店員は一瞬ぽかんとしていた。美琴も同じく不思議そうに彼女を見ている。「美琴さん、私も何着かコーディネートしてあげましょうか?」美琴は真白を一瞥し、ふん、あんただけ服を選んでもらえる人がいると思ってるの?私だっているよ!意地を張って、彼女は笑顔で晴香に向けて頷いた。「ええ、あなたのセンスを信じているわ」こう言い出した時、彼女はつい先日、晴香のセンスの悪さをこき下ろしたことを完全に忘れていた。晴香はすぐさま服選びを始め、後ろに立つ店員二人に次々と服を取ってくるように指示し、威勢だけあるものだ。一方、凛は全く違う選び方をしている。彼女は服を選ぶ際、まず色とデザインを確認し、手で生地の感触を確かめる。最後に決めてから店員に取り寄せ、一式ずつ揃えて並べてもらう。「真白さん、一通り見てたら、この2着が良いと思います。試着してみませんか?」真白は服を受け取り、期待と興奮に目を輝かせた。凛ちゃんのセンスが心底気に入る。これまでしてもらったコーディネートは全部、真白の好みにぴったりだった。本音を言えば、娘の庄司すみれよりも、凛と買い物する方がずっと楽しい。これが波長が合うという事なのかしら?その時、晴香が近づいてきた。「私も選び終わりました」美琴は試着室へ向かった。彼女が先に試着を終え、晴香が選んだ赤いAラインのストラップドレスにシャネル風の上着を合わせたコーディネートによって、美琴はかなり若々しく見えた。美琴はミラーで自分を眺め、まあまあ満足そうだった。「なかなかいいわね」「美琴さんがお若いからですよ。私よりスタイルがいいんですもの」と晴香は謙遜して笑った。それを聞いて、美琴はご機嫌になった。しかし次の瞬間、隣の試着室から出てくる真白を見た途端、彼女の笑みは一瞬で凍りついた。凛が選んだ淡い紺色のドレスは、竹の模様が入ってあり、シンプルなシルクの生地で、奥行きを与えていた。現代風にアレンジされたデザインは体のラインにフィットし、真白の優雅で上品な雰囲気を一層引き立てていた。美琴は彼女の横に立つと、まるで「見栄を張ったおばぁちゃん」のようで、歳にそぐわない服を着て無理に若作りしているように見える。優劣が一目瞭然だ。次のコーディネートも、真白は完全に圧勝した。晴香は最初、また自信満
Baca selengkapnya