律の謎は深まるばかり。けれど、どうにもできない日々が続く。 いつの間にか期末試験も迫っていて、彼のことばかり考えてもいられなくなっていた。 そんな六月下旬、教室でミキマキコンビとお弁当を食べていると、海姫ちゃんが突然核心を突いてくる。「ところでさぁ、ふたりは逢坂くんとその後どうなったの?」 私とありさは目をぱちくりさせる。先に口を開いたのはありさだ。「へ……なんで?」「前から真木にいろいろ調べてもらってたじゃん。皆で遊びにも行ったみたいだし。どっちかが彼のこと好きなんだとしか思えないでしょ」 そうだった、海姫ちゃんたちには打ち明けていなかった。そりゃあ気づくよね……内緒にしていたわけじゃなく、あえて自分からは言わなかっただけなのだけど。「そろそろ教えてよ〜」と口を尖らせる彼女に、ありさが意味ありげに口角を上げて言う。「あたしが彼のこと好きなように見える?」「見えない。つか、恋してるオーラがない」「自分から聞いといてちょっとヘコむけど、その通り」 カクリとうなだれるありさに構わず、海姫ちゃんは目を輝かせて机に身を乗り出す。「じゃあ小夜ちゃんなんだ!」「旦那様……かわいそうに」「旦那じゃないっつーの!」 淡々と箸をすすめる真木ちゃん、まだそれを言うか。 一方、海姫ちゃんはニンマリとしながら見てくるから恥ずかしくなって、大口を開けて卵焼きを放り込んだ。「でも逢坂くんと遊べたなんて、貴重な体験をしましたね」「貴重?」 真木ちゃんの言葉を聞いて、ありさが首をかしげた。私もごくりと卵焼きを飲み込んで、彼女の話に耳を傾ける。「彼、女子の誘いは全部断ってるらしいですよ。放課後もまっすぐ家に帰っちゃって、本当に仲のいい男子とごくたまにしか遊ばないって話です」 そうなの? あんなに女子と楽しそうにしているのに……。男子とだって昔はしょっちゅう遊んでいたのに、そんなに消極的になってしまったのか。「意外と人見知りなのかな。そうは見えないけど」 海姫ちゃんに同意して、私とありさも頷いた。 意外な事実を知って眉根を寄せていると、真木ちゃんが思い出したように言う。「あ、あと腰痛持ちらしくて、整体に通ってるんだとか。部活をしていなかったり、すぐ帰っちゃうのはそのせいですかね」 その話も初めて聞いた。そして、ただ漠然と思う。もしかして律が隠している事情には、そのことも絡んでいたりして……と。 皆は
Terakhir Diperbarui : 2025-04-23 Baca selengkapnya