彼は震える手で一枚ずつ写真をめくっていった。どの写真にも、自分の顔がはっきりと写っていて――否定のしようがなかった。すべての写真を取り除いたその下には、今まで隠れていた五文字が、ついにその姿を現した。――離婚協議書。離婚?その二文字を見た瞬間、誠士の脳内は完全に真っ白になった。ただ一つ、確かにわかることがある。離婚なんて――絶対に嫌だ。ゆいがいないなんて――考えられない。自分は、離婚に同意なんて――していない!誠士は二階中を探し回った。でも、ゆいの姿はどこにもなかった。それだけじゃない。部屋には彼女の荷物が、すべて跡形もなく消えていた。ふたりの思い出を詰め込んだものも、何ひとつ残っていなかった。心に広がっていく不安が、どんどん膨らんでいく。彼は慌てて階下へ降り、執事の元へ向かって叫んだ。「全員を集めろ、今すぐだ」必死に感情を押し殺しながら、一人一人に問いただしていく。「誰か……今日の午後、ゆいがどこへ行ったか、見てないか?」呼び出された使用人たちは顔を見合わせ、しばらく黙り込んだあと、互いの目を探るように視線を交わした。でも、誰ひとりとして見ていなかった。いや、それどころか――彼女がこの家を出たことすら気づいていなかった。その無関心な態度に、彼の怒りは一気に爆発する。「出てけ……!全員、今すぐ消えろ!!」怒声が響き渡った瞬間、使用人たちは我先にと姿を消し、あっという間にリビングには彼ひとりだけが残された。怒りで理性は焼き尽くされ、頭の中は「ゆいを見つけなきゃ」その一点だけ。だけど、焦りすぎていた。スマホを取り出そうとした手は震えていて、まともに握ることすらできない。何度も落としかけ、そのたびにぐっと歯を食いしばった。ゆいの番号を手に入れたその日から、彼女の連絡先はずっと一番上にピン留めされていた。だから今も、動揺で手元がおぼつかない中でも、誠士は迷わずその番号に指を滑らせた。……だが、長い呼び出し音の末に返ってきたのは、ゆいの声ではなかった。「ただいま電話に出ることができません」機械的なアナウンスに、一瞬彼は固まった。信じたくなくて、慌てて切ってもう一度かけ直す。けれど――またも同じ音声が返ってくる。――まさか、ブロックされた?その可能
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