All Chapters of クズ男が本命の誕生日を盛大に祝ったが、骨壷を抱えた私はすべてをぶち壊した: Chapter 11 - Chapter 20

葬儀場？静雄はこの言葉を聞くと、何も考えずに電話を切った。今の詐欺師は本当に大胆になり、葬儀場を名乗るなんて、まったく無節操だ！寧々は元気なはずだ。葬儀場なんて必要ない。すぐに電話が再びかかってきた。「松原寧々様のご家族様、こちらは葬儀場です。お子様の死亡証明書と火葬手続きのため、早急にお越しいただけますでしょうか」相手はそれ以上何も言わず、静雄が怒りを爆発させる前に電話を切った。電話の一言一言が、静雄の我慢の限界を試すようだった。彼はもう我慢できなかった！深雪は本当に狂っている。彼を引き寄せるためなら、どんなことでもやる。娘が死んだという嘘までついたなんて、世界にはこんな母親がいるのか？「静雄」その時、耳元で聞き覚えのある声がした。振り向くと、案の定、芽衣が立っていた。さっきの怒りで目が赤くなっていたが、芽衣を見た瞬間、その怒りは少し収まった。それでも、芽衣は彼の怒りを察知し、ため息をついて近づきながら、優しく言った。「また深雪さんが騒いでるの？説明してあげようか？」「大丈夫。さっき葬儀場から電話があった。寧々が死んだから、手続きをしに来いと言われた」静雄は冷笑した。彼はスマホを適当に脇に投げ、目の中には皮肉が浮かんでいた。あの手段を選ばない女は、彼を引き寄せるためなら、どんな嘘でもつく。家を出て行ったのも、完全に彼を引き寄せるための策略だ。彼は彼女を良い母親だと思っていたが、今見ると、人間としても失格だ。「え？」芽衣は信じられないように口を覆い、大きな目に驚きが広がった。「深雪さん、そんな冗談ができるなんて、あまりひどいよ。寧々はまだ小さいのに、どうして死んだなんて残酷な嘘をつけるの？静雄、やっぱり深雪さんとちゃんと話したほうがいい。どんなに言っても、寧々はあなたの娘だ。あんな人のそばで育っていったら、寧々の将来はどうなってしまうの」芽衣は静雄の腕を抱き、心配そうに言った。その悩ましげな様子は、まるで実の娘を心配しているかのようだった。そして、静雄はその言葉を聞いて顔色を変え、目の中に満ちた不満が溢れそうだった。「気にするな。彼女は厚かましい女だ。彼女は母親として、もう失格だ。絶対、寧々の親権を彼女に渡さない」静雄は心に決めた。

朝起きると、枕がまた涙で濡れていた。彼女は目が腫れているのを感じながら、ベッドから起き上がり、スマホを開いた。ここ数日、スマホの電源を切っていた。あまりにも悲しくて、外のことを何も気にしたくなかったからだ。しかし、スマホを開けると、通知音が鳴り響いた。確認すると、それは葬儀場からの手続きの催促だった。その瞬間、彼女は思い出した。寧々の遺骨はすでに埋葬されたが、まだ多くの手続きや証明書が済んでいなかった。「まあいい。それさえ終われば、ここを離れよう。ママは本当に寧々に会いたいよ」彼女は胸元のペンダントを握りしめ、再び涙がこぼれ落ちた。彼女はこれまで、悲しみを抑えようと一生懸命努力していた。なぜなら、寧々が亡くなる前、彼女が幸せになれるかを心配していたからだ。しかしその努力は失敗した。彼女はどうしても悲しみを抑えることができなかった。寧々を思うたび、涙が止まらなかった。愛しい寧々が灰になってしまったことが、彼女にはどうしても受け入れられなかった。黒い服に着替え、葬儀場に向かった。無感情に署名をして、手続きを進めていった。「親として、あまりにも責任感がなさすぎるのでは？最後くらい、しっかりと尽くしてあげてくださいよ。親になる準備ができていないなら、子供を産まない方がいいです。父親もそうだけど、母親もこんなに軽率でいいですか？」一方、スタッフが不満そうに愚痴をこぼした。ここ数日、彼らは寧々の親に電話をかけ続けたが、出なかったり、電話を切られたり、さらには一人の怒った男に罵られる始末だった。自分たちが一体何をしたというのか？なぜこんな扱いを受けなければならない。ましてや、子どもの最期を親がまともに取り合わなかった。これでは、普段からこの子に十分な愛情を注いでいなかったに違いない。だからこそ、幼い命が亡くなったのだろう。きっと親がきちんと面倒を見ていなかったからだ。こうした非難に対して、深雪は何の弁解もせず、むしろその核心をしっかりと捉えた。「寧々の父親には連絡を取ったのですか？」「はい、連絡はしましたが、罵られて電話を切られました」スタッフは不満げに言った。しかしその言葉は、深雪の心に深く刺さった。静雄がこんなにも冷酷で無関心だとは、彼女は想像もしなかった。彼

