久しぶりに心ゆくまで羽目を外した汐音は、パジャマパーティーで何杯もの酒を飲んでいた。その後の枕投げ大会でも大いに盛り上がり、彼女のテンションは最高潮に達した。猫を見かけただけで、話しかけずにはいられないほどだった。そのハイな気分は、パーティーが終わっても冷めることなく、酔いつぶれた隣人ふたりを家まで送り届けたあとも、汐音は鼻歌を口ずさみながらご機嫌に帰路についた。遠くから、自宅の前に誰かの人影がぼんやりと見えた。手には箱のようなものを持っている。こんな夜更けに——彼女の誕生日ももう終わったというのに、誰が来たというのか?近づいてその顔を確認した瞬間、汐音の表情は一変した。笑顔が消え、声も冷たくなった。「何しに来たの?」彼女の態度の変化を察した舟真は、目に見えぬ痛みを抱えたような表情を浮かべ、かすれた声で言った。「汐音、誕生日おめでとう」汐音は返事をしなかった。目も合わせずに玄関の鍵を開け、そのまま中に入ろうとする。彼女が聞こえていないのだと思ったのか、舟真は再び彼女の名前を呼び、声を少しだけ大きくした。「汐音、これ、誕生日プレゼントなんだ。受け取ってほしい」彼の声はリビングにまで届き、中から汐音の母の声が響いてきた。「誰かしら?汐音、もう帰ってきたの?」汐音は両親に知られたくなくて、慌てて返事をした。「私よ、ちょっと外の空気を吸ってるだけ。すぐ戻るから」そう答えると、彼女はようやく舟真を振り返り、きっぱりとした口調で言った。「いらない」舟真の目から光が消えていった。それでも彼は、無理に笑顔を作り、説得を続けようとした。「君に嫌われているのはわかってる。でも前に約束したんだ。これからは毎年、君の誕生日にプレゼントを贈るって。それを破りたくなかった。お願いだから、これだけでも受け取ってくれ」そう言って、彼は手にしていた箱の蓋を開けた。中には、煌びやかな宝石のネックレスが入っていた。その瞬間、汐音の脳裏に、ある記憶が蘇った。あれは16歳の誕生日。両親からネックレスを贈られた年だった。そのとき、舟真がそれを見て驚き、自分の家にも似たデザインの「家宝のネックレス」があると言っていた。彼女が信じていない様子を見て、わざわざ家に取りに帰り、得意げにこう言った。「うちのは、君のよ
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