Semua Bab 夏目さん、死なないで！ 社長のアプローチが始まった！: Bab 261 - Bab 270

翌日。聖天が病室を出た後、輝はすぐに凛に一枚の紙切れを渡した。「姉さん、昨晩、一晩中考えたんだけど、せっかく姉さんに頼まれたんだし、断るわけにはいかないと思って。これがおばあさんの連絡先。会って話すにしても、電話で話すにしても、姉さんの好きにしていいよ。でも......」輝は少し間を置いて言った。「くれぐれも、他のことはしないでくれよ」「安心して」凛は紙切れを握りしめ、輝に微笑んで言った。「私が輝を陥れるはずないでしょ？」「......」輝は何も言わなかったが、心の中では板挟みになっている苦しさを感じていた。二重スパイは楽な役目ではない。......午後、聖天はリビングでテレ

5日後は大晦日。輝は北都へ戻ったが、聖天は相変わらず凛の傍にいた。凛は一日中眠り続け、目を覚ますと、病室には薄暗い明かりが灯っているだけで、窓の外は深い夜だった。急に不安に襲われ、凛は「霧島さん......」と何度か呼んだ。聖天ではなく、二人の黒服の男が現れた。凛の表情が曇った。「あなたたちは誰？」「夏目さん、恐れることはありません。私たちは雪様に頼まれて、あなたを病院から連れ出すために来ました」男の一人が車椅子を押しながら言った。「時間がないので、すぐに一緒に出発しましょう」「霧島さんは？」凛は思わず尋ねた。「雪様が聖天様を引き止めていますが、いつまで持ちこたえられるかわかり

凛は1時間以上待って、ようやく雪がやって来た。雪は険しい顔で部屋に入ってきて、「どうしてあなたは煌と一緒に行かないの？聖天と付き合い始めて、まだそんなに経っていないのに、もう心変わりしたの？」と言った。「それとも......」雪は凛に近づき、冷たく言った。「聖天が公の場であなたに告白したからといって、あなたが彼の女になれると思わないで。言っておくけど、霧島家は、誰でも入れるようなところじゃないんだから！」またしても聖天の告白の話を聞き、凛は困惑した。「あなたたちが言っている告白って何のことですか？」雪は驚いた。「世界中の人が知っているのよ？とぼけないで、あなたは......」「みん

全員の視線の中、聖天は指輪を取り出し、凛の左手の薬指にはめた。雪が最初に我に返り、何も考えずに怒鳴った。「聖天、正気なの？」死にかけの女にプロポーズして、一生を棒に振るつもりなのか？聖天は立ち上がり、ゆっくりと言った。「今ほど自分がはっきりしていると感じたことはない」凛が泣き崩れて、死にたいと言ったあの夜、彼は生まれて初めて、これほどまでに混乱した。あの瞬間、彼は決意した。生死を問わず、彼女と結婚すると。「この前、彼女が母さんに連絡を取ったのは、彼女を連れ出してほしいと頼むためだったんだろう？」聖天は雪を見つめた。その眼差しは静かで、まるで盤上の駒を全て操る熟練の棋士のようだった

「それは俺も分かりません」礼は肩をすくめた。「あなたがここに来た時、すでに指輪は嵌められていました」「......」凛は眉をひそめた。もしかして、煌がはめたのだろうか？最悪。凛は指輪を外し、窓から投げ捨てようとしたが、礼に奪われた。「夏目さん、この指輪はきっと高価なものでしょう。どうして捨てるんですか？」「私には必要ないです」礼がそんなに大事そうにしているので、凛は「黒木先生が気に入ったなら、差し上げます」と言った。「え？」礼は驚き、複雑な表情をした。これは聖天が送った婚約指輪だ。自分がもらってしまっていいのだろうか？「もらうわけにはいきません。こんな高価なものを受け取れ