深雪にとって今、目の前のこの男を一目でも見ることは、ただただ吐き気を催すばかりか、寧々への冒涜にさえ思えた。彼女は男が黙っている隙に、勢いよくドアを開けて中に入った。そして、苛立ちをあらわすように、深雪は勢いよくドアをバタンと閉めた。ドアを閉めて振り向いた瞬間、テーブルの上に置かれた白黒の写真が目に入った。そこに写っている寧々は、目を細めて、とても明るく笑っていた。これは彼女が子どもの日に撮った写真だ。その日、寧々は幼稚園で演目を披露し、素晴らしい成績を収めていたので、とても嬉しくて、笑顔がとても明るかった。その時、深雪はこの写真を意図的に選んだ。娘がずっとこんな風に幸せで、ずっと笑顔でいてほしいと願っていたからだ。「寧々」深雪はドアの板に沿って滑り落ち、両手で口をしっかりと押さえながら、涙がこぼれ落ちた。「お前が何を考えているのか知らないが、寧々は俺の娘だ。彼女を虐待することも、呪うことも許さない！親権もいい加減に諦めろ。松原グループの弁護士がどれほど優れてるか、お前はよく知っているだろう」ドアの外からは静雄が歯を食いしばりながら、脅している声が聞こえてきた。もし以前なら、深雪は土下座して謝罪しただろう。しかし今、寧々はもういない。彼女には恐れるものは何もない。親権の訴訟だと？好きにやればいい！すべては無意味なことにすぎない。やがて外で足音が聞こえてきた。それは高級な手作りの革靴がコンクリートの上を歩く音だ。とても不自然で、騒がしさが際立っている！深雪はしんどくて地面から立ち上がった。寧々が去ってから、彼女は一度もちゃんと食事を取ったことがなかった。食欲もなく、眠れず、頭の中にはずっと寧々のことばかりだった。よろよろとソファに歩み寄ると、彼女は寧々の写真を手に取り、痛々しい顔でそれをキスした。「寧々、ママはここを離れるよ。安心して、ママはあなたの言う通りにするから。あなたのために、ママはちゃんと生きる。全力で生きるんだ！」涙は写真立てに落ち、深雪は慌ててそれを拭こうとしたが、どんどん拭いても拭いても涙は拭き取れなかった。「洋輔への小切手は無効にしろ。そして、深雪を監視しておけ。彼女は絶対、頼みにくる」車の後部座席に座った静雄は、長い足を優雅に組みながら、確信

