All Chapters of クズ男が本命の誕生日を盛大に祝ったが、骨壷を抱えた私はすべてをぶち壊した: Chapter 31 - Chapter 40

「お前があらゆる手段を使って、寧々を産んだんだろ？寧々を健康に産んでやれなかったのも、お前のせいだろ？それなのに、なぜ俺を責める？」静雄は顔を背けたものの、その目には相変わらず冷たい光が宿っていた。そして、深雪に向けたその眼差しには、どこか侮蔑めいた色が差していた。「まさか忘れたわけじゃないよな？あの子を産むために、お前が恥知らずにも、俺をはめたことを！そんなに子どもが好きか？いいだろう、もう一人作ってやるさ」そう言いながら、静雄は一歩前に出て、深雪の顎を掴むと、いきなりキスをしてきた。気持ち悪い！吐き気がするほどに気持ち悪い！深雪は、こんなにも嫌悪感を抱くなんて思ってもみなかった。彼女はありったけの力で静雄を突き飛ばした。「私たちはもう離婚したのよ、松原。少しは恥を知りなさい！」静雄は、自分のキスが拒絶されるとは夢にも思っていなかった。彼の目には怒りの色が浮かんだ。「深雪、俺たちはまだ離婚届を出してない。まだ夫婦だ。そんなふうに勿体ぶって、何のつもりだ？」彼女が望んでいたのはこれじゃなかったのか？くれてやったのに、なぜ不満そうなんだ？「最低！寧々にあんたのような父親がいるなんて、本当に不幸よ。出て行って、二度と私の前に現れないで！」深雪はようやく悟った。自分も寧々も、この男の目には人間として扱われていない。虫以下かもしれない。彼女は深く悲しんでいた。でも同時に、どこかで救われた思いもあった。亡くなった寧々が父親の醜い姿を見ずに済んだことを、心の奥で感謝していたのだ。「深雪、これは滅多にないチャンスだぞ。よく考えておけ」静雄は優雅に椅子に腰かけ、足を組みながら、前に立つ彼女を嘲るように見つめた。彼は確信していた。深雪がこの機会を本気で捨てるわけがないと。「這ってきて俺を喜ばせろ。そうすれば、また子どもをやる。今度は健康なやつをな」まるで施しでもするかのようなその傲慢な態度に、深雪は吐き気が込み上げた。寧々は亡くなったばかりだというのに、彼はもう次の子どものことを考えているなんて。娘の死や苦しみなど、彼にとってはどうでもいいことなのだ。なぜ？なぜ寧々が、こんな仕打ちを受けなければならなかったの？深雪の胸が痛んだ。まるで何かが少しずつ、剥ぎ取られていくよう

「もう大丈夫よ！」深雪は少し焦っていた。たかが剥離骨折で、休むほどのことじゃない。しかし延浩は彼女の言葉を無視し、抱き上げて慎重にベッドに寝かせた。「ゆっくり静養しなさい」彼は強引だが、優しさを失わなかった。数年前と変わらないようで、でもどこか少し違う気もした。なぜか、別れて何年も経つのに、二人の間には少しの距離感もなく、まるで息がぴったり合ったかのような不思議な感覚があった。「先に休んでて。食事を用意してくるよ」延浩は微笑み、部屋を出て行った。彼の背中を見つめながら、深雪の心にじんわりと温かさが広がっていった。その時、陽翔がドアを開けて入ってきた。彼は深雪の前に立ち、隠しきれない嫌悪感を顔に浮かべていた。「南、お前ほど下品な女は見たことがない。そんなに男が欲しいか？教えてやるさ。静雄兄はお前が産んだ小娘が病気だと前から知ってた。あの娘が不甲斐なくて不吉な存在だと思ってたから、無視してたんだ。あんな劣った子は元々この世にいるべきじゃない」陽翔の言葉は、まるで鋭い針のように深雪の心を深く刺した。深雪の心はすでにボロボロだったというのに、それでもなお、一層深く傷つけられた。彼女は深く息を吸い、奥歯を噛みしめた。「でたらめもいい加減にしなさい！」「南、自分を騙しても無駄だ。はっきり言ってやるが、静雄兄はお前が産んだあのクソガキなんて全然気にしてない。あの子の日記も、持ち物も、すべてゴミ箱に捨てられた。でも俺の姉さんは優しいから、拾ってやったんだ。もし恥ってものがわかるなら、姉さんにちょっかい出すな！」そう言うと、陽翔は自分のリュックを深雪に投げつけた。痛みなんて気にせず、深雪は急いでリュックを開け、中には寧々の日記帳があった。インクで汚れている部分もあり、ゴミ箱から拾ってきたことが明らかだった。深雪は静雄が子どもに冷淡だと知ってはいたが、ここまで冷酷無情だとは思わなかった。「寧々は無実よ。しかも彼の娘なの！どうして……」「どうしてって？もちろん静雄兄がお前にうんざりしてるから、お前が産んだ子も嫌いなんだ。南、お前ほど恥知らずな女は見たことがない。あんな恥知らずな真似をしなければ、お前の娘だって苦しまずに済んだはずだ」そう言い残すと、陽翔はそのまま立ち去った。これ

