに入るし、年末も近いので、彼女も店を閉めて家でハンドメイドでもしていればいい。そしてすぐ、唯花は視線を店のほうへ向け、引き続き片付けを始めた。店の前に出していたラックを一つ一つ店の中へと移動していった。明凛は速度をあげて車を走らせた。琉生は何度も口を開いて話したが、彼女はひとこともしゃべらなかった。「姉さん」琉生は少し怒った口調で言った。「俺をどこに連れて行く気?さっきから姉さんに話しかけてるのに、なんでひとことも返事してくれないんだよ。唯花さんのことは諦めろって言ってたけど、自分の従姉に用があって来てもダメだって言うの?」
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第622話

小さい頃から琉生のことを守ってきたので、明凛と琉生の関係は良好だった。このように仲が深い従姉がいて、彼がある女性を好きになったら、この従姉なら本来は彼に有利になるように動いてくれたはずだ。しかし、従姉は彼を応援せず、荒れ狂う波のように彼に猛反発し、邪魔をしてきた。しかも彼を罵りまでしたのだった。琉生が唯花のことをどうしようもなく深く愛しているのに、結ばれないという状況は、彼にとって苦痛でしかなかった。それに彼とずっと仲が良かった従姉が彼の恋に反対してきたことも、彼をさらに苦しめていた。「仕事がうまくいかないから、私に吐き出したいんでしょ。それなら電話でもいいし、うちに来たっていいじゃないの。明日は週末でお店は開けないから、何か私に話したいことがあるなら、一日中付き合って愚痴を聞いてあげるわよ。もちろん仕事がうまくいかないはずよ。あんた、仕事に集中できてる?そうじゃなくて一日中どうやって唯花に付き纏うか考えてるんでしょ。何百回も言ったけど、唯花は結婚して旦那さんがいるんだってば。あの子はあんたに男女が持つような感情は持ち合わせてないの。こうやっていつまでも唯花に執着して意味があると思う?ただあんた達の昔からの友情を薄くさせるだけでしょうもん。あんたのせいであの夫婦は二回も喧嘩したのよ。あんたは悪かったと思わないかもしれないけど、こっちはものすんごく申し訳ない気分よ」琉生は頭を傾けて窓の外の景色を見ていた。町はそこらじゅうガヤガヤと賑やかな様子だった。年越しが近く、多くの人たちは実家に帰って正月を迎える準備に入っている時期だが、それでもまだ多くの人がこの市内で年越しをする予定だ。「姉さん、俺自分を抑えられないんだ。俺だってこんなことするのは間違ってるってわかってるよ。唯花さんの結婚生活を邪魔する第三者だと罵られても、自分を止められないんだ。ただ彼女を一目見たいと思うんだ。見るだけだ、話なんかしないから、俺はそれで満足なんだ。俺と唯花さんが知り合って十数年経つのに、俺のほうが結婚の邪魔者になるとか……そうなるべきは、あの結城って人のほうだろ。彼は唯花さんと知り合って、まだ数カ月しか経っていないじゃないか。なんで後から来た奴に彼女を取られなきゃならないんだよ」この時、明凛が運転しているのでなければ、琉生を蛇口の下まで引っ張って行って、
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第623話

明凛は車をずっと飛ばし、琉生を金城家の邸宅へと送った。車を止めると、彼女はまず唯花にメッセージを送り、あと30分くらいしたら戻るから店で待っているように伝えた。唯花はそれに了解したというスタンプを送り返した。明凛のおばである金城伊織(かねしろ いおり)はちょうど出かけようとしていた。彼女は毎晩付き合いがあるのだ。ポーカーをしに行ったり、パーティーに参加したり、夫に付き合って接待に行ったりだ。その時、息子が車を家の前に止め、車から姪が降りてきたのを見て彼女は少し驚き、すぐに笑顔になって言った。「明凛、どうして琉生と一緒にいるの?」彼女はまた車から降りてきたばかりの息子に向かって言った。「お父さんがあなたが仕事が終わるとすぐいなくなったって言ってたわよ。琉生、お父さんは今忙しいんだから、もっとお父さんを助けてくれないと」夫の金城健司(かねしろ けんじ)が、金城グループ傘下の子会社は本来結城グループとのビジネスがあったが、最近どういうことなのか、結城グループ側から一方的にその提携を打ち切られてしまったと言っていたのだ。そして、夫は最近いくつかプロジェクトを進めていて、そのうち二つはもう契約にサインをする手前まで来ていたのだが、やはりそれも結城グループに邪魔されてしまったのだった。ビジネスをする上では、誰かに横取りされるようなことは、まあ、そう珍しいことではない。しかし、結城グループから提携を打ち切られ、その後すぐ堂々と彼らのプロジェクトを横取りされてしまったのだから、これは周りに結城グループは金城グループと不仲になったと宣言しているようなものだった。金城グループと結城グループの提携はそこまで深い繋がりを持っていたわけではない。主に違うビジネスを展開しているから、特にそこまで提携をするようなことがなかったのだ。しかし、結城グループがこのように周りにもわかるような態度を取ってくると、金城グループは周りから注目されることになる。多くの人間が金城グループはもしかして結城グループを怒らせたのではないかと知りたがっていた。結城グループに面と向かって立ち向かおうとできる会社は多くはない。ただ神崎グループくらいであろう。神崎グループは非常に実力があり、今の社長も相当すごい人物で、理仁と互角に張り合える人間だ。彼ら金城グループはその神崎グルー
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第624話

