All Chapters of 情熱的なあなたに抱かれ私は甘い夢を見る~新人看護師は無敵な外科医にしつけられてます~: Chapter 121 - Chapter 130

140 Chapters

7 新しい家族の誕生

私は今、すごく幸せ――だったら、それでいいのかな?都合良すぎる考え方かも知れないけれど……だけど、月那が言ってくれた言葉だから、私はそれを信じようと思った。七海先生も歩夢君も……絶対「幸せ」でいてほしい。お願いだから、悲しい思いをしないで……心からそう祈るばかりだ。「私の話ばかりでごめんね。月那は太一さんとの新婚生活はどう?楽しんでる?」「う~ん、まあまあだね。仕事も家でも一緒だし、ちょっと飽きてきたかな」また大声で笑う。大きな口を開けていても、美しい人は美しい。「さっき世界一幸せな夫婦って言ってたよね?」「そんなとこ言ったかな?まあ……ね、もちろん楽しくやってるよ。いろいろあるけど、私、太一がいないとダメみたいだしさ。あんなに筋肉バカなのに、嘘みたいに優しい人だし。ちょっと頼りないとこあるけど、私にとっては最高の夫かなって思うよ」「そっか……素敵だね」月那もすごく幸せなんだ。その言葉がとても胸に響いて嬉しくなる。「素敵……かな?」「うん!最高の旦那様だって、素直に太一さんにもそう言ってあげてね」「い、嫌だよ。そんなこと言ったら負けだし」「負けって……。月那、私には素直にって言っておいてズルくない?」「ズルくないズルくない。私はいいの~」自由な月那に苦笑いした。そんな風に、お互いの新婚生活や仕事、子育てのことをしばらく語り合う2人だけの時間は、あっという間に過ぎていった。もっとずっと話していたいけれど、今日はここでおしまい。「今日の晩御飯は何?」「太一が好きだから今日は豆腐ハンバーグ。子どもみたいだからね、あの人。何個も食べるからミンチの大量買いしなきゃいけない」「いいな~美味しそう!豆腐ハンバーグはヘルシーだしいいよね。うちはカレーにする」初めて蒼真さんに作った料理。いつ食べても毎回褒めてくれる「カレーならそっちも子どもだよ」「確かにそうだね」「男はお子さま料理が好きだよね。煮物とか食べないんだから」「煮物美味しいのにね」「まあ、鍛えてるから食事はちょっと大変だけど、喜んで食べてる姿見たら嬉しくなるからね。頑張って作ろうって思えるよね」「本当にそう。美味しそうに食べてくれるのが1番嬉しいよ」女子トークは結局、ドアを閉める瞬間まで続いた。「必ずまた女子会しよう」と約束して、手を振りながら、月
last updateLast Updated : 2025-04-22
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1 【side story】七海先生の決心

「今度はどんな映画を見に行く?」「あっ、そうね。恋愛……ううん、ホラーとか、楽しいかも」「ホラー映画は得意じゃないよ」「そう?結構好きなんだけど、私は」何気ない朝のやり取り。仕事が休みの日はなるべく妻と一緒にゆっくり過ごすことにしている。子どもがいない僕らにとって、2人で何をするかを考えるのは幸せな時間だった。その気持ちに嘘はない。「恋愛映画なんてずいぶん観てないな。何か良いのあるかな?」「恋愛映画は……何だか観ていて苦しくなりそうだから」「えっ?」「あなたは……きっとヒロインを誰かに重ねてしまうでしょうから」「な、何を言ってる?」「ヒーローは……あなたかしら。残念ながら、その相手は……私じゃない」「突然どうしたんだ?いつもの君らしくないよ」こんな妻を見るのは初めてだった。心臓がバクバクと音を立てる。「私、もう……限界かも。できることならずっとずっとあなたと一緒にいたかった。死ぬまで寄り添えたら、どんなに幸せだろうって……。でも、やっぱり……何だか毎日苦しいの」「……」「あなたは優し過ぎる。毎日毎日、慶吾さんに優しくされて、私……」「どうしてそんなことを言うんだ?君は毎日頑張ってる。家事を完璧にして、僕の帰りを待ってくれて。そんな君に優しくするのは当たり前のことだよ」そう、君は頑張ってる。全て完璧というほどに。「ただ優しいだけじゃ、私は嫌だよ。最初は、側にいてくれればそれでいいって思ってた。それは本当。でも、あなたの中にはいつも他の誰かがいて……」「……そんなことは」「無いって言えるの?私はどんどんあなたを好きになるのに、あなたは……ますます違う方を見てる。私じゃない誰かの方を。もう……耐えられないの」泣き崩れる君に、僕は何も言えなかった。結婚の意味なんて、今でも僕にはわからない。それでもこの人と、一生、2人で生きてゆく覚悟はしていたのに。なのに、いつだって彼女の笑顔が浮かんでくる。自分は異常なのか?と悩みもした。でも、結婚してさらに、こんなにも藍花ちゃんを想っている自分に気付かされた気がして……「ごめん。本当に……ごめん」僕は、最低だ。目の前で号泣するこの人の背中に手を置く。すごく震えていて、泣き声が切なくて……僕の心臓はとても痛くなった。いや、この痛みなど、この人に比べれば……この人は
last updateLast Updated : 2025-04-23
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1 【side story】月那と太一の夢旅行

