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第610話

Author: 木憐青
静雄はますます確信した。

芽衣との生活は混乱と疲労ばかりで、本当に自分にふさわしい女性は深雪だと。

彼はスマホを取り上げ、大介に電話をかけた。

「大介、今すぐ指輪を選んできてくれ。一番高くて、俺の気持ちを一番よく表せるものでいい」

静雄の声には、どこか浮き立つような色があった。

大介は一瞬驚き、戸惑いながら尋ねた。

「指輪......ですか?どなたに送りましょうか?」

「もちろん彼女への贈り物だ」

静雄は意味深に笑った。

「余計なことは聞かなくていい」

大介は疑問を抱きつつも、すぐに返事をした。

「承知しました。すぐに手配します」

電話を切った大介は、その足で深雪に報告した。

「社長が指輪を買うようにと......おそらく、深雪さんに贈るつもりかと」

深雪は眉を上げ、口元に薄い笑みを浮かべた。

「指輪?」

そして、ふっと笑った。

「いいわ。彼が贈りたいなら贈らせればいい。ちょうど利用できるわ」

その瞳には、鋭い光が宿っていた。

「大介、こうしてちょうだい......」

深雪が小声で指示すると、大介もまた意味深に微笑んだ。

「承知しました」

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