どうやら、これは本気でオフィス内に一波大きな波を起こすつもりらしい。ただ、皆が次にどうすればいいのかはまだ分かっていない様子だった。すでに自分の妄想に浸り始めている人もいる。だが、オフィスの中での様子は、加津也には手に取るように見えていた。何よりも、社員たちがお互いに励まし合い、積極的に自分のデスクに戻っていった様子だけでも、すでに60%以上の人間に勝ったと言える。こんな光景、初めて見るかもしれない少なくとも、加津也はこれまで見たことがなかった。今になって、ようやく彼も理解した。やはり、これまで自分が怠惰すぎたのだ。そのせいで、この会社はこんな状態になってしまったのだろう。もしもっと早く真面目に取り組んでいたら、会社のことにも、社員たちにも、きっと、こんな面倒なことにはならなかったかもしれない。いや、もしかしたら父親も、もっと早く自分に会社を任せてくれていたかもしれない。そんなことを考えながら、加津也はカーテンを閉め、椅子に腰を深く沈めて、誰かが自分に案を出しに来るのを待つことにした。最初はこのやり方にさほど期待していなかった。けれど、しばらくすると、彼は気づいた、社員たちは意外と「こういうやり方」に乗ってくるものなのだ。だからこそ、今後もこの手を上手く活用していくべきだと思った。そう考えると、加津也は満足そうな気分になった。働く人間なんてそんなものだ。少しでも見返りをチラつかせれば、どんなことでもすぐに動く。その「朗報」を初芽にも伝えたくなり、彼はすぐに電話をかけた。だが、電話はあっさりと切られてしまった。その瞬間、加津也は今までのリラックスした姿勢を正し、まっすぐに座り直した。スマホの真っ黒な画面を見つめながら、何が起こったのか全く理解できなかった。なんで......初芽が電話を切ったんだ?再度かけ直そうとしたが、加津也は思いとどまった。もしかしたら、本当に何か用事で出られなかったのかもしれない......もしその状態でまた電話をかけたら、逆に無神経だと思われるかもしれない。そう自分に言い聞かせて、ひとまず我慢することにした。だが、10分が過ぎても、初芽からは何の連絡もなかった。加津也は徐々に落ち着かなくなり、ついには呟いてしまった。「初芽、一
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