「サッカーができなくなっちゃったのも、それで……?」「そう。激しい運動はやっぱりやめたほうが良くてね。でも律の場合まだ症状は軽いし、薬を飲んでいれば日常生活には支障ないよ」 えっちゃんは私を安心させるように微笑んだ。日常生活に問題はないとわかって、少しほっとする。 とはいえ、大好きなサッカーができなくなって、律はどれだけ悔しかっただろうと思うと、やり切れなさでいっぱいだ。 えっちゃんもすぐに表情を曇らせて、声のトーンを落とす。「でも、今日は特別調子が悪かったみたいだね」「あんなふうになることはよくあるの?」 さっきの律の姿を脳裏に蘇らせて、胸の中に不安と心配が渦巻いたまま問いかけた。 彼は「そんなことないよ」と否定したものの、表情は浮かない。「薬の服用のタイミングや量が合わないと、いろんな副作用が出るんだ。人によって症状は違うみたいだけど……律は足が動かなくなっちゃったみたいだね。今日の状況を聞くと」 だから、踏切の真ん中で立ち止まったまま動けなくなってしまったんだ。あの時、私が彼を見つけていなかったらと思うとゾッとする。「ついこの間、薬の種類が変わったからそのせいかもな。少量の違いで症状が出るから、コントロールが難しいんだ。いつ、どれくらいの量を飲むのか、律が自分自身でちゃんと把握して、うまく付き合っていかなきゃいけない」「そんなに難しい病気なんだ」「ああ……。まあ、今日は暑さにやられたせいもあるかもしれないけど。これだから出無精は困るよ」 口を尖らせているけれど、弟想いなのが伝わってきて、少しだけ笑みがこぼれた。「じゃあ、薬を飲んでいれば症状は抑えられるんだよね?」 そんなに副作用が出てしまうのは怖いけれど、気をつけていれば大丈夫なのかな。完治はしないとしても……。 えっちゃんは、ほんの少し口角を上げて答える。「薬が効いている間は、普通に生活できるよ。寿命には関わらないから、他に病気や事故に遭ったりしなければ長生きできるし」「そうなんだ……!」 余命があるようなものではないと知って、私はあからさまに安心してしまった。 しかし、えっちゃんの声は明るくならないまま、「でも」と続ける。「症状は確実に進行する。何年もかけて、すごくゆっくりとだけど。何十年先かわからないけど、将来寝たきりになるのは避けられない」 その事実を聞いた瞬間、目の前が暗くなる感覚がした。 律の身体
Terakhir Diperbarui : 2025-04-25 Baca selengkapnya