「やっと……私たちの関係、世間に明かすつもりなの?」御影舟真(みかげ しゅうま)は眉をひそめ、彼女を横目で見てふっと笑った。「何を明かすんだよ?明日、うちでお見合いなんだ。お前は場を和ませる役。相手に気を遣わせないようにな」その一言一句が、雷のように朝霧汐音(あさぎり しおん)の耳に落ちた。心臓が止まりそうになるほどの衝撃。脳が真っ白になった。「お見合い?じゃあ、私は何?」舟真はすでに服を身につけながら、彼女の方をちらりと見て、怠そうに言った。「お前?お前は俺のいろんな『相棒』だろ。食事の相棒、ゲームの相棒……あと、性欲処理のベッドの相棒」その言葉に、汐音の身体は冷たくなっていく。顔からは血の気が引き、唇が小刻みに震えた。そんな彼女の表情を見た舟真は、冗談めいた笑みを浮かべたまま、顔を近づけた。「まさか、汐音、お前、俺たちが恋人同士だとでも思ってたのか?」その軽い口調が、鋭い刃のように汐音の心を貫いた。 鼻の奥がつんと痛んだが、必死にこらえて微笑みを作った。「そんなわけ、ないじゃん……ちょっと、シャワー浴びてくるね」汐音はふらふらと立ち上がり、足元のおぼつかないまま浴室へと消えていった。扉を閉めた瞬間、全身から力が抜けて、その場に崩れ落ちた。舟真の言葉が、耳の奥にこびりついて、何度も何度も胸を締めつけた。彼に刻まれた無数の痕跡を見つめながら、涙が止まらなくなった。二人は、二十年以上の付き合いだった。同じミルクを飲み、同じ漫画を読み、同じ夢を語った。十八の夜、酔った勢いで一度身体を重ねてしまってから──それから先は、何度も、何度も……終わりなんて来なかった。夜はただひたすらに身体を重ね、昼は何食わぬ顔で恋人のように手を繋ぎ歩き、年越しには当たり前のようにキスをして、毎晩、眠るまで他愛のない話を電話で交わしていた。汐音は信じていた。私たちはもう付き合ってる、ただ公表していないだけだと。でも舟真はそうではなかった。彼の一言で、汐音の世界は崩れ落ちた。喉の奥から嗚咽が漏れそうになり、水を最大に出してやっと声を上げて泣くことができた。どれだけ泣いたか分からない。ようやく涙が枯れた頃、気持ちを整えて浴室を出ると、舟真はすでに服を着てソファで電話をしていた。「明日は人数多いから、大きめの個室。相手はあっさ
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