清水部長は満面の笑みを浮かべて、真っ先に声をかけた。「大森部長」優里は微笑んで軽くうなずくと、彼と礼二に向かって言った。「智昭が私のチームをご飯に誘ってくれてるの。湊さんと清水部長もご一緒にどうですか?」それは意図的に玲奈を無視する言い方だった。清水部長はもちろん乗り気だった。彼は礼二と玲奈の方を見た。礼二はすぐに口を開いた。「大森さんのお気持ちはありがたく頂きます。でも私たちはもう予定があるので」優里は眉をひそめた。「湊さん……」何度もアプローチしたのに、礼二が一切揺るがないとは彼女も思っていなかった。彼女は隣で水を飲んでいる玲奈を一瞥した。玲奈もその視線に気づき、冷たく見返した。優里はすぐに目を逸らした。顔が綺麗なだけの玲奈が、どうして礼二にそこまで大事にされるのか、彼女には理解できなかった。彼女ほど優秀?彼女ほど目立ってる?礼二に断られた以上、優里は微笑みを崩さず「分かりました、じゃあまた今度ね」と穏やかに返した。そう言い終えると、玲奈と清水部長には一瞥もくれず、そのまま踵を返した。清水部長は、まるで自分が存在していないかのように感じた。「大森さんって、時々かなり傲慢だよな」まあ確かに優里はそれだけの実力があるのかもしれないけど……本物の社長である智昭でさえ、彼たちに会うときはいつも礼儀正しいんだよな。礼二は肩をすくめて、「見りゃ分かるよ」と言った。あの傲慢さは、まるで藤田総研がもう優里の持ち物であるかのようだ。でも、智昭の後ろ盾がなくても、自分の実力だけでそう振る舞うだけの自信があるようにも見える。どうやら優里から一緒に食事しないことを聞いたのか、少ししてから智昭がやってきて、礼二と握手を交わしながら丁寧に言った。「では、俺たちは先に失礼します。次回こそはぜひ湊さん、ご一緒に」礼二は答えた。「……もちろん」智昭は微笑み、玲奈に一瞥をくれてから、入口で待っていた優里たちと共にその場を後にした。昼食を終えたあと、玲奈と礼二は再び藤田総研へ戻った。しばらくしてから、優里と彼女のチームも戻ってきた。午後六時ごろになり、玲奈と礼二は仕事を切り上げ、先に帰ることにした。残りの作業は、また数日かけて進めればいい。こっちはまだ時間に余裕があるから、急ぐ必要もない。
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