「何をしているの？」芽衣は小走りで駆け寄り、静雄の前に立ちふさがった。彼に咎めるような視線を投げながら言った。「何と言っても、深雪さんは女性よ。暴力はダメだ」彼女は振り返り、腰をかがめて地面に座っている深雪を起こそうとした。寧々が死ぬ前、ただ父親と数日一緒に過ごしたいと思っていた。しかし、この女はずっと静雄を独占していた。さらに、寧々が入院しているその夜、静雄と一緒に記念日を過ごしていた。この女を見るたびに、深雪は寧々の悲しみや苦しみを思い出す。寧々が死んだその夜、1200万円の花火がただこの女のために咲いていたことを思い出してしまう。「触らないで！汚いよ！」深雪は力いっぱい芽衣の手を振り払った後、力を振り絞って立ち上がった。まるでゴミを見下ろすかのような冷徹な視線で芽衣を見つめた。かつて、深雪は芽衣を非難したことはなかった。彼女はずっと、静雄一人のせいだと思っていた。しかし今、どうしても芽衣に怒りをぶつけないわけにはいかない。もし彼女が故意でわざでないのなら、どうして何度も静雄を寧々から奪おうとしたのだろうか！「ギャア」芽衣はその力に押されるまま地面に倒れ、痛みに声を漏らした。彼女の目元は瞬く間に赤くなり、可哀想な様子を見せた。またこの手だ。ここ数年、彼女はずっとこういう演技をしてきた。深雪はもう見飽きていた。しかし、なぜか静雄はこの演技を好んでいる。彼は冷たい目で深雪を見つめた後、腰をかがめて彼女を起こした。そして、芽衣を見たとき、その目に氷のような冷たさが溶け、優しさが広がった。「大丈夫か？」深雪と寧々は、こんな優しさと辛抱強さを一度も得たことがなかった。今、深雪は自分がこれまで愛してきたすべて、そして寧々がいたことすら、ただの笑い話のように感じた。やはり、負け犬はどんなに尽くしても意味がない。彼らがここでラブラブの恋愛ドラマを演じようとしているが、深雪はもう見る気にならなかった。彼女は嘲笑の対象として、その芝居に参加したくなかった。自分の荷物を引きながら、深雪は静雄に一瞥もくれず、背を向けて去ろうとした。「深雪、待て！母親として、自分の娘を放っておいて、どこに行こうとしているんだ？」静雄は足で彼女の荷物を蹴飛ばし、中身が地面

深雪はもがいて力を使い果たしていたため、今はどんな不満があっても、もはや抵抗する力もなくなった。ただそのまま、潤一に引き上げられ、車に押し込まれた。その過程で彼女には一切の抵抗がなく、ただ手に握ったしわくちゃの写真を強く抱きしめていた。かわいそうな寧々は、この世界でわずかな時間しか生きられなかったが、父親から一切の愛情を受けることなく、抱きしめられることもなく死んでしまった。今、その死後にもこんな辱めを受けている。あいつらこそが人間失格だ！病院にて。「静雄、私は本当に大丈夫。ただのかすり傷よ。早く家に帰って。深雪さんは今、少し不安定な状態かもしれない。だとしたら、寧々のことが心配だ。何と言っても、寧々はあなたの子供でもある。大人の問題で、子供を巻き込んではいけない」芽衣はため息をつき、瞳を伏せたまま、言い表せないような辛さを見せた。静雄が他の女と子供を持つことを思うだけで、彼女は耐えきれないほど憎かった！深雪というくそ女はそんな資格なんてない！しかし静雄の前では、彼女はただ悲しんでいるふりをしながら、悔しさを飲み込み、妥協するしかなかった。「寧々を取り戻す」静雄は無表情で、口調も冷たかった。だが、彼の心は表面のように穏やかではなく、胸の中には言葉にできない鈍痛があった。特に、離れる前に見た深雪の充血した赤い瞳が、彼の目の前から消えなかった。そんな気持ちが彼を苛立たせた。彼が最も嫌うのは、こうした計略を弄する女性だ！そういう女性が傷ついたとしても、それは自業自得に過ぎない。「静雄？」静雄が自分の前でぼんやりしているのに気づいた芽衣は、語気を強めた。以前はこんなことはなかった。彼はいったいどうしたんだろう？「大丈夫だ。まだ痛いか？」静雄は我に返り、芽衣を心配そうに見つめた。「芽衣の手、すごく繊細だし、痛みにも弱いのに……今回つらい思いさせて、ごめんな」彼は常に彼女の気持ちを最優先にし、まるでかけがえのない宝物のように、限りない思いやりを注いでいた。「大丈夫、本当に大丈夫。やはり先に帰って、寧々の行方を聞き出しましょう」芽衣は心配そうに言った。もし他人が見たら、彼女が寧々の実母だと思うだろう。実際、芽衣はこの事件を利用して、静雄が深雪をもっと嫌いにな