「……よづ……」翔太はそのまま歩みを進め、回転ドアから外へ出ていった。美羽もまた、そのドアに「押し出される」ようにして外に出てしまった。背を向けて去っていく彼の姿を、美羽は振り返りながら見つめ続けていた。――そのとき、配達員の声が響いた。「電話番号の下4桁は2055のお客様ですか?」美羽はようやく目を戻し、「ええ、そうです」と答えた。受け取った料理を部屋に持ち帰った。だが目覚めた時にあった晴れやかな気分は、すっかり霧散していた。彼女には分かっていた。翔太が瑛司に強い敵意、いや嫌悪を抱いていることを。けれど、その感情の理由がまったく分からない……二人は同じ高校の同級生ではなかったのか?しかもあのクルーズの時、翔太は竹内会長と親しくしていた。実の父親以上の親密さに見えたほどなのに、なぜ瑛司にだけこれほど反感を抱くのか。自分のせいで二人の仲がこじれた――などとは、美羽は思わなかった。仮に自分が原因の一端だったとしても、それはごくわずか。二人の間には、必ず別の理由があるはずだ。今回注文したのはラーメンだ。前にホテルで食べたときは美味しかったのに、気分が沈んでいる今はどうにも味気ない。食べ終えると、そのまま北江通りの研究所へ。慶太と合流した。今日で彼らが滝岡市に来てから7日目。必要なデータはほぼ揃い、この調子なら2、3日で星煌市へ戻れる見込みだ。午後いっぱい動き回った美羽は、少し暑くなってマフラーを外した。慶太がペットボトルの水のキャップをひねり、彼女に差し出した。何か言おうとしたその時、彼の目の端に警官服の男が二人近づいてくるのが映った。「真田美羽さん……ですか?」美羽が振り向き、警官を見た。思わずきょとんとした顔になった。「はい、そうですが……」「私たちは滝岡市市警局の者です。いくつかお話を伺いたいのですが」慶太がすぐに彼女の前に立ちはだかった。「ご用件は何でしょうか?」「そちらは?」「彼女の上司です」だが警官たちは美羽にだけ視線を向けた。「私たちが探しているのは真田さんです。――昨夜、東側の森に行かれましたね?」彼女は唇を噛み、「ええ」と答えた。「少しお話を伺っても?」美羽は考え込んだあと、慶太の服の裾を引っ張った。「警官の方と話してきます」慶太は立ち
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