Semua Bab 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル: Bab 21 - Bab 30

139 Bab

第21話 激闘!港町

 命の大切さについて考えるのを諦めた俺は、魔法書に意識を切り替えた。  巻物は何の練習もなく読めたのに、魔法書ばかりこんなに難しいとは。「魔法書を読むのに何かスキルがいるのか……? あっ」 そして思い当たった。  配達で訪れた南東の町で、『読書』スキルが習えたことを。  読書スキルはてっきり速読とかそういうのかと思っていたが、まさか魔法書を読むためのスキルだったとは。  この世界は罠が多すぎる。 あいにく、ここの港町のギルドでは読書スキルは習えない。  一度南東の町へ行って習得してこよう。  できれば南東の町への配達依頼を受けて、無駄がないようにしたい。 冒険者ギルドで依頼をチェックすると、運良く配達依頼があった。  配達用のアイテムを受け取って、港町を出発した。    南東の町は田園風景が広がるのどかな農村だ。  さっさと配達を終わらせて、冒険者ギルドへ向かった。「読書スキルを習いたいです」「ほい。ユウさんの状態ですと、メダル三枚です」 レベルが上ってスキルの数も増えたため、要求されるメダルも増えた。  ここの冒険者ギルドは、受付とスキル習得係をおっとりしたお姉さんがやっている。  やっぱ受付はお姉さんだよな。癒やされるわ。 スキルの概要を教えてもらい、魔力を注入してもらって習得完了。  さっそく魔法書を読みたいところだが、また恐ろしい魔物を呼び出して人死にが出てはいけない。読書スキルがあっても、覚えたての低レベルじゃどこまで成功するか分からん。心配だった。  いくら誰も気にしないとはいえ、俺のせいで人が死んだら嫌な気分になるからな。あと普通に怖い。 なので俺はテレポートの巻物を用意した上で、村から離れた場所で魔法書を開いた。  万が一、魔物を呼び出してしまったら瞬間移動して逃げる手はずだ。  逃走手段の確保はダンジョン攻略でも大事である。忘れちゃいけない。「お、割と読めるようになってる
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-27
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第22話 魔法マホー

 ふさふさして温かい感触が頬に触る。 目を開けてみると、茶色い毛皮が目の前にあった。「ハフゥ?」 俺が身動きすると、クマ吾郎が心配そうにのぞき込んできた。 茶色い毛皮は彼女の腹毛。 背中のほうの毛は硬くてゴワゴワしているけれど、腹毛は柔らかくて気持ちがいい。野営するとき毛布代わりになってもらうんだ。「ありがとう、クマ吾郎。もう大丈夫だよ」 魔法書の解読に失敗した俺は、魔力を根こそぎ吸い取られて気を失ってしまった。 意識がない間、クマ吾郎が守ってくれていたようだ。 こいつは本当にいい熊だな。町に帰ったら肉を買ってあげよう。 それなりに長い間意識を失っていたようで、辺りは夕焼けに染まり始めている。クマ吾郎がいなかったらどうなっていたことやら。「しかし、初歩の魔法がこんなに難しいとは。魔法書、銀貨五枚もしたのに」 俺はため息をついて手元の魔法書を見た。 何度も読んだせいか、魔力がだいぶ薄くなっている。 もう一度読めば崩れてしまいそうだった。 俺自身のMPはもう回復している。 じゃあ最後にもう一度魔法書を読んで、今日は終わりにしよう。 クマ吾郎から少し離れて魔法書を開く。また魔物が出てきて不意打ちされたらたまらんからな。 よく集中して読めば、今度はきちんと読み終えることができた。 マジックアローの魔力が体に入ってくるのが分かる。「よし」 今後はこうして簡単な魔法書を読みながら読書スキルを上げていくしかないだろう。 お金稼ぎも戦闘も、とにかく労力がかかるな。「町に帰ろうか、クマ吾郎」「ガウ」   それからはいっそうお金稼ぎに励むようになった。 装備もまだ揃っていないのに、魔法を覚えるという目標ができてしまったからだ。 魔法書は魔法屋で買う以外にも、ダンジョンでときどき落ちている。 マジックアローの魔法書は初心者向けだけ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-28
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第23話 小さな魔物

