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第16話

Author: 木憐青
「何?」

静雄の顔色は暗くなった。

彼は寧々を何日も見ていなかった。

前回、深雪を訪ねたときも、寧々は見当たらなかった。

葬儀場からの電話を思い出すと、彼の心の中に不安が湧いてきた。

それは深雪の手口だとわかっていても、やはり心が乱れてしまう。

「静雄、落ち着いて。深雪さんはただ拗ねているだけだ。寧々を傷つけないはずよ。

ただ、寧々をどこに隠したでしょう?彼女には他に親戚がいるのかしら?」

芽衣は一歩前に出て、静雄の胸を軽く叩きながら、優しい声で慰めた。

親戚?

静雄はすぐに洋輔を思い出し、さらに無効になった小切手を思い出した!

あいつはギャンブラーだ。金のためなら何でもする男だ。

もし寧々が彼の手にあるなら、非常に危険だ。

「今すぐ空港に行こう」

静雄は芽衣を押しのけ、外に向かって歩き出した。

どんなことがあろうとも、寧々は松原の血筋で、彼の娘だ。

自分の血筋が他人に弄ばれるのは、絶対に許さない!

そうだ。その通りだ。

外に出るその瞬間、静雄は口実を見つけた。

彼が気にしているのは、あの女が産んだ子供ではない。

ただ自分の血筋と松原家の顔を気にしている。

「痛い。私、足を捻挫した」

芽衣はテーブルに身を預け、痛みを訴えた。

だが、今回は静雄は振り向かなかった。

まるで聞こえないかのように、足を速めてそのまま外に出て行った。

静雄は他の誰かのために、彼女の気持ちを無視したのは、今回が初めてだ。

以前なら、彼女が少しでも怪我をすれば、心配して抱きしめて慰めてくれた。

しかし今、あの下品な女が産んだ娘のために、彼女を押しのけ、何も言わずに出て行ったのだ。

芽衣の心には今までのない危機感が芽生えた。

彼女は歯を食いしばり、顔色を恐ろしいほどに変えた。

横で見ていた秘書は思わず寒気を覚えたが、それでも職務を全うし、口を開いた。

「芽衣様、病院まで送りますか?」

「余計なお世話よ!」

芽衣はテーブルから立ち上がり、大股で外に向かって歩き出した。

足を捻った様子は全くなかった。明らかに、さっきの痛みは演技に過ぎなかった。

ただ、観客が振り向いてくれなかったため、演技を続ける必要はなかった。

「深雪のやつ、本当にしつこい。さっさと死ねばいいのに!」

芽衣は歩きながら悪態をつき、電話をかけ始めた。

空港にて
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