All Chapters of クズ男が本命の誕生日を盛大に祝ったが、骨壷を抱えた私はすべてをぶち壊した: Chapter 41 - Chapter 50

彼は本当に知らなかったのだ。もし早く知っていたら、深雪をここに残して苦しませるようなことはしなかっただろう。深雪はティッシュを取り、涙を拭いながら嗚咽混じりに言った。「知ってる？私の寧々、とてもいい子なの。彼女はまさに神様がくれた贈り物よ。でも、私のせいで、あの子は傷つけられて、不幸になってしまったの。寧々はね、死ぬ間際まで私の手を握って、私のことを心配してたのよ！松原のクソ野郎！寧々が病気だと知ってるのに、わざと放置して病状を悪化させた。早く手を打つこともできたのに、彼は見て見ぬふりをしたよ！そんな奴は寧々の父親どころか、人間失格よ！」深雪は話すうちに、目に激しい憎悪が燃え上がった。彼女は子どもの頃から好き嫌いがはっきりしていた。静雄と何年も一緒に過ごすうちに、性格は少し丸くなったものの、根っからの強情なところは今も変わらない。「なら、奴を許すな」延浩は淡々と言った。「俺も手助けをする」彼が今回戻ってきたのは彼女のためだから、当然、これ以上彼女に辛い思いをさせるわけにはいかない。「俺の知る限り、彼はこの数年、松原グループを丹念に経営しているように見えるが、実は密かに3つの子会社を設立し、資産を移しているとの情報もある。どうやら、松原お爺様の遺言は早くから知ってたようだ。ただずっと黙っていた。君と離婚しないのも、多分それが理由だ」延浩は既に調査済みで、静雄の裏の事情をよく把握している。彼は深雪に一枚のリストを差し出した。「これは全部、松原グループの株主の個人情報だ。よく見て、心づもりをしておきなさい。あと一ヶ月で、年中株主総会だ。その時全員が集まる」言うべきことは言った。具体的にどう動くかは、延浩は彼女自身が決めるべきだと思った。「ど……どうしてそんなに詳しいの？」「だって、俺も松原グループを気に入ってるから」延浩は正直に言った。彼は長年海外で研修してきたのは、ちっぽけな会社のためではなく、会社をより大きく強くするためだ。家族の企業が彼の新興産業を支えてくれるなら、松原グループを併合して業界を完全に掌握し、リーダーになることを狙うべきだ。最初から彼はそういう野望があって、ただの口先ではなかった。深雪はやっと気づいた。数年で人は大きく変わるものだと。延浩はかつて

静雄は以前から疑っていたが、結果がこんなに深刻だとは思わなかった。まさかあの女に、祖父を完全に丸め込み、逃げ道まで作るほどの手腕があったとは、彼は考えもしなかった。「この遺言書は本当か」静雄は鼻で笑い、自分の祖父がそんなに愚かだとは信じられなかった。あの女はずる賢く、何でもやりかねないから、遺言書を偽造した可能性も否定できない。するとマネージャーが静雄を一瞥して言った。「この種の遺言書は通常、第三者が立ち会い、全過程が録音や録画されているため、偽造の可能性はほぼゼロです」これで、静雄のすべての推測が覆された。彼は険しい顔をしたが、それ以上は何も言わず手を振った。「分かった」法務部の人間は書類をまとめて、外へ向かった。皆が震えながらも、このタイミングでこんな大きな問題が起こるとは誰も思っていなかった。静雄は会議室に一人で座り、恐ろしいほど険しい顔をしている。彼は松原家の唯一の相続人だが、実際には松原家の支配権は彼の手に無く、彼がずっと見下していた女の手にあった。この状況はまさに彼への挑発だった。特にあの女が病院で言った言葉を思い出すと、静雄の顔はさらに険しくなった。「深雪、お前の実力を見せてもらおうか」静雄は冷たい笑みを浮かべ、目には必勝の光が宿っていた。寄生虫みたいな女が、彼にどこまで立ち向かえるのか、見ものだ！すぐに、深雪は行動を開始した。彼女は松原グループの動向を注意深く観察し、株主総会で自分の身分を公表することを決めた。芽衣は何日も静雄が自分のところに来なかったので、不安になり、弟に電話をかけた。「調査はどうなってるの？」芽衣は不満げに彼を見て言った。「ちょっとしたことを頼んだだけよ。そんなに難しいことなの？」陽翔は姉の様子を見て、思わずつばを吐いた。「ふん！せっかくいい男を捕まえたと思ったら、結局何の価値もなかった。ばかばかしい！」何だと？芽衣は信じられない思いで陽翔を見た。「本当なの？」「調査は念入りにした。松原静雄の名義の株はわずか20％、だけど南は51％持ってる！つまり、松原グループで絶対的な決定権を持つのは南深雪だ。これらは松原お爺さんの遺産であり、夫婦の共有財産には入らない」陽翔が言うごとに、芽衣の顔色はどんどん暗くな

