Semua Bab 転生吸血姫: Bab 31 - Bab 40

56 Bab

ep35 もうひとつの変化

【10】王子来訪以来、エミルは城外にある人気のない空き地によく足を運ぶようになっていた。リザレリスを取り巻く状況が変化したことと並行して、エミルの心境も変化していた。もっとも彼の場合は、個人的な感情に起因していた。「精が出るな。エミル」そこへディリアスがやってきた。すでに空は夜に染まっていた。「ディリアス様。お忙しいところ、こんな時間にお呼び立ていたしまして申し訳ございません」エミルは動作を止めて、ディリアスに体を向けた。綺麗なエミルの白い顔は火照り、汗が滴り落ちている。「今は私たちだけだ。そんなに堅い言葉使いはしなくていい」「そうですね、先生。それでは早速ぼくと手合わせ願いませんか?」エミルは意気込んで構えるが、肩で息をしていた。ディリアスは吐息をつく。「少し休憩を取りなさい」「嫌です」生贄の美少年は、熱い青少年の眼差しを向けた。「すぐにやらせてください」「そんなに悔しいか」 ディリアスに訊かれ、エミルは拳をギリギリと握りしめる。「ぼくは王女殿下の生け贄であると同時に護衛です。それなのに......」「フェリックス王子に敗北してしまったと」「はい......」「戦いではないのだがな」「ぼくの唯一の取り柄である魔法で出し抜かれてしまったのは事実です。フェリックス王子にとっては取るに足らないことなのかもしれませんが、ぼくにとっては......」「まるで想い人を取られてしまったような顔をしているな」「なっ、いや、ち、違います!」図星だと言わんばかりに慌てふためくエミルを見て、ディリアスは嬉しそうに頬を緩めた。「あの王女殿下が、あの一件でフェリックス王子とお前を比べたと思うか?」「......そうは思いません。これは、ぼく自身の問題なんです」エミルは視線を逸らして、唇を噛んだ。「つまり、このままでは王女殿下に相応わしい男ではないから修行し直している。こういうことだな?」「はい」「リザレリス王女殿下の意中の男性になるためにはもっと頑張らなければ。こういうことだな?」「はい。......えっ??」やっと言葉の意味を理解したエミルは、またもやあたふたと焦り出した。「そんな分をわきまえない大それたこと、ぼくは!」「では、久しぶりに手合わせするか」と唐突に切り替えたディリアスは、エミルに向かい構えて見せた。「ぼ、ぼくをから
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-04
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ep36 昼下がりの出来事

【11】留学まで残りあと僅かとなったある日。午前の授業を終え、いったん自室に戻ったリザレリスは、はたとする。「俺...わたしは、なにマジメに王女やってんだー!」ここのところのリザレリスは、日々ルイーズの授業を受けながら、城内と城の近辺だけで過ごしていた。留学したら自由にできると思って、今は大人しくしていたというのもある。ヘタに何かをやらかして留学の話が飛んでしまったら元も子もない。だが、そろそろ限界を来していた。「留学はマジで楽しみだ。なんせ前世でも経験したことないんだから。だから今は遊ぶのも我慢してたけど......もう遊びてー!!」リザレリスは叫んだ。前世の人格から飛び出した、まさしく魂の叫びだった。「てゆーか最近はエミルの奴もあんまり絡んでくれないし。そうだ。エミルを連れ出して、また一緒に外へ遊びに行こう!」思い立ったが吉日。リザレリスはドタドタと部屋を飛び出した。「エミル・グレーアムですか?外に行っておりますが。場所は確か......」臣下のひとりに教えてもらい、リザレリスは廊下を駆け抜け城を出ていく。召使いに命令して呼び出したほうが楽なのに、リザレリスは自分で探しに行った。そうしたかったから。「あっ、エミル!」視界の先にエミルを見つけ、リザレリスは人気のない空き地に向かって翔けた。 「王女殿下?」エミルは驚いて振り向いた。視界の先から、愛しい王女が手を振って走ってきている。「リザさま......」エミルは息を飲んだ。太陽に照らされたイエローダイヤモンドのように煌めく美しい髪をなびかせて、無邪気な少年のように駆けてくる絶世の美少女に。「エミル!」リザレリスはエミルに走り寄っていくと、華奢な体でドーンと体当たりした。エミルはただ驚いた。「り、リザさま」「あ、ヤバい」と途端にリザレリスは膝に手をついて、ゼーゼーと肩で息をする。 心配になったエミルは王女の肩を抱こうとするも、ハッとする。朝からトレーニングをしていた自分の体が汗臭い気がしたから。「ああー、のど乾いちった」おもむろにリザレリスは汗が滲んで桃色に火照った顔を上げて、えへへと笑った。その笑顔から放たれた可憐な矢に、エミルの心臓は射ち抜かれた。「か、かわいい......」「えっ、なんて言った?」「な、なななんでもないです」途端にあたふたとしてエミルは横を向い
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-05
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ep40 王女の旅立ち

【13】出国の朝も爽やかな晴天に恵まれた。春のような暖かい風が穏やかにそよいでいる。リザレリスは、エミルと他数名の従者を従えて、国一番の船に乗り込んだ。昨日のパレードのような混雑を避けるため、一般国民に向けて時間や場所の周知はなされていない。港に並ぶ人々は、ほとんどが城の者たちだった。「思ったより人数少ないんだな」甲板に立ったリザレリスが意外な顔をした。でもそれは港に立つ人々へ向けたものではない。船に乗る船員たちに対してでもない。留学する王女に伴う人員の少なさについてだ。「フェリックス王子側からの要請だそうです」王女の傍に寄り添うエミルが答えた。「へー、そーなんだ。でもなんでだろ」「リザさまの警護については、ウィーンクルム側が責任を持って人員も費用も負担するということです。リザさまのお側には常にぼくも付いていますから心配はご無用かと」「ふーん」自分から振ったわりに、リザレリスは興味なさそうに返事をする。当然だ。心は留学のワクワクでいっぱいだから。本当は、はしゃぎたかった。でも我慢した。口うるさいルイーズも侍女として、すぐ後ろで控えているからだ。ちなみにルイーズは今回、侍女のみならず現地での政務官(外務官)のような役割も担っているらしい。上質なシュールコーを纏った、古風だが品格のある女官のような本日の彼女は、普段とは様相が異なっていた。妙に様にもなっている。なぜ侍女であるルイーズがと不思議に思ったが、リザレリスは深く考えなかった。留学生活への期待と楽しみに、王女の頭は支配されていた。「あー、早く学校行きてー」「もう少しですよ。ぼくも楽しみです」エミルに微笑みかけられ、リザレリスも笑みを浮かべた。まもなく船が出航する。元気なリザレリスは手すりに走り寄っていくと、目一杯にぶんぶんと手を振った。ルイーズの存在も忘れて。「みんなー!」「王女殿下!どうぞお気をつけて行ってらっしゃいませ!」港に立つ臣下の者たちは皆、一様に堅苦しく声を上げた。リザレリスは手を横に振り、違う違うとジェスチャーする。「こういう時はもっと砕けていこうぜ!」「お、王女殿下?」臣下の者たちは目を丸くする。離れていく船の上から、王女が自分たちに向かい、被っていた帽子をぽーんと空高く放り投げたのだ。薔薇風のリボンをしつらえた王女の帽子がカモメのように宙を舞う。それは不
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-09
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