ステップアップを考えながらなかなか進めないでいるうちに、季節は春から夏になった。 気温が上がって、夜になっても暑さが続く。 海の向こうに見える雲はモクモクの入道雲。 真っ青な海と空はまぶしいくらいだ。 そんなある日、冒険者ギルドにちょっと変わった依頼が張り出された。『配達依頼。夏の結晶を隣村サザのライラばあさんまで届けてほしい』 配達依頼自体はけっこう出るものだ。 夏の結晶もありふれた石で、ちょっとした魔法の触媒になるらしい。 だがサザ村というのは初めて聞いた。「なあおっちゃん。隣村ってくらいだから、サザ村は近いのか?」 ここ数ヶ月で受付のおっさんとすっかり親しくなった。 軽い口調で聞いてみると、答えが帰って来る。「近いぜ。このカーティスの町から東に徒歩で丸一日ってとこだな。なにせ小さい村なんで、配達依頼もあまり出ない。ユウ、お前がやるには手頃じゃねえか?」「そうだな」 俺の実力では、もっと離れた町や村まではまだ行けない。途中で魔物に出くわしたらアウトだからだ。 だが、徒歩一日なら何とかなりそうだ。 持ち歩く食料も少なくて済むし、野宿も片道一泊だけ。身軽であれば逃げられる確率も高まる。 その分、一般的な配達依頼に比べると依頼料は安い。 けれど町の雑用依頼よりはずっと良い。 これを無事にこなせば、ぐっと貯金を増やせるぞ……!「よし、俺、この依頼引き受けるよ!」「その意気だ」 そうと決まれば準備をしなければ。 たった一日とはいえ、歩き詰めと野宿になる。何の備えもなく行けるものではない。「じゃあユウに、初挑戦のせんべつをやるよ」 受付のおっちゃんが言って、袋を取り出した。 首を傾げながら中身を見ると、冒険者ギルドに加入するときに銅貨の代わりに渡したポーションと巻物だった。「え、これって?」「取っておいたんだよ、ありがたく思え」 おっ
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-17 อ่านเพิ่มเติม