――翌朝7時「ルシアン様! 起きてらっしゃいますか!」リカルドがノックもせずにルシアンの寝室に飛び込んできた。「あぁ、勿論起きている」既にルシアンは着替えを済ませていた。「大変です! 今朝の新聞ですが……!」リカルドの手には新聞が握りしめられている。「分かっている。俺とベアトリスのゴシップネタが記事に載っているのだろう?」苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべるルシアン。「そ、それだけではこんなに驚きませんよ! ご覧下さい!」リカルドは手に丸めて持っていた新聞をルシアンに差し出した。「他に何が書かれているんだ?」新聞を広げたルシアンの顔がみるみる内に青ざめ……震え始めた。「な、な、何なんだ……! 歌姫、ベアトリスの秘密の恋人。マイスター伯爵。2年の遠距離恋愛の末……ついに婚約だと……!? くそっ!! 何処の新聞社だ! こんないい加減な記事を載せるなんて!」ルシアンは新聞を破り捨てようとして、リカルドに止められた。「落ち着いて下さいルシアン様! この新聞社だけでは無いのですよ! 他に5社の新聞社が同様の記事を載せているのですから!」「な、何だって!?」「しかも、ベアトリス様のインタビューまで掲載されています。今年中には結婚予定だと書かれていましたよ。……お読みになりますか?」「いや、いい。心臓に悪そうだ。くそっ……! ベアトリスが後悔することになると言ったのは……このことだったのか」青ざめた顔で頭を抑えるルシアン。「た、大変です! ルシアン様!」そこへフットマンが部屋に飛び込んできた。「今度は何だ!?」「マ、マイスター前当主様から……お電話が入っております……その、大変激怒されているようなのですが……」「まさか……もう、『ヴァルト』にまで情報がいっていたのか……?」ルシアンは呆然と立ち尽くすのだった――****同時刻。既に起床していたイレーネは用意された服に着替え終え、髪をとかしていた。その時……。――コンコンイレーネのいる客室の扉がノックされて、声が聞こえてきた。『イレーネさん、お目覚めでしょうか?』「ケヴィンさんの声だわ」イレーネは立ち上がると、すぐに扉を開けに向かった。「おはようございます、イレーネさん」扉を開けると、すぐにケヴィンが挨拶してきた。「おはようございます。ケヴィンさん」「その洋
Last Updated : 2025-05-09 Read more