「深雪さん、静雄は最初からあなたのことが好きじゃなったの。たとえ、あなたはどんなやり方を使っても、彼に好いてもらえないよ。それなのに、何でそんなに必死になるの？」芽衣は懇切に説得した。そんな芽衣の様子を見て、深雪はただ笑った。「私の持つ株は、たとえ売っても少なくとも600億の価値があるわ！6億円で私の株を買うなんて、私がバカだと思ってるの？浅野さん、松原なんて何の価値もないわ。以前は子供のことを思って、少しは彼を気にかけていたけど、今は寧々がいなくなった。私の目には、彼なんてクソみたいな存在よ！私は松原グループの51％の株を握ってる。男なんて、欲しいなら、いくらでもいるわ」気持ちが切り替わると、深雪はこれからの人生がどんどん良くなると確信した。こ……これは？芽衣は本当に驚いた。以前のあの温和で優しい深雪が、こんな衝撃的な言葉を吐くなんて信じられなかった。そしてその瞬間、芽衣は気づいた。これまで自分が深雪の前で威張っていられたのは、静雄の愛によるものではなく、深雪の静雄への愛に依存していたからだと。もし深雪が本当に静雄を気にしなくなったとしたら、それはすべての終わりを意味し、彼女の心には何の感情も残らないだろう。そうだと、彼女が何を言っても、もう深雪を傷つけられなくなる。この自分の手に負えない感覚に、芽衣は混乱した。突然、彼女は我に返り、持っていたコップを割った。そして、破片を拾い上げて手のひらを切りつけ、血があふれ出た。深雪はそのまま座り、コーヒーを持って無言を貫いた。すると次の瞬間、静雄がまるで守り神のように駆け寄り、芽衣の手を押さえた。「どうしたんだ？」「南深雪、この悪女め！一体何を企んでいる！」静雄は険しい顔で深雪を睨みつけ、今にも彼女を八つ裂きにしそうなほどだった。以前なら、深雪はこんな静雄を見て震え上がり、すぐに謝罪していただろう。しかし、今の静雄の様子を見た深雪には、彼がただのバカにしか見えなかった。「今の時代、テクノロジーが進んでいるよ。ここには防犯カメラがあるし、私たちの会話はすべて明確に録音されている」深雪は手に持っていたコーヒーカップを置き、テーブルの銀行カードを手に取った。彼女は静雄を嘲るような笑みで見つめた。「あなたの愛人、夫婦の共有財産で、私の株