「嘘っ!またオーナーに怒られたの?」「うん。今月の売り上げがイマイチだったから……。思うようにはいかない」マンションの小さな部屋で、食事中に缶のビールを握りしめ落ち込む太一。「し、仕方ないよ。きっと来月はもうちょっと頑張れるよ。まあ、また気合入れていこー」満面の笑顔でそう言ったものの、実際、経営はかなり苦しかった。実は最近、すぐ近くに同じような店ができ、うちより規模も大きいし、オシャレで、かなりの人気になっている。そのことは、間違いなく売り上げが下がった原因の1つだ。でも……それでも頑張るしかない。弱音を吐いても何も変わらないから。「そうだな。月那のウエディングドレス姿見たいし、新婚旅行にも連れていきたいし」それが、太一の口癖。「それは別にいいって。気にしなくて大丈夫だから。とにかく、心も体も元気じゃないと何も前に進まないんだから、笑顔で乗り切ろうよ。太一はお客さんからの評判いいんだし、頑張ってたら、必ずまたこっちにお客さんが戻ってきてくれるから。絶対大丈夫!」太一と私のマッサージの腕は誰にも負けることはない、それだけは絶対に自信があった。「ありがとうな、月那。俺は、お前がいるから頑張れる。本当に……感謝してる」一瞬で顔が真っ赤になる。私は慌ててビールを喉の奥に流し込んだ。「あ~ちょっと酔っ払ったかも~。そうだ、ベランダ行こっ。太一も一緒に出よう。さっ」私は、太一を無理やり外に連れ出した。「うわぁ、いいね~。気持ちいい風だな、最高~」「ほんとに秋の風って最高~」こうして隣に太一がいてくれる安心感は半端ない。「月……めっちゃ綺麗だ」 「そうだね。いつか連れてってくれるんでしょ、あそこに」私は、腕を空に伸ばして指をさした。「ああ。任せとけ!絶対、行くから。2人であの月に!」そう言って、太一は私のことを抱きしめた。「ちょっと痛いよ、太一。もう、こんなムキムキの立派な腕をしてるんだから、めそめそしてちゃダメだよ。元気出しな。笑おうよ」私も、太一の腰に両腕を回した。このでっかい感じ、これが好き。「ガッハッハッ。これでいいか?」「バカじゃないの?本当に太一はお調子者なんだから」まだ抱き合ったまま、今日は離さないんだね。ちょっと照れる。「なあ、月那」「ん?」「俺、お前と結婚して良かったよ。本当に……大正解。これ
last updateLast Updated : 2025-04-25
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1 幸せな時間と永遠の誓い