延浩はまさか、ただの普通の海外研修に行っただけで、こんなにも多くのことを逃してしまうとは思ってもみなかった。当時、彼が海外にいる間に彼女が結婚して子供を産んだと聞いたときは、本当に長い間、現実から逃げるように過ごしていた。あの時は自分の片思いだと思っていたが、今になって話を聞くと別の意味も感じ取れてきた。「もういい、今の君はとても疲れてるだろうから、まずは家に帰ってゆっくり休んで。体調が戻ったらまた来い。俺が直接会社に連れて行ってやるから」延浩はそっと彼女の頭を撫で、優しい声で言った。延浩の様子を見て、深雪の心には小さな希望の炎が灯ったように感じた。しかし、自分が好き勝手できる立場ではないことを、彼女は分かっていた。だから、その炎はすぐに消えていった。彼女は延浩に笑顔を返すだけで、そっと古びた自分の小さなマンションに戻った。ソファに座って、深雪は優しく微笑んだ。彼女はこの世界の一員で、静雄とは違う世界の人間だ。延浩とはもっと違う世界の人間なのだと感じていた。かつては偶然静雄と結婚し、寧々を産んだが、一瞬で全てを失った。今はまるで奇怪な夢を見ていたかのようで、すべてが終わり、元の生活に戻った。ただ、彼女は最初からずっと、一人きりだった。心に刺すような苦さを感じながら、深雪は修復した写真を取り出し、そっと両親の遺影のそばに置いた。写真の中の寧々は、今も輝くような笑顔をしているが、彼女の人生はすでに終わっていた。ゆっくり休もうと思った矢先、誰かがドアをノックした。深雪は苛立ちを覚え、ドアを開けると、人生で一番見たくなかった人物が立っていた。芽衣は遠慮なく入り込み、家の中を見回した後、淡々と言った。「まさかこんなボロ屋で育ったなんて。道理で、静雄にしがみつくわけね。相手が自分を想っていないと知りながら、それでも離れられないなんて、理由はこれなの？あなたみたいな落ちぶれた女が彼にふさわしいと思ってるの？もう3年松原夫人をやってるんだから、それで満足しなよ」芽衣は冷たい目で彼女を見て、軽蔑の色を隠さなかった。本当は深雪は言い返す気もなかったが、寧々の前で彼女があまりにも図々しい態度を取るのを見て、思わず口を開いた。「私が松原夫人やってた間、あんたはずっと愛人だったよね？なのに、よく私の前で胸