※後半、虫の魔物で少々気持ち悪い表現があります。+++  行動範囲を広げる決意をして、しばらく後。 俺は内陸部の町まで来ていた。もちろん初めて訪れる場所だ。 旅自体は特に問題なく進められた。 弱い魔物や野生動物は殺して、手ごわそうなのに出くわしたら全力で逃げる。 テレポートの巻物やテレポートの杖を駆使すれば、格上相手でも逃げ切れた。 もっともテレポート系のアイテムはちょっとアテにならないときもある。 うんと遠くへ飛べるときもあれば、すぐ近くに出てしまうこともあるからだ。せっかく距離を稼いだと思っても、二回目で元の位置に戻ったこともあった。 三回連続で敵の目の前に出たときは、死ぬかと思ったな。 まあそれはともかく、新しい町である! ここは山に囲まれた場所で、鉱山が近くにある。鉱山町だ。 あちこちに鉱石が入った箱などが置かれていて、炭鉱夫やその他の人がたくさん行き来している。 トロッコなどの線路が街の中を通っている。活気のある雰囲気だった。   俺はまず冒険者ギルドに行ってみた。 スキルが習えるかどうか確かめたいからな。「ユウさんね。あら、あなたレベル10になったばかりかしら」 受付のおばさんが書類を見ながら言った。「あ、はい。この町に来る途中でレベルが上がりました」 俺が答えると、おばさんは一枚の紙を渡してきた。「レベル10以上の冒険者は、それまで免除されていた税金が請求されるようになるから。請求書の発行は二ヶ月に一度、偶数月よ。忘れずに納税してくださいね」「えっ、税金?」「そりゃあここは王国ですもの。国民に税金がかかって当然でしょ」 それはそうだが、新しい町に到着するなりいきなり税金払えと言われて、がっかりである。 この国も冒険者ギルドも理不尽のかたまりだと思っていたが、レベル9までの駆け出しに情をかけるていどの配慮は
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-29
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第24話 王都パルティア

 王都パルティアはとても大きくて立派な城下町だった。  遠目から見ても目立つ城壁が、来訪者の最初の目印になる。  大きな門は昼間の間はずっと開かれていて、冒険者のような人間でも自由に出入りができた。 何せ人がとても多いので、いちいち身分証の確認などはできないのかもしれない。 町の西側に王城があるのが見える。けれどお城は一般人は立入禁止なので、俺たちには関係がない。 門から入った大通りを進むと税務署があった。中は人でごった返している。  受付で質問しようにも、受付でさえ人が列をなしている状態だ。  仕方なく順番待ちをした。「納税のやり方? そこのカウンターで請求書と一緒にお金を出してください」 たったこれだけを教えてもらうためにけっこうな時間を並ぶとか、めんどくさいわ。勘弁してくれ。  隣のカウンターを見ると、やっぱり人がたくさん並んでいる。 しかし横入りをするわけにもいかない。そんなことをすればつまみ出されるだろう。  内心でため息をついて並び直した。「はい、確かに納税を確認しました。次の請求書は二ヶ月後に発行されます。くれぐれも未納のないようにしてくださいね」 カウンターのお姉さんが疲れた笑顔で応対してくれた。  この人数を相手にするんだ、休む暇もないんだろう。  お役人も大変だな。 税金を納めるという第一の目標が達成できたので、次は冒険者ギルドを探す。  表通りをさらに進んで大きな通りを右折すると、冒険者ギルドの建物があった。  さすが王都、今までの町よりも建物が立派だ。「こんにちはー。スキル習得にきました」「はいはい。どのスキルをご希望ですか?」「詠唱スキルを」「了解です! メダルは四枚必要ですよ」 受付のお兄さんにメダルを四枚渡す。  メダルは冒険者ギルドの依頼を成功させると、ときどきもらえるのだ。  俺は何度も配達依頼をこなしていたおかげで、メダルはけっこう貯まっていた。 詠唱スキルの魔力を体に入
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-30
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第25話 王都パルティア