最高の秋日和。私はやはりこの季節が1番好きだ。今日は、小学校1年生になった蒼太を連れて、久しぶりのキャンプにやってきた。川沿いの美しい紅葉が見られる素晴らしいロケーションの中、私達はバーベキューを楽しんでいた。「蒼太!危ないから気をつけてね。絶対遠くに行っちゃダメよ」「はーい!大丈夫だよ」目の前に広がる浅瀬の川。すぐ近くで石を並べて遊んでる蒼太は、いつも以上にはしゃいでいる。「蒼太、楽しそうだな」「そうですね。今日はみんなで来れて良かったです。蒼太、パパと一緒でちょっと興奮気味です」「そっか……。喜んでくれているなら嬉しいな」「とても喜んでますよ。蒼太はパパが大好きだから」「なら良かった。でも、普段なかなか時間が取れないからな……。本当に申し訳ないと思ってる」「そんなこと気にしないで下さい。蒼真さんには大切なお仕事があるんですから。休みの日だって勉強もしなくちゃいけないし。私は蒼太さんの体が心配です」いつだって患者さんのために頑張っている蒼太さん。最近は特に無理をしているような気がする。「体は大丈夫だ。医師もちゃんと人間ドックを受けてるから心配しなくていい」「……そ、そうですよね」それでも、本当はとても心配だった。「たまにこうして藍花と蒼太、家族と一緒にいられるだけでリフレッシュできてるから。今日もこんなに気分が良い」「それなら……いいんですけど」「そんなに心配しなくていいから。でも、藍花が俺を大事に思ってくれてるのは有難い」「あ、当たり前です!もし蒼真さんが倒れたら私は……」色々と悪い方に考えると目が潤む。「本当に大丈夫だから。俺はお前達のためにいつまでも元気でいたいと思ってる。ずっとずっと3人でこうして一緒にいたい。だから、ちゃんと気をつける」「……はい」「藍花も無理するな。何をするにも一生懸命だから」私のことを心配してくれている……その気持ちがとても嬉しい。「そんなことはありません。私は大丈夫です。でも……そうですよね。私も元気で蒼真さんや蒼太とずっと一緒にいたいです」「ああ。俺達は2人とも元気じゃないと」「はい」「藍花と蒼太が毎日元気に笑ってくれてれば、他には何もいらない。俺は、それだけで頑張っていける」いつものセリフ、何度聞いても胸が熱くなる。こんなにも私達はこの人に大事にしてもらえてい
last updateLast Updated : 2025-04-26
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2 幸せな時間と永遠の誓い

蒼太が小学校の高学年になった頃、蒼真さんに看護師への復帰を勧めてもらった。学校でのPTA活動などにも参加していたら、あっという間の高学年。そろそろ私も……と思っていたタイミングだったので、とても驚いた。でも……すごく嬉しかった。また看護師として患者さんのために頑張れる――そう思うと自然に喜びが湧き上がり、気持ちが引き締まった。松下総合病院に戻ってほしいとのお誘いもあったけれど、私は蒼太のために近くにある小さめの総合病院に勤めることにした。ヒヨコのまま辞めてしまったので、今度もまた新たな気持ちで1からスタートしたいと思った。久しぶりのナースステーションに最初は緊張したけれど、中川師長みたいな頼れる先輩がいて、私にいろいろ教えてくれるのが有難かった。蒼真さんの知り合いの先生もいて、とても働きやすい環境に、私は意外とすぐに馴染むことができた。精一杯頑張ろうと毎日奮闘している私を、家族が支えてくれることが、何より有難く、感謝しかなかった。外科医として期待されている蒼真さんは、ゆくゆくは海外で活躍するかも知れない。まだ何もわからないけれど、その時は私も仕事を辞めて着いていかなければならないだろう。いや、もちろん、着いていきたい。そのために、私は今、働きながら英会話スクールにも通い始めた。蒼真さんは英語がペラペラで、蒼太も小さな頃から蒼真さんと英語で会話していて結構話せる。私だけが置いてけぼりにならないように今頃慌てているのが正直なところだ。とにかく、どんなことになっても一喜一憂せずにどっしり構えていられるよう、今はしっかり自分の仕事、家事、子育て……ができるようにと気合いを入れている。時々、孫の顔を見にきては、バタバタしている私をさりげなく助けてくれる両親達にも感謝だ。子守りや家事を手伝ってくれると、とても助かる。みんな蒼太が可愛くて仕方ないようで、孫に会いに来るのが生きがいだとまで言ってくれている。私は……そんな優しい人達に守られ、支えてもらいながら、毎日を生きている。
last updateLast Updated : 2025-04-26
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3 幸せな時間と永遠の誓い

