「初露!あなたも来てたのね!」 桜子は初露の柔らかい顔を嬉しそうにむぎゅっとつかんだ。顔には笑顔が溢れそうだった。 初露は恥ずかしそうに唇をぎゅっと閉じ、小さなぬいぐるみを抱きしめながら、可愛らしく言った。「桜子お義姉さん、会いたかったんです……隼人お兄さんにも会いたかったから、来ました」 隼人はその言葉を聞いて、少し微笑みを浮かべた。 いい妹だな。この『お義姉さん』って呼び方、心に響くな。 桜子は初露がこんなに大勢の前で「お義姉さん」って呼んだことに少し驚いたけど、彼女が小さなぬいぐるみを抱えているのを見て、心が温かくなって、愛おしさが込み上げてきた。 「初露、私も会いたかったよ」 その後、桜子は優希に冷たい視線を向け、低い声で言った。「初露を連れてきたのは、秦の誕生日宴から?」 「そうだ」優希は笑いながら、堂々と認めた。 「笑ってる場合か?」 桜子の目に怒りがこもり、振り返って優希の肩を指で突いた。「あなたは自分だけで楽しんで、初露のことを考えたことあるの?初露をこんな大々的に連れて行って、帰った後どうするつもりだ?宮沢会長と秦に責められるだろう!」 「帰る?あんな家、母親は母親じゃないし、姉はまるで鬼みたいなもんだ。初露が帰りたくないのも当然だろ」 優希は眉を少し上げて、鋭い目で見ながら言った。「この数日間、初露はずっと俺と一緒に住んでた」 桜子は驚き、目を大きく見開いた。「え?どういうこと?!」 「俺は環山に持ってる家を、初露の名義にしておいた。これからはあそこが彼女の家だ。宮沢家にいるのが嫌なら、いつでも環山の別荘に行って住める」 優希の視線は初露に優しく注がれ、彼女に対する深い感情が伝わってきた。 桜子は呆然とし、怒りをこらえきれず、思わず「どうしてそんなことを!」と叫びたくなった。 「いつそんなことをしたんだ?」 隼人も我慢できず、歩み寄り、優希の前に立つと、怒りを隠せずに言った。「優希、お前勝手に俺の妹と一緒に住んでるのか?よくそんな大胆なことができるな!」 「ただ一緒に住んでただけだ!何もしてない!」 優希は急いで言い訳しようとした。 彼の心には、どれだけ多くの女性が彼に夢中で寄ってきたか知っていた。だが、初露に対しては
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