ギルドへの報告を終えて、シディルさんの屋敷へと戻ってくると1階には誰の姿もなかった。クレアさんはまだ学園なのだろう。シディルさんとロシェはまだ地下の研究室にいるようだ。「二人はまだ地下にいるみたいだ。疲れたしちょっと休憩にしようか」 「そうしましょう。私、お茶を入れてきますね」そう言ってカサネさんがキッチンの方に入っていったあと、入れ替わりで地下室からロシェが出てきた。『おかえりなさい。どうやら無事みたいね。なんだかあなたの気配が陰った気がして少し心配だったのよ。距離が離れていたせいではっきりとは分からなかったのだけれど。カサネはキッチンかしら?』俺が戻ってきたのに気づいて上がってきてくれたらしい。「あぁ、ただいま。ちょっと予想外の魔物に出くわしてしまってな。何とか倒せたけど大変だったよ。カサネさんはお茶を入れに行ってる」 「あ、ロシェさん。ただいま戻りました。ロシェさんの分もお茶入れますね」 『ありがとう。あなたは変わりなさそうね』 「あ、アキツグさんから聞いたんですか?そんなことないですよぉ。すごく大変だったんですから」改めて考えると魔法を使っていたとはいえ、カサネさんはあいつの猛攻をずっと一人で捌き続けていたのだ。流石Bランク、とんでもない実力者だよな。『あら、あなたがそんな愚痴を零すなんて本当に苦労したみたいね。アキツグ、あなたは戦いに慣れてないんだからあまり無茶はしないようにね』 「うぐっ。わ、分かってるよ。とはいえ守られるばかりっていうのもカッコ悪いからな。俺も少しは強くならないと」 『へぇ。珍しいわね、あなたがそんなこと言うの。でも、良いんじゃない?無理しない程度に頑張りなさい』 「あぁ。自分の力の無さは今日痛感したからな。無茶はしないさ」そんなことを話していると、地下室からシディルさんも戻ってきた。「おぉ、お主ら戻っておったのか。急にその子が上に戻りたがる様子を見せたから扉を開けてやったのじゃが、何かあったのかの?」 「えぇ。まぁ。魔道具のテストも兼ねて近くの森まで魔物討伐のクエストに行ってきたんですが、そこでシャドウウルス
Huling Na-update : 2025-05-01 Magbasa pa