「静雄、本当にすごいわ。こんなに早く南商事の内情を掴んで、しかも買収まで進めるなんて......すごい」芽衣は心から感服したような口調で言い、瞳には感服の色が浮かんでいた。その言葉を聞き、静雄はわずかに口角を上げ、得意げな視線を向けた。「当然だろう。深雪の小細工なんて、俺の前では通用しないぞ」芽衣は内心で笑った。完全に舞い上がってる。彼女はさらに追い打ちをかけた。「ほんとよ。深雪なんて、何様のつもりなのかしら。静雄と並べて語ること自体、おこがましいわ。あなたの元を離れた時点で、彼女は何者でもない。今さら結局、あなたに買ってもらおうとしてるじゃない」露骨に深雪を貶めて、静雄を持ち上げた。静雄はそれに応じることなく、短く言った。「もういい。先に部屋へ戻って」芽衣は一瞬驚いたが、素直に頷き、その場を後にした。松原商事・社長室。静雄は机の向こうに座り、前に並ぶ弁護士団を見据えていた。その表情は、先ほどまでの余裕が嘘のように厳しくなっていた。「南商事への買収意向書は、正式に提出したか?」「はい、社長。ご指示どおり、本日午前中に南商事へ送りました」代表弁護士が恭しく答えた。「......深雪の反応は?」静雄の声には、期待と同時に、わずかな焦りが混じっていた。弁護士は一瞬言葉を選び、慎重に口を開いた。「...... 少し、迷われているようです」「迷っている?」静雄の眉がきつく寄った。「今の南商事の状況が分からないはずがない。何を迷う必要がある?」「明確な拒否ではありません。ただ......重大な案件なので、検討する時間がほしいとのことです」静雄は鼻で笑い、指先で机を叩いた。鈍い音が、室内に響いた。「考える?ただの時間稼ぎだ。値を吊り上げるつもりだろう」その瞳には、露骨な軽蔑が浮かんだ。「伝えておけ。松原商事の忍耐にも限度がある。本気で協力する気があるなら、誠意を見せろ。駆け引きなど、俺には通用しないとな」脅しにも似た口調だった。「承知しました。その旨、南商事へお伝えします」弁護士団は一斉に頭を下げ、退室していった。南商事・社長室。深雪は椅子に腰掛け、手にした買収意向書を指先でなぞっていた。唇には、かすかな嘲笑が浮かんだ。そばに
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