修は、とても長い夢を見ていた、目を覚ますと、全身がひどく痛んだ。「修、やっと目が覚めたな」曜がほっとしたように息をついた。目を開けた瞬間、体の痛みだけじゃなく、心臓の奥が強く締めつけられるように痛んだ。意識が戻ったばかりなのに、真っ先に浮かんだのは若子に言われたあの言葉。―若子は、本当に残酷だな。なんであの事故で死ねなかったんだろう?なんで、また目を覚ましてしまったんだ?ぼんやりとした修の表情を見て、曜がすぐ声をかけた。「修、どうした?しっかりしろよ。お前、どうしてあんなに不注意だったんだ。まあ、とにかく助かってよかった。今はちゃんと体を休めろ、会社のことは気にしなくていい。俺がなんとかするから。光莉はまだ目を覚ましてないんだぞ、お前までいなくなったら、俺はどうしたらいいんだ」曜の言葉は、修の耳にはほとんど届かなかった。心の奥が痛みに支配され、なぜ助けたのかと問い詰めたい気持ちが込み上げる。曜はもうしばらく修のそばにいたが、会社の用事があって長居はできなかった。ボディーガードと看護師にきちんと修を頼んで、病室をあとにした。数時間後、雅子が修を見舞いにやってきた。病室に入るなり、雅子は泣きじゃくっていた。「修、事故にあったって聞いて、心配で眠れなかったよ。無事で本当によかった」修は眉をひそめ、不機嫌そうに口を開いた。「なんで来たんだよ?」「前の結婚式のこともあって、ずっと心配してたの。きっと今、辛いんじゃないかと思って......誰かそばにいてあげたいと思ったんだ。もし必要なら、いつでも側にいるから」侑子の本性が明らかになり、若子とも離婚した今は、雅子にとって絶好のタイミングだった。修は小さくため息をついた。「俺は誰も必要としてない。もう帰ってくれ」「修、私、松本と二人で話したの」修は驚いて顔を向けた。「いつの話だ?」「少し前、偶然会って、ちょっとだけ話したの」「お前ら二人で話すことなんてあるのか?」修は冷たく言い放つ。「そんなに仲良かったわけでもないだろ」「修、昔のことはもう終わったの。私と松本も、もう敵同士じゃないし。それにね、彼女、どうやら他に好きな人ができたみたい」修は苛立ちを隠せず、目を細めた。「もう若子の話はやめろ。出て行け」
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