写真には、西洋人の女性が1歳くらいの赤ちゃんを抱いている様子が写っていた。白石沙耶香は写真を見て、誰かが間違えて送ってきたのだと思った。自分は写真の人物を知らなかったからだ。スクロールしていくと、写真に柴田夏彦が写っているのを見つけて、彼女は硬直した。どういうことだ?眉をひそめて相手に聞こうとしたその時、ダイアログボックスにメッセージが表示された。【これは柴田夏彦の元カノ、バーニスだ。彼との間に子供を産んでいる】柴田夏彦に......元カノと子供がいる?白石沙耶香が驚愕しているところに、さらに音声ファイルが送られてきた。彼女は音声ファイル数秒間見つめた後、震える指でそれを再生した。音声からは柴田夏彦の声が聞こえてきた。「彼女にもしやましいことがあったとしても、あなたの質問攻めには耐えられないだろう。どうしてまだ疑うんだ?」続いて、斉藤月子の軽蔑するような声が聞こえた。「彼女の顔立ちとスタイルを見てごらんなさい。歩き方さえも色っぽい。あんなに美人で男を惑わすような女が、本当に大人しいはずがないわ。絶対に信じられない」そして、柴田夏彦の父親、柴田睦樹の声も聞こえた。「確かに美人だ。普通の男なら誰でも多少は気が惹かれるだろう。ましてや、金持ちの男と遊んでいる女ならなおさらだ。ましてや、あんな金と欲が渦巻く場所で遊んでるような男どもなら、ちょっと権力をチラつかせるだけで、すぐに従わせられる。彼女の言うことなんて、真に受けるほどのもんじゃないよ」彼らの会話のBGMはサックスの曲だった。彼女が柴田夏彦の両親に会ったレストランでも、同じような軽音楽が流れていた。恐らく、彼女がトイレに行った後、家族で彼女のことを悪く言っていたのだろう。柴田夏彦の両親の言葉はそれほど気にならなかったが、柴田夏彦が言った「手に入れていないのに、どうして諦められるんだ?」、「お母さん、さっき沙耶香を問い詰めている時、私が止めなかったのは、あなたが私の母親だから顔を立てたんだ。あなたのために、彼女に立場を示す機会を作ったんだ」という言葉は、白石沙耶香の心を冷たくさせた。暗くなっていく画面をぼんやりと見つめていると、エレベーターのドアが開いた。屋上庭園が目の前に広がっていた。柔らかな赤い絨毯、緑の芝生、長方形の木製テーブルと椅子、豪華な料理、バラで
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