【5】 午後になり、ブラッドヘルム王女一向はデアルトス国立学院を訪れた。王女であるリザレリス以外には、エミルとルイーズと従者がひとりだけ。少人数での訪問となった。「おおお、ここがデアルトス国立学院か!」足を踏み入れるなり、リザレリスは感嘆の息を洩らした。こんな立派な学校は、前世でも見たことがなかった。広大な敷地。お城のような校舎。いずれも歴史と伝統の重みがあり、なおかつ最先端の学問が学べる洗練さも融合している。世界でも有数の教育機関と言われているだけあった。並の学校とは根本的に違っていた。「優秀な学生にとっては憧れの学校であり、王族や上流貴族にとってデアルトス国立学院の卒業資格は、是非獲得しておきたいステータスでもあるのです」リザレリス一行を出迎えた教師が、彼らを理事長室まで案内しながらそう説明した。「へー、日本で言えば東大的な感じなのかなぁ。海外で言えばハーバードとかオックスフォードとか、そんな感じかなぁ。知らんけど」リザレリスは広い通路を進みながら前世の記憶を思い起こした。まわりの者たちは不思議そうにリザレリスへ視線を向ける。「あっ、いや、なんでもないから」リザレリスは笑って誤魔化しつつ、胸の中ではしっかりと噛み締めた。こんな素晴らしい学
Last Updated : 2025-05-19 Read more