浩賢は、本当に義理堅い人だ。私のことを気遣ってくれるだけでなく、私の家族に対してもあれほど辛抱強い。おじの言動が少し唐突だと分かっていながら、彼はまったく気にする様子もなく、あれほど真剣に答えてくれた。けれど、私は勘違いなどしていない。浩賢が口にした「好き」は、男女のそれではなく、友人としての好意だということを、私ははっきり理解している。浩賢は私を大切な友人だと思っている。だからこそ、私が傷ついたり、辛い思いをするのを見ていられず、必死に寄り添い、少しでも元気づけようとしてくれているのだ。「おじさん、もういいから。藤原先生を仕事に行かせてあげて」私はおじの言葉を遮った。浩賢と一緒に病室を出たあと、私は感謝と謝罪を伝えた。「ありがとう、藤原先生。……それに、ごめん。おじは、言い方がストレートすぎて。気にしないでね……」「どうして気にするの?回りくどいのは苦手なんだからさ、はっきり言う人のほうが好きだよ」浩賢は私の言葉を途中で遮り、こちらを見た。黒い瞳の奥に、きらりとした光が宿っている。「おじさんの言葉、ちゃんと胸に留めた。さっき言ったことも、全部本心だよ」「……え?」私は思わず言葉を失った。心臓が一拍、止まったかと思うと、次の瞬間には急に鼓動が速くなる。彼のきらきらとした瞳を見つめたまま、何を言えばいいのか分からなかった。ちょうどそのとき、エレベーターが五階に到着した。我に返った私は、逃げるように足早に降り、まっすぐ麻酔科のオフィスへと向かった。歩くのが速すぎたうえ、心に引っかかるものがあって前をよく見ていなかった私は、思いきり人とぶつかってしまった。「水辺先生、大丈夫?」幸い、相手は桜井だった。彼女は体勢を立て直しながら私の腕を支え、眉をひそめる。「……顔、どうしてそんなに赤いの?」「え?そう?……さっきちょっと急いで歩いただけだと思う」私は頬に触れ、少し熱を感じながらも、何事もないように答えた。「てっきり誰かに告白でもされて、恥ずかしくなってるのかと思ったよ」桜井が冗談めかして言った。理由もなく、また顔が熱くなった。「そんなことないよ」「でも水辺先生は、私たち麻酔科で目立つ存在だからね。綺麗で優秀だし、告白されるのも日常茶飯事でしょう?」桜井はにこにこ笑い、私の腕を引いて声を潜めた。「そうだ、ゴシップなん
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