 そうして一日かけて王都見物をした。 王都は全体的に物価が高くて、服とマントを買った後だとちょいと財布が厳しい。 魔法屋に見たこともない巻物があって、欲しかったんだが諦めた。もっと金持ちになってからまた来よう。 宿屋もグレードの割にお値段が高い。 クマ吾郎と同室を頼んだんだが、断られてしまった。「動物は一律で家畜小屋です」 だってさ。 クマ吾郎の柔らかい腹毛にくるまって寝るのは最高なのに。 残念に思いながら家畜小屋をチェックしたら、清潔で手入れが行き届いていたのでまあいいかとなった。 クマ吾郎もふかふかの藁の寝床をゲットして嬉しそうだ。 むしろ俺もここでいいんじゃないかと思ったが、今度は「人間は部屋へどうぞ!」と言われてしまった。ちぇ。 人間用のベッドはきちんとマットレスの上にシーツが敷いてある。 これが昔愛用していた激安宿だと、藁、しかも湿って不潔な藁のベッドだったっけなあ。 あの頃に比べれば生活が安定して、貯金もそれなりにできて、いいことだらけだ。 でもまだまだ、一般的に見れば俺が貧乏なのに変わりはない。 もっと効率よく依頼をこなしたり、さらに難易度の高いダンジョンに挑戦するなど上を目指していきたい。 そんなことを思いながら眠りに落ちた。    翌朝、俺は再び冒険者ギルドへ行った。 他の町への配達依頼をチェックするためだ。 王都の観光は昨日一日で満喫した。 今の俺に何日も遊び歩く余裕はない。実際、宿賃だって割高で馬鹿にならないからな。 依頼をこなしてお金とメダルを貯める。もっと強くなる。 華やかな王都の空気に触れて、その思いを新たにした。「お、鉱山町への配達依頼がある。配達先は魔法使い見習いのジェイクか」 そういえば、道端で魔法書を読むのに失敗したボサボサ頭がそんな名前だったはずだ。 魔法修行中ということで、俺は彼に親近感を覚えた
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-31
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第26話 ただの配達、そのはずが

 およそ一週間ぶりの鉱山町は、どこか異様な空気に包まれていた。 ちょっと前までは活気に包まれた空気だったのに、今では表通りに人がほとんどいない。 やっと見つけた人影も、話しかけようと近づいたら逃げられてしまった。なんなんだ。 俺とクマ吾郎は戸惑ったが、何せ人を捕まえて事情を聞くこともできない。どうしようもない。 情報収集は諦めて、さっさと依頼を済ませてしまうことにする。「まあ仕方ない、先に配達を済ませてしまおう。あのボサボサ頭の家は、こっちだったっけ」「ガウ~」 依頼票に住所が書いてある。それに以前家まで送ってやったので、場所は覚えている。 そうしてたどり着いたボサボサ頭のアパートは、やはり様子がおかしかった。 古びた建物なんだけど、床がやたらにビチャビチャしている。雨が降った様子はないんだが……? しかも妙に粘っこい感じの水(?)だ。ぬめる床で転ばないように注意して進んだ。 配達先の部屋のドアを見つけて、ノックする。「こんにちはー。魔法書の配達に来ました」 返事はない。 俺は少し迷ったが、ドアノブに手をかけてみる。鍵はかかっておらず、ドアは開いた。 クマ吾郎に廊下で待っていてもらうことにして、中に入った。 室内は薄暗く、様子はよく見えない。「おーい、ボサ……じゃない、ジェイクさん? いるかい? 魔法書の配達だよ」 ぴちょん。 足元で水たまりを踏んだ。粘り気のある奇妙な感触だった。 少しずつ目が暗さに慣れてくる。 雑然とした部屋の中、誰かが床にうずくまっている。 その人影が身動きしたので、俺は駆け寄った。「おい、大丈夫か?」「ううっ……」 ひどい顔色だったが、そいつは確かに以前助けたボサボサ頭だった。 しかし彼は俺を見ると、絶望の表情で呻いた。「こっちに来ちゃ、駄目だ。に、逃げて…&he
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-01
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第27話 起死回生

