「ノラ、私に何でもさせるから......どうか暁には手を出さないで。彼はまだ何もわからない赤ちゃんよ、お願いだから、見逃して」「見逃すつもりですよ。ほら、早く子供をベッドに寝かせてください。早くしないと撃ちますよ」ノラの目にはもう一切の情けも残っていなかった。若子は泣きながら暁にキスし、ボロボロ涙をこぼしながら、そっとベッドに寝かせた。「一体、何をするつもりなの?」「お姉さん、ここから出ましょう。外は気持ち悪い奴らばっかりですし、僕と二人だけの世界へ行きましょう。誰もいない場所で、ずっと一緒に暮らしましょう」「どこに連れていくつもりなの?」ノラはポケットから薬の小瓶を取り出し、ひと粒机に置く。「これを飲んでください」「これは何の薬?」「心配しないでください、死ぬようなものじゃありません。短時間だけ意識がぼんやりするだけで、僕が連れて行きやすくなるんです」「じゃあ、暁はどうするの?何をする気?」「お姉さんが彼を置いていけって言ったでしょ?約束します、暁はここに残します。お姉さんは僕と一緒に行くだけです」「でも、そんなの無理よ。赤ちゃん一人にして、誰が世話をしてくれるの?ミルクもオムツも......」「なるほど、それもそうですね」ノラは小さく頷いて、「じゃあ、暁も一緒に連れていきましょうか。ちょうど毎日お姉さんを脅せますし」そう言って、暁を抱き上げようとした。「やめて!」若子は必死にベッドへ駆け寄り、暁をしっかり抱きしめる。「お願い、彼に触らないで、傷つけないで!」「じゃあどうするんです?お姉さんが一人で僕と行くか、二人で行くか、選ばせてあげてるんですよ」若子の頭は真っ白だった。暁を家に一人で残せば、誰かが気づいてくれるかもしれない。でも、ノラと一緒なら、彼の銃口はずっと暁に向けられるだろう。でも、もし暁を連れて行ったら、この狂気の男が何をするか分からない。「お姉さん、もう決めてくださいよ」「私がついていったら......暁はどうなるの?」「お姉さん、僕の気持ちは分かりますよね?暁が大事なら一緒に連れていってもいいし、放っていきたければそのまま置いていけばいい。ただし、従えば何もしません」若子は、その言葉に唇を噛んだ。苦しすぎる選択が、目の前に突きつけられていた。「じゃあ、あと十
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