和泉夕子は泣き声で目を覚ました。目を開けると、相川涼介がぬいぐるみに必死に綿を詰め込み、穂果ちゃんがぬいぐるみの頭を引っ張りながら大泣きしている姿が目に入った。「どうしたの?」彼女はティッシュを取り、穂果ちゃんの涙を拭いてあげた。「でかいおじさん……うそつき……」しゃくりあげながら泣いていた穂果ちゃんは、叔母さんが起きたのを見ると、ぬいぐるみの頭も構わずに和泉夕子の腕にしがみつき、相川涼介を告げ口した。「ママが残してくれたぬいぐるみを壊して、直せないの、うわぁぁん……」相川涼介は無言だった。本当にとばっちり食らった。彼は隣に座っている霜村社長をちらりと見た。ちょうど霜村冷司も彼を見ており、その目は「責任はお前が取れ」と言っているようだった。相川涼介は深くため息をついた。まあいい、豪邸をもらったんだから、この責任だけは代わりに引き受けてやろう。「奥様、ぬいぐるみの中にチップがありまして……」相川涼介は霜村社長の手に握られているチップを指さし、和泉夕子に目配せした。一体誰が本当の犯人なのか理解してもらいたかった。チップに完全に気を取られた和泉夕子は、誰がぬいぐるみを解体したのかなど考えもせず「なんでそんなものが入ってるの?」と尋ねた。霜村冷司は手のチップを摩り、考え深げに言った。「お姉さんが子どもに残したものかもしれないし、君に残したものかもしれない」和泉夕子は彼の手からチップを受け取り、しばらく見つめた後、顔を上げて霜村冷司に尋ねた。「処理して開かないといけないの?」霜村冷司は軽く頷き、まだ泣いている穂果ちゃんを少し頭を悩ませながら見た。「お母さんがぬいぐるみに何かを残した。それを取り出すには、まずぬいぐるみを開けるしかない。その道理はわかるか?」穂果ちゃんは自分の袖で涙と鼻水を拭きながら小さな頭を縦に振った。「わかる、でも悲しいの。ママの形見なの。これがなくなったら、ママも消えちゃうみたい……」和泉夕子は胸が痛み、急いで穂果ちゃんを抱き上げた。「穂果ちゃん、心配しないで。叔母さんがぬいぐるみを直してあげるから、これからもずっと一緒だよ」穂果ちゃんはようやく小さな頭を和泉夕子の胸に預けた。「ありがとう、叔母さん……」和泉夕子は穂果ちゃんの髪をやさしく撫でながらあやし、泣き疲れた穂果ちゃんはすぐ
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