尚吾は寛貴の前に歩み寄り、彼を見下ろして言った。「解雇おめでとう。これからは自由の身だ。誰かのために命を懸ける必要はない。ただ自分のために生きろ」真依も尚吾のこの言葉に心を動かされた。寛貴は解雇がこんなに幸せなことだとは初めて知った。彼は喉が上下に動き、しばらくして片膝をつき、尚吾に向かって言った。「瀬名社長、ありがとうございます。あなたについてきたこの何年間、私はとても光栄でした。生きる意味も見つけられましたし、命が輝かしいものであり、大切にすべきものだと分かりました」尚吾は彼の頭をポンと叩いた。「うん。寛貴、お前は生きる意味がないなどと考えるべきではない。お前がしたことは、俺たちの
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