凛は達彦に付き添いながら、小声で尋ねた。「達彦さん、水谷監督は来ないのですか?」「来てどうするんだ?」達彦は軽く鼻を鳴らした。「彼が来たら、凛の手柄を全部持って行ってしまうだろう。そしたら記者がどんな記事を書くか、分かったもんじゃない」「彼も今回のショートムービーの撮影に参加していました......」凛は少し間を置いてから続けた。「私だけが良い思いをするわけにはいきません。水谷監督の名前も残すべきだと思います」「最初から彼は、撮影に参加したことを公にしたくなかったんだ。少しアドバイスしたくらいで、名前を出す必要はないだろう?」達彦は凛を見て、諭すように言った。「彼の立場では、名前を出し
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