「健司おじさんはまだ帰ってきてないの?」「接待でしょうね。十二時前に帰って来ることはないわ」琉生の妹はまだ大学生で、今はもう冬休みに入ったから友達と旅行に行っているらしい。年越し前には帰ってくると言っていた。それで家の中には他に誰もいなかった。おばと姪は一緒にソファに腰かけ、琉生はその二人の隣に座り、かなり緊張した面持ちで母親を見ていた。「明凛、私に話ってなに?」「おばさん、先に言っておくけど、これはね唯花のせいじゃないのよ。だからちゃんと全部聞いてから怒ってね。息子にだけしか怒りの矛先を向けちゃダメよ。唯花には絶対にその矛先を向けないでね」明凛はこのように先に予防線を張って、唯花を守ろうとする作戦だ。「おばさんがもし唯花に対して怒るなら、今後、私は二度とここには来ないわ」伊織は笑って言った。「何のこと?そんな仰々しい様子で。どうしておばさんが唯花ちゃんに怒らないといけないのよ。彼女とあなたは十数年来のお友達でしょう。おばさんだってあの子が大きくなるまでずっと見守ってきたんだから。あの子はとても物分かりの良い子だわ、彼女のことが好きなんだから、怒るわけないでしょ。言って、一体どうしたの?琉生が何かやらかして、唯花ちゃんに迷惑でもかけた?」明凛が話し始めようとした時、琉生が突然口を挟んできて、母親を見つめながら真剣な眼差しで言った。「お母さん、俺、唯花さんのことが好きなんだ。もう何年も彼女に片思いしてきた。でも、明凛姉さんが応援してくれないんだ。それだけじゃなく、俺が唯花さんを追いかけるのだってやめさせようとするんだよ。そして、お母さんも同じように同意しないって言うんだ。お母さん、さっきも唯花さんのことが好きだって言ってたよね。お母さんは俺と唯花さんが一緒になるのに賛成してくれるでしょ?」息子のその言葉を聞いて、笑顔だった伊織の顔は少しずつこわばっていった。彼女は先に姪のほうを向いて尋ねた。「明凛、唯花ちゃんはもう結婚したんじゃなかったっけ?」「そうよ。しかもあの子は今スピード結婚した旦那さんと仲良くなってるの。唯花だって琉生の告白をはっきりと断ったのよ。なのに琉生ったらいつまでもしつこく諦めないの」伊織はまた自分の息子のほうを向いた。琉生は期待した眼差しで母親を見つめていた。その次の瞬間、彼の母
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第625話

