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第19話

Auteur: 風待
二人の言い合いの中で、少しでもゆいの表情に不安が滲んだなら――

テオドールは、何も言わず彼女の手を引き、すぐにその場から連れ去っていただろう。

彼にとって、目の前の男――ゆいの過去に関わった誰かの言葉なんて、どうでもよかった。

「……ゆい。どうか、今回だけは許してくれないか?」

誠士の声は、かつてないほど必死だった。

「オレ、本当に反省してる。絶対にもう同じことはしない。すみれとは、もう完全に関係を切った。会社からも追い出した。だから……もう怒らないで。お願いだ。家に帰ろう、一緒に――」

その一言一言は、きっと彼なりの精一杯だった。

知らない人が見たら、きっと「そんなに後悔してるなら許してあげたら」と言うかもしれない。

――でも、テオドールだけは違った。

言葉こそ全部は理解できなかったけれど、「離婚していない」「許してほしい」「一緒に帰ろう」――そんなキーワードが、彼の耳にもはっきりと届いていた。

そして、瞬時に状況を把握した。

目の前で「涙を浮かべて懺悔している」男の正体。

――浮気しておいて、今さら許しを乞う、典型的なクズ。

テオドールは冷ややかな目を誠士
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