※虫の気持ち悪い話が続いています「クマ吾郎、大丈夫か? あの虫を飲み込んでいないよな?」「ガウ」 俺の問いかけにクマ吾郎はうなずいた。大丈夫のようだ。 あの虫。 最初にボサボサ頭のジェイクが虫を飲み込んだ一週間前、もっとしっかり介抱してやればよかった。 腹を殴ってでも虫を取り出しておけばよかった! だが、今さら後悔してもどうしようもない。 俺は辺りを見渡した。 通りには人がほとんどいない。あの虫を恐れて、みんな家に閉じこもっているんだろう。 俺は衛兵の詰め所に行ってみた。 もし虫討伐の準備が進んでいるなら、手伝いくらいしようと思ったのだ。「虫退治がどうなっているのかって? 手に負えないから、王国騎士団の応援を呼んだよ」 衛兵の一人が言う。 彼は奥のドアを指さした。「下手に退治に行くと、ミイラ取りがミイラになる。寄生されて虫を吐き出す人間が増える一方だ。寄生された奴らはあっちの部屋で隔離している」「そんな……」 ジェイクはあんな状況でも正気を保っていた。あれは苦しいだろうな……。 王国騎士団は数日以内に到着する予定だという。 今、俺にできることは何もない。 下手に手を出したら俺まで寄生されるかもしれないし。ていうか危なかったし。 別に王国騎士団を待つ必要もない。 ちゃんと討伐できるの見込みがあるならば、こんな町はさっさと離れておいたほうがいいかもしれん。 俺はモヤモヤとした気分を抱えながら、表通りに戻った。「もう夕方か。宿屋、やってるかな」 そんなことを考えながら、宿のあるほうへ行く。 と。 道端の茂みの中から、魔物の虫が飛び出してきた!「クソ、町なかにもいるのかよ!」 俺は剣を振るって虫を叩き落とす。 中くらいの大きさに育っていた虫は刃を受けて、ぶちゅっと潰れた。黄緑色の体液が
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-02
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第28話 毒薬飲みまくり

「ゲボッ」 咳をすると同時に血を吐き出した。 かすむ目にクマ吾郎の心配そうな顔が映る。「ゲボォッ」 また血の塊を吐き出した。 ……いや違う、血だけじゃない。 黒っぽい何かが交じっている。 虫の死体だ! サソリやクモを思わせる小さな虫は、足を縮めて完全に死んでいた。 俺の腹の中で毒薬をもろに浴びたのだろう。「やった、ざまあみろ……」 意識が遠ざかりそうになるが、必死で引き止める。 ここで倒れるわけにはいかない。 ここはまだ虫たちのテリトリー。気絶すればまた寄生されてしまう可能性がある。 俺は歯を食いしばって意識を押し留め、体力回復のポーションを飲んだ。 喉も胃も毒薬で焼けてしまったので、少しでも中和するつもりだった。 回復の効果はそれなりに出て、いくらか体が楽になる。 俺はふらつく足で立ち上がった。 クマ吾郎につかまりながら歩いて、鉱山町の外へと出る。 安全と思われる距離までやって来て、俺はようやく膝をついた。「ひどい目にあったが、何とかなった……」 もう一本、体力回復のポーションを飲む。 喉を落ちていくポーションが、触れた場所の傷を癒やしてくれるのが分かる。 普段は薬臭くてまずいと思っていたのに、今日ばかりは妙においしく感じられた。 生きていると実感できて、嬉しかった。     俺とクマ吾郎は野外で一晩過ごした後、鉱山町に戻った。 衛兵詰所に行って毒薬を飲めば虫を殺せると説明する。「何……? そんなことが本当にできるのか!?」 衛兵隊長のおっさんが驚いている。 大事な部下が何人も虫に寄生されてしまって、心を痛めていたんだそうだ。「本当です。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-03
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第29話 毒薬飲みまくり

