命の大切さについて考えるのを諦めた俺は、魔法書に意識を切り替えた。 巻物は何の練習もなく読めたのに、魔法書ばかりこんなに難しいとは。「魔法書を読むのに何かスキルがいるのか……? あっ」 そして思い当たった。 配達で訪れた南東の町で、『読書』スキルが習えたことを。 読書スキルはてっきり速読とかそういうのかと思っていたが、まさか魔法書を読むためのスキルだったとは。 この世界は罠が多すぎる。 あいにく、ここの港町のギルドでは読書スキルは習えない。 一度南東の町へ行って習得してこよう。 できれば南東の町への配達依頼を受けて、無駄がないようにしたい。 冒険者ギルドで依頼をチェックすると、運良く配達依頼があった。 配達用のアイテムを受け取って、港町を出発した。 南東の町は田園風景が広がるのどかな農村だ。 さっさと配達を終わらせて、冒険者ギルドへ向かった。「読書スキルを習いたいです」「ほい。ユウさんの状態ですと、メダル三枚です」 レベルが上ってスキルの数も増えたため、要求されるメダルも増えた。 ここの冒険者ギルドは、受付とスキル習得係をおっとりしたお姉さんがやっている。 やっぱ受付はお姉さんだよな。癒やされるわ。 スキルの概要を教えてもらい、魔力を注入してもらって習得完了。 さっそく魔法書を読みたいところだが、また恐ろしい魔物を呼び出して人死にが出てはいけない。読書スキルがあっても、覚えたての低レベルじゃどこまで成功するか分からん。心配だった。 いくら誰も気にしないとはいえ、俺のせいで人が死んだら嫌な気分になるからな。あと普通に怖い。 なので俺はテレポートの巻物を用意した上で、村から離れた場所で魔法書を開いた。 万が一、魔物を呼び出してしまったら瞬間移動して逃げる手はずだ。 逃走手段の確保はダンジョン攻略でも大事である。忘れちゃいけない。「お、割と読めるようになってる
Terakhir Diperbarui : 2025-03-27 Baca selengkapnya