「おばさん、私、琉生の車でここまで来たの。自分の車じゃないのよ。だから運転手さんにお願いして店まで送ってもらえないかな」伊織は怒りを抑えて、一人メイドを呼んできて運転手に明凛を送るように連絡しろと指示を出した。明凛が帰っていった後、伊織はまた息子を叩いて、怒鳴った。「琉生、あんた母さんを怒らせて楽しい?唯花ちゃんはあなたよりも三歳年上で、家柄だって良くないじゃない。あんた判断する能力もなく、彼女を好きになったって?」「お母さん、唯花さんのことすごく好きなんじゃないの?三歳年上だからって何だって言うんだよ?別に三十歳年上なわけじゃないじゃんか。唯花さんの家柄のどこが悪いっていうんだ?内海家は何も問題ないだろ、先祖だって普通の農業従事者だったんだし、法に触れるようなことだってしてないよ。完全に真っ白じゃないか」伊織は怒りで顔が真っ赤になっていた。「お母さんは彼女のことを気に入ってるわよ。それは明凛と仲が良いから彼女をもう一人の姪のように可愛がっているからなの。あなたとは関係ないから、唯花ちゃんのことを気に入ってるの。私がもしあなたにそのような気持ちがあるんだと知っていたら、お母さんは絶対にあなた達が関わらないようにしていたわよ。琉生、あんたさっさとその気持ちを殺してしまいなさい。唯花ちゃんが結婚してるからとかじゃなくて、もしまだ独身だったとしても、お母さんはあなた達が付き合うことは許さないわ。唯花ちゃんのあの最低な親戚を知ってるでしょ、どれも最低なクズどもで、人から利益を吸い取ろうとする吸血鬼みたいな人間よ。誰があんな奴らと親戚関係になろうと思う?そんなことになったら、孫の代まで不幸になるだけよ。唯花ちゃんのご両親はもう亡くなっているわ。お母さんはね、あの子の人柄はとても良いと思ってるわ。けれど、あの子はあなたには相応しくないの。釣り合わないのよ、あなたはこの金城家の息子、金城グループの後継者よ。将来あなたの妻になる人は絶対に名家出身のご令嬢でなければならないわ。唯花ちゃんにあなたの何を助けられる?彼女には何もできないわよ。私はあなたが普通のそこら辺の女の子と結婚して妻にするのは認めないわ。あんたが彼女と結婚したとして、あのひどい親戚たちがそれを知ったら、私たちが無視して彼らを親戚と認めなくても、あいつらは絶対に外で私たち金城家の
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第626話

琉生は現状を面と向かって見る勇気はなかったが、心の底ではよくわかっていることがあった。唯花には誰も頼れる存在がいない。しかし彼の母親は金城家の夫人だ。彼ら金城家は唯花からすれば金持ちで権力のある一家だ。彼の母親が唯花に手を出そうと思えば、彼女はどうすることもできず星城から去るしかない。「やってみるじゃないの、絶対にその気持ちを捨てなさい。彼女のことは諦めるのよ!」伊織は息子にそう命令した。伊織は言ったことは実行する。すぐに二人のボディーガードを呼んできて命令を下した。「あなた達、今から片時も離れずに琉生のそばにいなさい。この子が星城高校の前にある店まで行くようなことがあれば、すぐに私に伝えなさい」琉生はまるで死人のように生気を失った。一方その頃、明凛は金城家の運転手に店まで送り届けてもらっていた。唯花はすでに店の前のラックを全て中へ片付けてしまっていた。そして、彼女のハンドメイド用の材料や道具も全て片付け終わって、冷蔵庫にある野菜やおやつなども袋に入れてしまっていた。家に持って帰るつもりなのだ。明日は店は開けない。年が明けてから、また店を開くつもりだった。「唯花、もう全部片付けちゃった?」「終わったわよ。ここにあるやつあなたの車に乗っけておく?それとも明日また来て運ぼうか?」「私の車に乗っけて、後で家に送る時に一緒に持ってくから」唯花は明凛の車に運び始めた。そして運びながら笑って言った。「私たちお酒を飲みに行くでしょ。その後、私を家まで送ってくれるの?まさか飲酒運転しようって?それならあなたの車には乗りたくないわ」「代行業者に頼もうか」唯花はその時、七瀬のことを思い出して言った。「七瀬って人が運転代行してるのよ。あの人は頼りになるわ。うちのあの怒りん坊将軍も七瀬さんのことを頼りになるって言ってたし、後で帰る時、彼に電話して家まで送ってもらいましょう」明凛は言った。「必要ないよ、もう運転してくれる人は見つけてあるから」「誰?」「弟を呼んだの。弟にはバー・レガリスで待つように伝えてあるわ。あいつはアルコールにアレルギーがあるからお酒が飲めないの。それに実の弟だし、私たちが酔いつぶれても、彼がいれば誰かに絡まれる心配もないでしょう。私たち女の子がバーみたいなところにお酒を飲みにいくのは悪いことじゃ
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第627話

