茜は智昭が玲奈に贈るプレゼントを玲奈に手渡そうとしたが、渡しかけてまた手を引っ込め、玲奈の手を引っ張って甘える。「ママ、まずは私のプレゼントを見てよ」「……うん」玲奈は言われた通りにプレゼント箱を開ける。箱の中には額装された油絵が入っていて、絵に描かれているのはまさに玲奈だ。絵の右下には小さな文字で「大好きなママ、お誕生日おめでとう」と書かれている。玲奈の胸が何かに突き刺さったような気持ちに襲われ、額縁を持った手がぴたりと止まる。茜が彼女の手を揺らす。「これは半月前から描いてたのよ、ママ気に入った?」玲奈ははっと我に返り、期待に満ちた茜の顔を見て、複雑な気分であっても正直に答える。「ママとても気に入ったわ。茜ちゃんの絵はますます上手になったわね」玲奈が気に入ったと聞いて、茜は大喜びになる。「ママが好きなら、今度また描いてあげる!」「……うん」茜はようやく智昭からのプレゼントを彼女の手に押し付ける。「ママ、私学校に行かなきゃ、遅れちゃうから。今夜、ひいおばあちゃんのところで、一緒にご飯食べようね?」「……うん」青木おばあさんたちもいつの間にか出てきていた。茜は時間がないのを見て、青木おばあさんたちに手を振って挨拶すると、リュックを背負って楽しそうに車で去っていった。茜が去った後、玲奈はようやく振り返って部屋に戻る。智昭がプレゼントを贈ってきたからといって、今日は必ず玲奈と離婚しないわけではない。そのため、青木家の人々は何も言わなかった。美智が言った。「料理ができたわ、玲奈、まずご飯を食べよう」「そうね」玲奈は部屋に入ると、智昭と茜からのプレゼントをさっと片隅に置いておく。青木おばあさんは茜が贈ったプレゼントを取り上げ、じっくりと眺めながら目に歓びの色を浮べる。「確かに上手に描けている。茜ちゃんのプレゼントはちゃんと心がこもってるわ」真紀は智昭が気に入らないのだ。智昭が玲奈に贈ったプレゼント箱を見て唇を尖らせ、そのままゴミ箱に捨ててしまいたい衝動に駆られる。しかし、玲奈本人が捨てていない以上、彼女の代わりに決めるわけにもいかない。ご飯を食べている玲奈を振り返る。「姉さん、あのプレゼント箱を開けてもいい?」玲奈は実は智昭が何を贈ってくれたかには関心がなく、開けて見たいという欲望
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