その後、二人の間に言葉はなかった。玲奈の従弟と従妹は、これまで智昭に会ったことがほとんどなかった。実物を目にして、少し興味深そうに彼を見つめていた。智昭は長年者、上の立場にいる人物だ。特に何かを意識しているわけではなくとも、その仕草一つ一つには自然と圧を伴っている。視線を感じた彼は、ちらりとそちらを見た。だが、目が合った途端、彼らはその視線を恐れて思わず逸らしてしまい、それ以上見ることはできなかった。智昭は特に反応を見せることもなく、挨拶を交わすこともせず、静かに目線を外した。智昭は玲奈が愛した男だ。玲奈はその男に全身全霊で尽くしてきた。そして、今もなお抜け出せずにいる。これだけの年月、智昭からこんな扱いを受けてきた玲奈を見て、裕司が智昭に何の不満もないはずがない。だが、たとえどれだけの不満を抱えていたとしても、どうにもできないのが現実だった。青木家には、智昭をどうこうする力はないのだ。それでも、智昭が来てくれた以上、裕司としては主人としての礼儀を見せるしかなかった。彼は立ち上がり、グラスを手にして言った。「藤田社長が来てくださるとは思っておらず、失礼があったらお許しください」それを聞いた智昭も、グラスを持って立ち上がり、裕司と軽く杯を交わした。「ご丁寧にありがとうございます、青木さん」智昭は「青木さん」と呼んだ。「おじさん」とは言わなかった。智昭の一言に、場の誰もが気づいた。それはつまり、彼が青木家の人間を親族として認めるつもりがないということだった。そのことは、玲奈にとっても既知の事実だった。今の彼女にとって、それはもうどうでもよかった。彼に自分の家族を認めてもらう必要など、もはやないのだ。彼がここに現れたのも、藤田おばあさんの意向によるものだろうと、彼女はわかっていた。玲奈は淡々と告げた。「おばあちゃんの気持ちはちゃんと伝わりましたわ。用事があるなら、先に帰ってくれてもいいですよ」彼がここにいても、場の雰囲気を悪くするだけだった。智昭は静かに返した。「急ぐ必要はない」玲奈は眉をひそめ、彼の真意を測りかねた。だが智昭はそれ以上彼女に言葉をかけることなく、視線を真田教授の方へ向け、こう切り出した。「最近うちの会社で、新しい機能を開発しまして。あらゆるレーダーに探知されず
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