しかし、今の辰琉の話を聞いて、緒莉も何かおかしいと感じ始めた。これは単なる成金にしては、あまりにも実力がありすぎる。「その医者たちの中に、知ってる人はいる?」緒莉の口調はどこか陰りを帯びていた。辰琉は頷いた。「いたからこそだよ。外国ですごく権威ある医者もいたから、君の義弟の身元が単純じゃないと思って、電話したってわけ。もし前に俺たちが思ってたように、ただのヒモだったとしたら......それはちょっと変だと思う」緒莉は一瞬沈黙したあと、口を開いた。「とりあえず、辰琉はそのまま見張ってて。何かあったらすぐに連絡して。こっちはまだ取り込み中なんだから」緒莉も迷っていた。自分で病院に行って確かめるべきかどうか。何せ紗雪が倒れてから、まだ一度も正式に病院へ顔を出していないのだ。外の人間たちがどう噂しているかもわからないし、この機会に一度、内部の状況を確認しておくのも悪くない。少し考えた末、緒莉は辰琉に一通のメッセージを送った。【そこにいて。私もすぐ向かうから】そのメッセージを見て、辰琉はなぜか心が落ち着いた。最近、彼は緒莉に対して少し依存しているような感覚がある。彼女がいるだけで、なんとなく安心できるのだ。最近の緒莉の成長ぶりは、時に彼自身も怖くなるほどだった。全体的に格段に成長し、対応力も格段に上がった。問題の処理の仕方や、物事の見方にしても、彼が考えていたよりもずっとしっかりしていた。そう考えると、緒莉は真白よりも遥かに適任だった。やはり真白は、ただの女としての存在に過ぎないのかもしれない。男のビジネスと比べれば、彼女は何の助けにもなっていなかった。そう思うと、辰琉はようやく自分の気持ちに整理がついた。緒莉への態度も、自然と柔らかくなる。【分かった。ちゃんと見ておく】辰琉は真剣な顔でメッセージを送った。【何かあったら、すぐに報告するよ】そのメッセージを見て、緒莉は何も返さず、荷物をまとめて病院へ向かう準備を始めた。幹部の同僚たちは、緒莉が立ち上がるのを見て内心不快感を覚えた。もともと緒莉は突然現れて、代理会長のポジションをかっさらっていったようなものだった。紗雪が会社に来ていないこの間に、自分たちがそのポジションに就いてもよかったはずだ。少し
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