息を切らせながらまどかと簾は走ってホテルの中庭迄逃げてきた。庭に植えられた大木に手をつき、呼吸の乱れた息を整えるとまどかは簾をジロリと睨みつける。「ちょっと! あなた、いったいどういうつもりよ! あなたのせいで2人の様子を見張れなくなったでしょう!?」「うるさい! そういうあんただって大きな声を出しただろう!? 俺ばかり責めるな!」簾は大きな声で言い返した。しかし、まどかは廉の文句に聞く耳を持たず、ぶつぶつと呟く。「全く……お兄ちゃんのお見合いをぶち壊してやろうとここまで来たっていうのに……」それを耳にした簾はまどかに尋ねた。「何? あんた……あの各務蓮の妹なのか?」「は? 人に物を尋ねるときは、まず自分から名乗るのが筋じゃないの? それに……その様子だとあなたは二階堂栞の知り合いみたいね?」(全く失礼な男ね……お兄ちゃんとは大違いだわ! これだからガサツな男っていやなのよ)「俺は九条廉。あんたの今話していた二階堂栞の幼馴染だ。ちなみに簾ていうのはこの字だ」簾はボディバックからスマホを取り出して、文字を打ち込んでまどかに見せた。「え……? 九条廉……? 漢字は違うけどお兄ちゃんと同じ名前なのね? それに確か九条って言ったら……あの二階堂家と共同して経営してる九条家の?『ラージウェアハウス』の?」「ああ、俺の父親は九条琢磨。二階堂家と共同経営している社長だ」「嘘!? それじゃ……あなた、大企業の御曹司なわけ!?」まどはか心底驚いた様子で簾を見た。「別に……鳴海グループほど大企業じゃないけどな……まあ、一応そうだ」「うそ! そんな……全然見えない! だって全然品位が無いじゃない! その見るからに安そうなTシャツにデニムのパンツ! よくもそんな恰好でホテルにやってこれたわね?」「う、うるさい! そういうあんただって、各務蓮をお兄ちゃんて呼んでたくらいだから鳴海グループの令嬢なんだろう?」「ええ、そうよ」まどはか腕組みしながら答える。「なんだよ! そのド派手な格好は! キャバ嬢みたいな洋服を昼間から着やがって!」「何がキャバ嬢よ! これは外国の有名なブランドショップの服なのよ!? それにキャバ嬢の服って可愛くて素敵じゃないの!」「う、うるさい! 俺だって一応古着店で買ったこだわりの服なんだよ!」いつのまにか簾とまどかは互い
Terakhir Diperbarui : 2025-09-06 Baca selengkapnya