深雪は顔を上げ、静かな目で言った。「分かったわ。静雄はやっぱり落ち着いていられなかったのね」大介は続けた。「松原家の資金繰りはすでに逼迫しています。複数のプロジェクトが赤字に転落し、静雄さんは資金をかき集めて何とか状況を保とうとしています」深雪の唇がわずかに上がり、冷ややかな笑みが浮かんだ。「資金を調達?どれだけ集められるのかしら。松原家の資金なんて、とっくに彼が使い潰しているのに」「これからどう動きますか?」大介が慎重に尋ねた。深雪は目を細め、興味深そうに言った。「予定通り進めるわ。静雄の資金の穴をもっと大きくして、完全に立ち直れないところまで追い込む」「承知しました」大介の目にも期待の色が宿っていた。深雪は彼を見つめ、含みのある声で言った。「大介、このところ本当に頑張ってくれているわ。松原家の動きは、これからもあなたに頼ることになる」大介は慌てて首を振った。「そんな......これが私の務めです。お力になれることは光栄です」深雪は微笑み、再び書類へ視線を落とした。大介が退室すると、深雪は手を止め、スマホを取り上げて延浩に電話をかけた。「延浩、松原家の財務状況は、私が想像していた以上にひどいわ」「こちらにも情報が入った。静雄は松原商事を救うために、松原家の資金をかなり引き抜いている」と電話の向こうで延浩が答えた。「焦っている証拠ね」深雪の声には皮肉が混じっていた。延浩は軽く笑った。「いいね。焦れば焦るほど、隙が増える」「次はどう動くべき?」深雪が聞いた。延浩は少し考え、提案した。「今の松原家は自分のことで手一杯だ。動くなら今が絶好の機会だ。このタイミングで、松原家の散らばった株を秘密裏に買い集めておこう。将来のために」深雪の目が輝いた。「株の買収?つまり......」延浩は説明を続けた。「松原家の株は分散していて、松原家以外にも多くの株主がいる。その散らばった株を少しずつ買い集めれば、いずれ大きな力になる。十分な株を握れば、将来の取締役会で発言権を持てる。最終的には、松原家の支配権を奪うことも可能だ」深雪はしばらく考え、うなずいた。「いいわね。確かにリスクも低い。ただ、資金が必要だし、静雄に気づかれないよう慎重に動かないと」
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