「藍花、今日はお前を抱きたい」「どうしたんですか?改まって……」「お前を見てたらしたくなった」今でも時々、蒼真さんは私を求めてくれる。そのおかげで私は、いつまでも女でいられる気がしている。こういう愛の形がいつまでも続けばいいと思ってはいるけど……女性としての努力を忘れないようにしないと、いつか蒼真さんに飽きられてしまいそうで少し怖い。「藍花……綺麗だよ」「もっと……して、蒼真さん」私、今でもまだ蒼真さんに「しつけ」られている。いや、違う。私が「しつけ」てもらいたがっている。まだまだあなたに抱かれたいと、この体はどこまでもあなたを欲してる。「俺は、お前のことを心から愛してる。どんなことがあってもそれを忘れるな。いいな」「はい。私もあなたを、蒼真さんを愛してます」2人の濃密な夜は、いつだって、甘くてとろけるような愛情で満たされている。こんな日々がずっと続くよう、私は心で深く願った。***エアポートから飛び立つ飛行機を見送る。だんだん小さくなるそれを見上げながら、一足先にアメリカに旅立った蒼真さんのことを想った。案外早くに蒼真さんの海外行きが決まり、側にいなくなるのは少し不安だったけれど、目の前に迫った蒼太の小学校の卒業式を終えてから、私達は後から追いかけることにした。「俺はしっかり向こうの病院で外科医として修行するつもりだ。世界で通用する最高の技術を身につけたい。お前達に恥じないよう、蒼太にとっては立派な父親として、藍花にとっては良き夫として生きていきたい」出発前に私に言ってくれたその言葉。私は、感極まって涙が溢れて止まらなかった。少しの間でも離れてしまう寂しさと、新しい場所での活躍を応援する思い、私達への深い愛情に対する感謝が入り交じった、何とも言えない気持ちになった。
last updateLast Updated : 2025-04-27
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4 幸せな時間と永遠の誓い

「充分です。蒼真さんは、もうすでに最高の父親であり、最高の旦那様です。私は……あなた以外は見ていません」「俺も、藍花しか見ていない。この先死ぬまでずっと、お前だけを愛すると誓う。絶対に……俺から離れるな」そう言って私を抱きしめてくれた蒼真さんの体は、とても熱かった。蒼太は少し離れて見て見ぬふり。「蒼太おいで」蒼真さんの声を聞いて、ニコッと笑って走ってくる姿が可愛らしい。「いいか、蒼太。お前はお母さんのことを支えて、しっかり頑張るんだぞ。今度アメリカで会えるまでは、蒼太がお母さんを守るんだ」「うん、わかってる。お母さんのこと、安心して任せてよ。アメリカに行ったら僕もお医者さんになるための勉強を頑張る」我が子の真剣な顔をじっと見て、何度もうなづく蒼真さん。「頼もしいな」「お父さんには負けないよ」2人は年齢は違っても、今から良きライバルだ。蒼太は、どんどん蒼真さんに容姿が似てくる。そんな息子のことが、父親としては可愛くて仕方がないのだろう。「痛いよ」「じゃあな、行ってくる」蒼太のことも強く抱きしめてから、別れを惜しむように蒼真さんは日本を離れた。はるか遠くに消えてしまうまで、蒼太は飛行機に向かってずっと笑顔で手を振っていた。この子は私が守る――どんなことがあっても。だから安心してね、蒼真さん。初めて出会った頃の2人からは想像もつかないけれど、私達は結構お似合いの夫婦なのかも知れない。なんて……やっぱり厚かましいのかな?あなたはとてつもなく深い愛情を、毎日私にくれる。だから、私はあなたに「愛されてる」と、ちゃんと信じていられる。永遠に蒼真さんから離れたくない、ずっとあなたと共に生きていきたい。こんなにも幸せにしてくれて、本当に、本当にありがとう。白川先生、私はあなたが大好きです。いっぱい、いっぱい、愛してる。
last updateLast Updated : 2025-04-28
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1 新たな人生の始まり

「お父さ~ん!」「蒼太!」嬉しそうに駆け寄る蒼太を抱きしめた蒼真さん。久しぶりの再会に胸が踊る瞬間。やっと……会えた。蒼真さんは、私のことも抱きしめてくれた。この安心感……私は、なんとも言えないこの感覚がとても好きだ。「久しぶりだな、元気だったか?」「はい、ずっと元気でした」そうは言うけど、毎日電話やメールで話をしていたのにね。長いようであっという間だった4ヶ月。蒼太の卒業式が無事に終わって、私達はアメリカにやってきた。今日からまた3人で暮らせる。そう思うと心から幸せだと思えた。新居は日本の家の2倍はあるだろう。お庭にはプールもあって、まるで映画で見ていた世界だ。何から何までスケールの大きさに圧倒される。「こんな立派なところに住めるなんて夢みたいです」「わぁ~プールもある!僕、水泳得意だからいっぱい泳ぐ!」蒼太はアメリカでの暮らしを楽しみにしてくれていた。それは、私にとって、とても有難かった。「一緒に泳ぐのが楽しみだな」「うん。これからはダディと一緒だから何するのも楽しみだよ」「ダディ?」「こっちではダディなんだよね?僕、こっちでもたくさんたくさん頑張るよ!」「ダディって」蒼真さんは、ほんの少しだけ成長した蒼太に感心しているようだった。私達に向ける優しい眼差し。その顔を見ていたら、ポカポカ温かな気持ちになる。蒼真さんに会えた喜びがどんどん溢れだしてくる。ずっと……やっぱり少し寂しかったから。ううん、いっぱい寂しかった。会いたくて会いたくて仕方なくて――ようやく会えた感動で、私は胸がいっぱいになった。***夜になると、はしゃぎ過ぎて疲れたのか、蒼太は早々に眠ってしまった。「藍花、相変わらずとても綺麗だ」私達はワインを飲み、そしてベッドに入った。久しぶりに一緒のベッドで眠れると思うと妙に改まってしまう。「ずっとこうしたかった。藍花と1つになりたい」蒼真さんは、そう言って、私の体に優しく触れた。「私もです。すごく恥ずかしいですけど……」あなたに抱かれたくて体が疼く夜もあった。でもようやく……私はまた女になれる。「恥ずかしがらないでいい。お前の全てを見せてくれ」離れていた時間を取り戻すかのように、2人の長い長い夜が、今始まった。
last updateLast Updated : 2025-04-28
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2 新たな人生の始まり

