京弥の表情は真剣そのものだった。紗雪は一瞬ぎくりとして、慌てて手を振った。「だ、大丈夫よ。もう行かないし、明日は仕事で忙しいから」「これからの仕事は、もう決めた?」京弥はさりげなく尋ねた。彼女の考えを知ることができれば、裏で手を貸してやることもできる。彼女が苦労せずに済む。男とドアの間に挟まれたまま、紗雪はなんとも言えない空気の中で眉を寄せた。今の状況で真面目に仕事の話なんて、正直頭が痛くなる。「えっと......その話、私がお風呂に入ってからでもいい?」紗雪は戸惑いがちに京弥を見上げた。本当に疲れていて、これ以上やりとりする気力もなかった。だが京弥は、そんな彼女の疲労をまるで気づかないように、手を伸ばしてその腰を抱き寄せた。ふたりの身体がぴたりと密着する。紗雪は思わず唇を開いた。「な、何を?」声がわずかに震える。京弥の大きな手が、彼女の華奢な背中をなぞる。触れられた場所がじんわりと熱を帯びる。「紗雪が一番、わかってるはずだろ」紗雪は目をそらした。「わからないよ。変なこと言わないで」そして慌てて話題を戻す。「もう休むから。さっき言ったこと、ちゃんと覚えててね」清那のことが心配だったのだ。京弥の顔が近づき、視界いっぱいに広がる。「清那のことなのか?」紗雪はすぐにこくこくとうなずいた。「うん。今日のことは、彼女とは関係ない。私が行きたいから行っただけだから」もともとそのつもりだった。ただ自分が気分転換したかっただけで、他の誰のせいでもない。京弥の目がすっと細くなった。「彼女のことを庇いたいなら......紗雪の態度次第だが」その意味深な言葉に、紗雪は息を呑んだ。何か言おうとした瞬間、唇が塞がれた。声にならないかすかな息だけが、狭い空間に溶けていく。次の瞬間、京弥は紗雪の身体を抱き上げた。足元が浮き、支えを失った紗雪は思わず彼の首にしがみつく。その腕が自然と彼の首の後ろに回った。その間も、京弥は彼女を放さなかった。唇を離すことなく、ふたりは寝室へと向かう。さっき飲んだ酒の酔いが、今になって一気に回ってくる。紗雪の抵抗は次第に薄れていった。結局、気持ちよくなるのは自分なのだから――そう思った瞬間、彼女はそ
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