辰琉は「電話」という言葉を聞いた瞬間、顔色が一気に悪くなった。明らかに態度も不自然になっている。前回は、緒莉がもう騙されたと思っていたのに、まさか相手がまだ気にしていたとは。そして今、再び問い詰められることになった。辰琉の視線が泳ぐ。「前にもちゃんと説明したじゃないか。もう一度聞かれても、答えは前と同じだよ」だが、その一瞬の視線の揺れを緒莉は見逃さなかった。目の奥にははっきりと疑念が浮かんでいた。ここ最近、京弥と頭脳戦を繰り広げてきたことで、彼女も人の見分け方を学び取っていた。今の辰琉が嘘をついているのは間違いない。彼女に対して何かを隠している。ただ、それが何なのか、緒莉にはまだ分からない。問い詰める方法も見つからない。彼が話す気にならない限り、何を言っても無駄だということは分かっている。この男は、一度口を閉ざしたら、絶対に話さないタイプだ。緒莉は心の中では強く不満を抱いていたが、表面には出さなかった。今ここで追及しても無意味だと分かっていたからだ。それに、彼女は独立した女性であり、辰琉に依存して生きるつもりはない。何も彼にすがる必要はない、自分には自分の人生がある。緒莉はにっこりと微笑みながら言った。「わかった。辰琉のことは信じてるから、もう聞かない。でも――」わざと一拍置きながら、彼の正面にゆっくりと立つ。そして、指先で彼の胸元を撫で始めた。その仕草はまるでフックのように、辰琉の体を一気に熱くさせる。彼がその手を取って次のステップに進もうとしたその時、緒莉の手は、すっと引っ込められた。一切のチャンスを与えられず、辰琉は困惑し、少し不満げな顔を見せた。「どうしたの?なんで触らせてくれないの?」緒莉は意味深に笑みを浮かべた。「外で何してようと、私にバレなければいいけど......バレた時の代償、覚悟しておいてね?」その一言に、辰琉は心臓をぎゅっと掴まれたような衝撃を受けた。何も言えず、ただ何度もうなずく。「う、うん、分かった。何言ってるんだよ......この先、一生、君だけだよ、俺には!」そう言うと、彼はまるで忠誠を誓うかのように、緒莉の反対も聞かずに彼女を抱きしめ、唇を重ねた。今回は、緒莉も抵抗せず、むしろその表情には満足げな
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