目的地が病院であることを確認すると、静華の目頭が熱くなり、視界が滲んだ。やはり、胤道は彼女のことを気にかけてくれているのだ。母の死という衝撃があまりに大きく、一時的に冷淡でよそよそしい態度を取っているだけなのだろう。静華は嬉しさのあまり、胤道の指先をギュッと握りしめた。「胤道、病院に連れてきてくれたのは、診察のため?実は昨日から、少しお腹の調子が悪かったの。早く検査を済ませて、別荘に帰って休みましょう?ね?」静華は真剣に尋ねた。胤道は振り返って彼女を見たが、その瞳に宿る感情は読み取れなかった。次の瞬間、彼は逆に静華の手を強く握り返した。胤道の指先は冷ややかだったが、静華は意外なほどの安堵感を覚え、胤道の歩調に合わせてついて行った。ただ、胤道の足取りは速く、静華はついていくのがやっとだった。二人がエレベーターに乗り込むと、三郎も続こうとしたが、一歩踏み出した瞬間、胤道の鋭い視線に射抜かれて足を止めた。「俺が指示した件は済ませたのか?ついてくるな。俺一人でいい」三郎が困惑した表情を浮かべたため、静華は彼が板挟みになるのを案じて口を挟んだ。「私と胤道だけで大丈夫よ。三郎は自分の仕事に戻って。私の検査で時間を取らせちゃ悪いわ」胤道がボタンを押すと、エレベーターのドアが無機質な音を立てて閉まった。だが、箱は上へは向かわず、重力に引かれるように下降を始めた。静華は瞬時に不安に襲われ、胤道の腕を掴んだ。「胤道?」声が微かに震える。「どうしたの?エレベーター、下がってるわよ?」胤道は答えなかった。ただ彼女の手を握る力が強まり、それはまるで手錠のような拘束感を与えた。窒息しそうな沈黙の中、ドアが開く。冷気が顔を打ち、静華が呆然としている隙に、胤道は大股で歩き出し、彼女を無理やりエレベーターから引きずり出した。その動作はあまりに乱暴で、静華の指先に激痛が走った。「痛い!胤道、離して!痛いわ!」しかし胤道は聞く耳を持たず、彼女を廊下からホールへと強引に引きずっていった。静華は体を丸めて抵抗したが、まるで荷物のように扱われ、ようやく足が止まったかと思うと――背中を強く押され、彼女は勢いよく前につんのめった。目の前には台のようなものがあり、白い布がかけられている。とっさに手をついて体を支えよう
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