静雄の冷たい視線を受けて、芽衣は胸がざわつき、少し緊張した。静雄が何かに気づいたのかもしれないと思った。「静雄、どうしたの？」芽衣は手を伸ばして、そっと静雄の袖を引っ張った。「芽衣、お前は一線を越えた」静雄は無表情だったが、言葉は変わらず優しかった。ただ、その言葉の内容に芽衣は震えた。彼女の目からはさらに涙があふれ、嗚咽しながら言った。「そうよ。全部私が悪いのは分かっているけど。でも、わざとじゃないの。あなたを助けたかっただけで、深雪さんが……」「深雪とのことは、俺が処理する」静雄が再び口を開いた。今回は偽りの優しさはなく、警告だけが残った。最後の警告だった。静雄が心から愛しているのは自分自身だけだ。芽衣は特別だが、彼自身と比べれば、取るに足らない存在だ。これが芽衣が初めて気づいたことだ。彼女はずっと自分が静雄の心で一番大切だと思っていたが、今それは打ち砕かれた。彼女は自分が楽観的すぎたことを悟った。静雄の心では、彼女は一番大切ではなく、彼自身こそが一番だ。「わかったわ。もう二度としないよ」芽衣はすぐに頭を下げ、涙をぽたぽたと手の甲に落とした。鼻は真っ赤で、目尻も赤く腫れて、本当に可哀想な様子だ。彼女は自分の強みをよく理解しており、静雄の弱点も把握していたため、その強みを巧みに使って彼に対応していた。すると、静雄の態度はすぐに柔らかくなった。「よし、ゆっくり休め。会社のほうにまだ仕事があるから、俺は先に戻る。夜また来るから」静雄は立ち上がり、優しく芽衣の頭を撫でてから、外へ向かって歩き出した。静雄の背中を見つめながら、腹が立った芽衣は、隣のコップをひっくり返し、歯を食いしばって言った。「南深雪、あんたは本当にしぶといわね！」「姉さん、大丈夫？」陽翔が声を聞き、急いで入ってきた。姉の憎悪に満ちた様子を見て言った。「今ネットで騒ぎが広がってる。松原グループで、静雄も言い訳が立たない状況だ。姉さんはあんまりやりすぎないほうがいい」芽衣は弟の心配そうな顔を見て、胸が冷たくなった。彼女はまだここで休養しているというのに、弟の頭の中は利益のことばかりで、彼女のことなどまるで気にかけていなかった。家族もあてにならず、静雄も頼れず、芽衣は結局自分で自分を守るしかないとわかった。

「このクズ！」深雪は思わず罵声を上げた。彼女は、この世にこれほどまでに恥知らずな人間がいるとは思ってもいなかった！彼は堂々と、恥ずかしげもなく、そんなことを口にできるなんて信じられなかった！もし以前の彼女なら、きっと黙って我慢していたかもしれない。だが今の彼女は、迷わず拳で反撃した。彼女は力いっぱい彼の頬を打ち、その襟元を掴んだ。そして、全力で引きずり、寧々の遺影の前に突き出した。「見て！寧々を見てよ。さっきのセリフを、もう一度言う勇気あるの？」まさか彼女の力がこんなに強いとは、静雄は思わず驚いた。無邪気に笑う遺影の寧々と目が合い、彼は口を開いた。「たとえ当時治療しても、延命にしかならず、完治はできなかった。彼女は生きていても苦しむだけだった」「寧々は確かに苦しかったよ。でも、それは病気のせいじゃない。あんたのせいよ！寧々が苦しかったのは、あんたみたいな冷血な父親がいたからよ！それに、あんたには寧々の生死を決める資格なんて、あるわけないでしょ！」深雪は必死に彼の襟を掴み、怒鳴りつけながら問い詰めた。彼女は、この男が自分に抱く嫌悪も憎しみも理解できる。だが、実の娘にまで無情だとは、到底理解できなかった。彼女の激しい怒りに対して、彼の表情は冷ややかなままだった。「俺は彼女の父親だから」何だと？彼女は雷に打たれたような衝撃を受けた。彼女は多くの可能性を想定していた。どんな冷たい言葉も予測していた。だが、それでもこの答えだけは想像もしていなかった。彼はまさか、こんなことを言うなんて。「自分が父親だとわかってて、それを言えるなんて！松原静雄、あんたなんか人でなしよ！」彼女は彼を強く突き飛ばし、悲しみに打ちひしがれた。今では、娘がすでにこの世にいないことが、むしろ幸いだったと思えるほどだった。もし寧々がこんな言葉を耳にしたら、きっと大声で泣き崩れてしまうだろう！彼がこんなことを言えるとは、本当に信じられなかった。「自然淘汰だ。それが自然の法則だ。お前が説明会見に協力するなら、もう一人子どもを作ってやる。そうすれば過去の嫌な記憶も忘れられるだろう」彼は姿勢を崩さず、まるで何かを恩賜するかのように傲然としている。まるで、彼が彼女と子どもを作ることが、と