退職後のこの事件への伊藤の参加は、市民の勇気ある行為として扱われ、任務の記録を終えた後、表彰さえ受けた。彼は少し照れくさそうだった。私心があったことは確かだから。「恥ずかしがることないでしょう?あなたのしたことは、私たちの家系図に載せるべきことよ」伊藤は私に傘を差しかけながら、私たちは買い物をして家路についた。「七恵の家には家系図があるの?」「そうよ」「じゃあ、僕のことを必ず書いてもらわないと......いや、今夜にでもご両親に線香を上げた方が早いかな。手紙じゃ遅すぎる」私「......」伊藤が戻ってきてから、私をずっと慰めてくれた。警察から突然任務の連絡があり、私を起こす時間もなく、服を着て出かけたと知った時、私は今でも怖くなる。冷蔵庫に一週間分の食事があったから、一週間後には戻れると思っていたけど、私が外に出て彼を探しに行き、佐藤隆に佐藤邸へ連れ戻されるとは思わなかったと言う。夜ご飯の前、私はソファで丸くなり、片手に身分証明書を持ち、もう片方の手でスマートフォンを見ていた。キッチンで、伊藤は野菜を切りながら、大きな声で私と話をした。「村上が逮捕されたよ。裁判所が既に起訴したそう」「うん」「佐藤は......殺人未遂の容疑で、取り調べを受けるかもしれない」「うん、私は示談書を書くつもり」いつの間にか、キッチンで野菜を切る音が止み、伊藤が私の後ろに来て、突然抱きしめてきた。「もう示談書を出すの?僕のことは許してくれないの?」私が彼を睨むと、伊藤は申し訳なさそうに謝った。「暦を調べたんだけど、明日は良い日なんだ」伊藤は寝室から私の行方不明だったスリッパを見つけ出し、ソファまで持ってきて履かせてくれた。「へぇ?」「縁結びの日だって」「へぇへぇ?」私は彼を軽く蹴った。「何が『へぇ』よ。明日、身分証明書を持って、私と一緒に区役所に行きましょう」伊藤は突然体を起こし、まるで子犬のように嬉しそうに私を抱きしめ、ぎゅっと擦り寄ってきた。「やっぱり、七恵は僕に一番優しいんだ」
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