静雄は怒りに身を焼かれ、芽衣の腕を乱暴につかむと、ほとんど引きずるようにして会場を後にした。芽衣の履くハイヒールがカツカツと慌ただしい音を立てるが、静雄の歩調にはまるで追いつけない。「静雄......少しゆっくりにして。足がすごく痛いの......」か細い声で訴えても、静雄は聞こえないふりをしたまま、一歩も速度を落とさない。顔色は凍りついたように陰り、近寄りがたいほどだった。芽衣は唇を噛みしめ、それ以上何も言えず、よろめきながら彼の背中を追うしかなかった。車に乗り込んだ瞬間、静雄は芽衣の手を乱暴に振り払った。芽衣はよろけ、危うく転びそうになった。手首には、掴まれた痛みがじんと残った。その拍子に目元が一気に赤くなり、涙が溜まった。縋るように静雄を見上げたが、彼は一瞥すらくれない。エンジンをかけ、アクセルを踏み込むと、スポーツカーは矢のように走り出した。車内の空気は息苦しいほど張り詰めていた。芽衣がそっと横目で見ると、静雄の横顔は固く引き締まり、氷のように冷たかった。こんな静雄、見たことがない。胸の奥に、不安がじわじわと広がっていった。猛スピードで走り続けた車は、やがて人けのない別荘の前で止まった。静雄はドアを開けるなり、振り返りもせず中へと駆け込んでいく。芽衣も慌てて後を追った。ハイヒールが床を打つ音が、静まり返った別荘の中でやけに耳につく。静雄は一直線に書斎へ入り、バンと乱暴に扉を閉めた。その大きな音に、芽衣の心臓は跳ね上がった。書斎の前に立ち尽くした芽衣はどうしていいかわからず、ただ身をすくめた。中は静まり返り、まるで静雄は消えてしまったかのようだ。芽衣は恐る恐る扉に近づき、そっとノックした。「静雄......怒らないで。私が悪かったの......」声をできるだけ柔らかくし、甘えるように謝った。「さっき私が悪かった。余計なこと言うべきじゃなかったの......」扉の外で響く芽衣の声は、今にも泣き出しそうだった。「静雄......気分が悪いのはわかる。でも、扉を開けて。少し話して......」だが、書斎の中からは何の返事もない。返ってくるのは沈黙だけだった。どれほどノックしても、声が枯れかけても中は無反応。芽衣の胸に、焦りと不安が積み重
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