昼になり、リザレリスたちは食堂に移動した。さすがは世界屈指のデアルトス国立学院というだけあり、食堂も実に立派なものだった。まるで貴族学食とでも言うべき環境は、城生活に慣れていたリザレリスも唸らせるものだった。だがリザレリスには、立派な食堂を味わっている暇はない。「リザさまは今、デアルトスの屋敷に住んでいらっしゃるのね?」食事をしながら、クラスメイトたちからの質問タイムが始まった。リザレリスはいったん食事の手を止めて頷く。「そうだよ。馬車で来てるけど、近くて楽で助かってる」「お国ではやっぱりお城に住んでいらっしゃるの?」「うん。古いけど、大きくて立派な城だよ」「大きなお城だって。すごーい!」彼女の着いたテーブルには先ほどのクラスメイトたちも集まり、皆で賑やかな食卓を囲っていた。「ねえねえ、リザさま」不意にクラスメイトの女子が、やけに興味深々な目を向けてきた。それまでとは違う、女の目だ。「なに?」とリザレリス。「フェリックス様とは、どういうご関係なの?」この質問には、このテーブルに着いた女子全員が色めきだった。「えっ、ただの友達だよ友達」質問の意図を理解したリザレリスは、笑いながら殊更に「友達」を強調した。実際、それ以上の事実もまったくない。「でも、今朝はフェリックス様に送られてきたんでしょう?」「あれはただのあいつの親切だよ」「あいつ??」女子全員がわっと驚く。「リザさまは、そんなにフェリックス様と仲がよろしいの?」「いやいや、まだ数回会っただけだよ?」「数回お会いしただけなのに!?」リザレリスはことごとく墓穴を掘った。女子たちは互いに顔を見合わせると、今度は目つきを変えてリザレリスに迫ってくる。「リザさま。もっと自覚した方がよろしいですよ」「フェリックス様は才色兼備の本物の王子様です。女にとっては憧れの的であり、男にとっては尊敬の対象です」「そんな方と、そこまで親しげだということは、どういうことなのか」矢継ぎ早に言及され、リザレリスはあたふたとしてしまう。「み、みんな、ちょっと落ち着いて。エミル助けて」エミルは隣にいながらも、リザレリスのフォローができなかった。女子生徒たちの言っていることは、もっともだからだ。むしろ、これを機に王女殿下にももっと自覚を持ってほしいとさえ思ってしまっていた。「だから、
最終更新日 : 2025-05-25 続きを読む