唯花に怒りん坊将軍と名付けられた理仁は、オフィスで数時間寝てからやっと目を覚ました。目を開けると、厚めのコートをかけて寝ていたことに気づき、それをどけて時間を確認した。「もう夜九時か」理仁は低く唸った。こんなに長く寝てしまっていたのだ。彼を起こすことなく、コートをかけてくれたのはきっと子会社の社長だろう。理仁は姿勢を正して座り、数分間黙っていた後、立ち上がって洗面所に行き水で顔を洗って目を覚ました。そして、数分してから洗面所から出てきた。またオフィスのデスクの前に腰かけ、置いてあった弁当の蓋を開けた。料理はまだ温かかった。デスクの前に座ったままそれを食べ始めると携帯を手に取ってLINEを開いて見た。会社の管理職から連絡があり仕事についての相談があったのと、弟たちから何通かメッセージが届いていた。LINEのメッセージを全て見終わると理仁は表情を暗くした。唯花からは一通もメッセージが届いていなかったのだ。清水が彼女はもう怒っていないと言っていたのに。この時の唯花は店でハンドメイドをしているか、姉の家で楽しくおしゃべりをしているかだろう。恐らく理仁のことなどすっかり頭にないのだ。理仁は心が塞いだ。LINEを閉じて、ショートメッセージが来ていたのに気づき、それを開いて見た。思いもよらずそれは清水からだった。清水は午後に送ってきていたのだが、彼は寝ていたので気づかなかったのだ。「若旦那様、若奥様は牧野さんとバーへお酒を飲みに行くそうですよ」清水が送ってきたのは、その一行だった。それを見た理仁はまた顔を暗くし、ご飯を食べずにすぐ清水に電話をかけた。暫くして清水はようやく電話に出た。「若旦那様、今さっき唯月さんに下にゴミを捨てると言い訳して家を出てから電話に出たので遅くなりました」清水は言った。「若旦那様、どうしてこんな遅くなって返事をくれたのですか。若奥様はきっと今頃お酒を飲みに行かれていますよ」理仁は低い声で尋ねた。「彼女はどの店に行ったんですか?昨夜は徹夜したから、午後はもう眠くてしかたなくなって寝てしまったんです。さっき起きてメールを見たばかりで」清水は心の中で、若旦那様に連絡したのにこんなに経っても返事がなかったのは、眠っていたからなのかと納得した。「唯花さんはどのバーに行ってる
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第628話

「……」悟は頭を抱えて言った。「君たちどうしてまた喧嘩を?最近ずっと仲良かっただろう。あんなに死ぬほどラブラブっぷりを見せつけてきてたくせに、ちょっと目を離した隙にまた喧嘩かよ。なるほど、それで奥さんがバーに酒を飲みに行ったわけか。結局君のせいかよ」理仁は言った。「先に彼女たちがどこのバーにいるのか、行ってどのくらい経つのか調べてくれ。酔ってないだろうか?わかったらすぐ俺に教えてくれ」「わかった、すぐ調べるよ」悟はすぐ電話を切り、あの二人の女性がどこにお酒を飲みに行ったのか調べさせた。悟からの返事を待っている間に、理仁は結城家のプライベートジェットの操縦士たちに連絡して言いつけた。「今すぐ帰る準備をしてくれ。十分ほどしたら星城に戻る」出張する時、彼が唯花に空港まで送ってもらわなかった理由は、まず彼は会社に行く必要があったこと。それから、飛行機チケットなど予約していなかったことだ。なぜなら、彼は家のプライベートジェットで出張に来たからなのだ。理仁からの通知を受け取った操縦士たち乗組員は、急いで準備を始めた。理仁は全て手配した後、唯花に電話をかけ始めた。この時の唯花は明凛とその弟と一緒にバーでお酒を飲んで上機嫌だった。明凛の弟である牧野涼太(まきの りょうた)はお酒を飲めないので、彼は二人の横に座って、二人が次々とお酒を飲んでいる様子を見ていた。特に唯花のほうは、まるでお酒を水の如くどんどんと口に流し込んでいた。そして彼は我慢できなくなって注意した。「唯花姉さん、そんなに飲まないほうがいいですよ。もう顔がトマトみたいに真っ赤じゃないですか。そもそもお酒にそんなに強いほうじゃないでしょう。これ以上飲んだら酔っぱらってしまいますよ」唯花はそれを聞いて笑って言った。「酔ったら嫌なことなんかスカッと忘れられるでしょ。お姉ちゃんはね、今日はとことん酔っ払いちゃいたいのよ。結城理仁が誰だったかも忘れられるくらい酔いつぶれるの」涼太は自分の姉のほうに目を向けた。明凛は弟の肩を軽くポンポンと叩き言った。「唯花姉さんはね、今気分が良くないのよ。今日はこの私がこの子に付き合ってるから、あんたはただここで見守ってるだけでいいの。お酒を控えるように注意する必要はないって、もう思う存分今日は飲ませてあげましょう。ひどく酔っぱらって明日起
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