私達は、お互い何もつけていない体を絡ませ、淫らに燃えた。「蒼真さん……気持ち……いい」「本当?じゃ、もっと激しくしてやる」この快感……他の誰かではダメ、蒼真さんとでなければ絶対に味わえない。これからは、こうしてまた、いつだってあなたを感じることができる。素直に……嬉しい。私は、世界一、幸せだ。「お願い……もう離さないで」「ああ。もう二度と離れない。ずっと1人でいて改めてわかった。俺は世界でただ1人、藍花だけを愛してるって。ほんの少しの間も離れたくない……」「蒼真さん……嬉しい……」どこまでも蒼真さんの甘い言葉に酔いしれる。こうしてこのまま、ずっとあなたに抱かれていたい。2人きり、快楽に溺れていたい。そして、他の誰かじゃなく、一生、私のことだけを愛してほしい。わがままな私の欲望と願望は、海よりも深く果てしない。決して曲げることのできないこの想い。蒼真さん、蒼太、私――これからアメリカという見知らぬ土地での新しい生活が始まる。毎日、蒼太と英語で会話していたおかげで、何とか日常会話も話せるようになった。これから先のことに多少の不安はあるけれど、やはり、それ以上に楽しみの方が大きい。こうして家族一緒にいられること以上に幸せなことなんて無いと思うから――蒼真さんはこちらの大学病院でかなり期待されていて、将来の教授候補だ。蒼太も明るい性格だからアメリカでの暮らしにすぐに溶け込めるだろう。私も、また1から頑張って、看護師を目指したいと思っている。未来に歩みを進めようとすれば、必ず何かが起こってしまう、でも、私には何も怖いものはない。蒼真さんという無敵な外科医の腕の中で、「幸せ」を感じながら生きていけるのだから。
last updateLast Updated : 2025-04-29
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3 新たな人生の始まり

「蒼真さん、蒼太、おはよう。さあ、起きてね~。とっても良い天気よ」朝食用に作った焼きたてのパンの香りが部屋中に漂う。「いいね、手作りのパン。朝から最高だ」ほっぺにキス。蒼真さんからのご褒美に照れる私。「美味しい!ふわふわしてる」「蒼太はパンが好きだもんね」「うん。パンの中でもママが作るパンは最高に美味しいから。何個でも食べられるよ」「あら、嬉しいわ~」「また作ってね」「もちろん。毎日でも作るわよ~」朝食を済ませ、それぞれ病院と学校に向かう。「気をつけてね、行ってらっしゃい~」私は、蒼真さんと蒼太を見送る。2人は笑顔で私に手を振る。これが毎日の日課。平凡だけど、何気ない日々の繰り返しに幸せを感じる。「気をつけて……頑張って。家族みんなが今日も一日元気で笑っていられますように」祈るようにつぶやく。私は、2人のことが大好きだ。どちらもイケメンぶりはいい勝負。見た目も性格も、文句のつけようがない。「今日は晩御飯、何にしようかな~。まずは洗濯と掃除。お天気が良いから張り切っちゃお~」ふと見上げた空には白い雲。モクモクしててお菓子みたいで可愛い。キラキラした日差しの中で、両手を広げて深呼吸する。さあ、今日も新しい1日が始まる。ワクワクドキドキ、希望に満ち溢れた1日が――
last updateLast Updated : 2025-04-29
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