芽衣は彼の首に腕を回し、小声で言った。「私だって、あなたのためよ。もし彼女が小細工をして離婚届を出さなかったら、どうするの？静雄、私たちやっとここまで来たのよ。もうあなたを困らせたくないの」芽衣は話しながらまた泣き出した。「正直、私のやり方は正々堂々じゃないけど、本当にどうしようもなくて。あなたから離れたくないし、手放したくないの」泣き続けるうちに、芽衣は痙攣し、体が震え出した。これは鬱病の身体化症状だ。緊張になった静雄は、足を速めて、最速で病院へ向かった。すぐにトップクラスの専門医を呼び、芽衣の診察を受けさせた。「松原社長、浅野さんは最近情緒が非常に不安定です。鬱病が再発するおそれがあります。今はもう身体化症状も出ています。このままだと、昔の状態に戻ってしまうかもしれません。松原社長、何とか彼女の状態を安定させる方法を考えてください」医者は心配そうに静雄を見た。その言葉を聞くと、静雄の表情が変わった。芽衣の情緒不安定の理由は静雄が一番よく知っている。彼はすぐに大介に命じて、深雪を呼び出させた。二人はすでに離婚しているので、深雪は協力したくないのは明らかだった。大介は深雪の頑固な態度を見て、少し困った顔で言った。「社長の性格はあなたもよくご存じでしょう。行かないと、また騒ぎになるかもしれません」その通りだ。静雄は自分のことしか考えておらず、他人のことはあまり気にしていないタイプだ。本来、深雪は行くつもりはなかったが、株式譲渡契約書のことを思い出し、突然気が変わった。彼女は微笑み、淡々と答えた。「わかった、彼が私に会いたいなら、会ってやるわ。後悔しないといいけどね」深雪はもうこんな滅茶苦茶なことで心を痛めることはないと思っていた。しかし、医者たちが芽衣の周りを囲み、静雄の目に心配があふれているのを見ると、胸がぎゅっと痛んだ。寧々が病気になってから、注射のたびに涙を流していた。毎日たくさんの苦い薬を飲み、辛い時もずっと静雄のことを呟いていた。それなのに、静雄は全て知りながら無関心で、わざと寧々を無視していた。虐待と何が違うのか？あんな男は寧々の父親どころか、人間失格だ！「静雄、何の用？」深雪は一歩踏み出し、無表情で静雄を見た。「お前のせいで、芽衣の鬱病が悪化し

彼女は当初、静雄と結婚すれば安心できると思っていたが、まさか途中でこんな問題が起こるとは思ってもみなかった。芽衣は心の中で動揺した。松原グループが静雄の手にないと知っていたら、むしろ深雪を誘惑したほうがよかったと思った。今となっては、苦労して得たものがただのお飾りだけだったとは。静雄は眉をひそめながら、芽衣を見つめた。「芽衣、今はどう？」彼の声は優しかったが、目には疑問の色があった。いろいろな考えはあったが、芽衣はプロ意識を持って全ての思考を引っ込め、可哀想に静雄を見上げながら、小声で言った。「静雄、私は大丈夫。これからは深雪さんと喧嘩しないで。彼女は……言ったことをちゃんとやる人だから。私のために、あなたに多くのものを犠牲にしてほしくない」その言葉を聞いた途端、静雄の目つきは一気に和らいだ。目の前のか弱くて大人しい女性を見つめながら、心の中に心地よさが広がっていった。彼はこういう感覚が好きだ。自分の前で素直に従う女性が好きで、聞き分けのいい人が好みなのだ。一歩近づくと、静雄はそっと彼女を抱きしめ、柔らかい声で言った。「たとえ株があっても何になる？ここ数年、彼女は洗濯と料理しかできない。株を持ってても、会社なんて結局変わらないもんだ」静雄の目には、深雪はただの家事ロボットに過ぎず、本当の力などないと思っていた。会社で波乱を起こせるわけがないだろう。この数年の間、静雄は何かがおかしいと薄々感じていたため、すでに備えをしていた。もともと少し不安を感じていた芽衣だったが、その言葉を聞いた瞬間、彼の真意に気づいた。すると、彼への愛情はいっそう深まり、より誠実で情熱的なものへと変わっていった。彼女はそのまま静雄の腰に腕を回し、嗚咽しながら言った。「静雄、私、何もいらないの。ただ今みたいにあなたと一緒にいたい。あなたのそばにいたいだけなの」「馬鹿だな、俺たち今一緒にいるじゃないか？」静雄は満足そうに、芽衣の額にキスをした。深雪は病院を出て、瞳に強い決意を宿した。彼女は絶対に、あの屑の二人を許してはならない。寧々がこんなにも情けなく死んでいくのを見過ごせない！静雄が冷酷なら、なぜ彼女が馬鹿みたいに耐えなければならないのか。彼は芽衣が好きでしょ？二人は本物の愛でしょ？深雪は冷笑した。「松