「マジックアロー!」 網の目に指先を通して魔法を使えば、マジックアローの矢は網の向こう側に生まれた。これなら網を傷つけずに済む。 MPが続く限り魔法を唱えて、MPが尽きたら剣先でチマチマと虫を潰した。 衛兵たちも魔法が使える人は似たような戦法を取っている。 槍でチクチクと潰している人もいる。 部屋から出した元寄生者は、体に虫がついていないかよく確認してから網の外に出した。 そうした地道な作業を繰り返すこと、約二時間。「や、やった……。これで全部だ」 全員の虫の吐き出しが終わり、隔離室にいた虫も全滅させることができた。   虫増殖の元凶、ボサボサ頭のジェイクも同じ方法で助けることができた。 ただしジェイクの腹の虫は育ちすぎていて、毒薬で殺すことはできたが吐き出すには大きすぎた。 無理もない、こいつは一番最初に寄生されていたからな。 それで彼は医者に運ばれていった。 開腹手術で胃の中から取り出すんだそうだ。ひぇ。 それでも毒薬で殺せたからまだいいが、もしそれすら無理なくらいにデカくなっていたらどうなっていたんだろう。 腹を食い破って出てくるとか……? 想像するだけで気分が悪くなってくるぞ。やめやめ。   王国騎士団は全て片付いた日の午後にやって来た。 ものものしい雰囲気だったが、全部解決した後だと聞いて拍子抜けしている。「寄生型の魔物に毒薬が有効だと知っている者がいたのだな」 そう言って前に出たのは、国王一家の後ろに控えていた白フードの騎士だった。騎士団長だって話だったか。「我らも対策を取ってきたが、無駄になったとは」 ちらりと俺を見る。「……いや、責めているわけではないのだ。素早く正しい対処に感謝する。対処が半日遅れれば、それだけ被害が拡大した恐れがあ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-04
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第30話 カルマとは

 鉱山町の事件が解決された。 報奨金で懐が温まった俺は、ほくほくしながら冒険者ギルドに立ち寄っていた。 また町から町を移動して、配達依頼をこなしてく予定だ。 冒険者ギルドの掲示板をチェックしたら、手頃な配達依頼を発見した。「お。港町への配達依頼が出てる」 かつて拠点にしていた港町カーティスだが、しばらく戻っていない。 久しぶりに顔を出すのもいいだろう。 そう考えた俺は配達のアイテムを受け取って、クマ吾郎といっしょに町を出発した。 そうして二日ほど歩いたときのことである。『警告! 警告! 請負中の依頼は、あと一日で期限を迎えます』「え?」 荷物袋からそんな音声が流れた。 何事かと確かめてみると、声の発生源は冒険者ギルドの依頼票である。 いやしかし、あと一日ってどういうことだ。 鉱山町で引き受けた配達依頼は、十分に期限に余裕があるのに。「あっ」 そこで俺は気付いた。 警告を発した依頼票は、王都パルティアで引き受けたものだということに。 内容はボサボサ頭ことジェイクへの魔法書配達依頼。「しまった、それどころじゃなかったから、配達品を渡すのをすっかり忘れていた」 あと一日だって? もっと早く警告してくれよ。 鉱山町を出てから二日歩いてしまったが、急いで夜通し走れば一日で何とか町まで戻れるかもしれない。なんとかしよう。「あっ……」 しかし俺はもっと悪いことに気づいた。 配達品として預かったマジックアローの魔法書は、昨日勉強として読んでしまったのだ。 あれが配達品だとすっかり忘れていて、普通に手持ちの魔法書と一緒に読んでしまった。 魔法書は数回読めば魔力を失って崩れて消えてしまう。 つまり悪意はなかったとはいえ、俺は配達品をネコババしたことになる!「まじかよ。勘弁してくれよ」 俺は頭を抱えた。 クマ吾郎が心配そうに顔を舐めてくれる。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-05
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