All Chapters of 元怪盗令嬢【レッドニードル】レイシャは世界を変革す: Chapter 11 - Chapter 12

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第11話 紫色のヘリオトロープ

 ……しばらく会話して分かった事がある。 第一王子のラデーニはこのイッカ国の正式な跡取りで、絵に描いたような若き王であるという事。 IQ・EQ等能力などは他の世界の王と比較すると、平均よりちょい上と言ったとこだろう。 性格は温和そうではあるんで、国の民視点としては安泰といったところか。 対して王妃はずっと黙っているので情報はくみ取れず、性格等正直よく分からない。(分かっているのは辛抱強いという事、それにもの凄く賢しこそう) 理由としてはなんというか温和そうで気品があるし、ベラベラ余計な事を喋ったりしないから。 更には一国の王女となると、権力持ちになり多少なりとも気が大きくなるもの。 が、この方からはそんな気配は微塵とも感じとれないのだ。  ちなみに王女のラグシカの姓、このイッカ国の弱小貴族らしいので事前に耳に入れておいた政略結婚説は濃厚である。(この方、もしかしたら誰か別に好きな人がいるんじゃ?) というのも、やや悲壮感漂う雰囲気がアレニー王妃から見え隠れしている。(小次狼さんはどう思う?) 私は、出入口付近で静かに立ったまま佇んでいる小次狼さんに、静かに秘密のジェスチャーとアイコンタクトを送る。 すると、小次狼さんはそうだと言わんばかりに深く頷く。 ちな、今回は小次狼さんは私のサポート役なんで、見張りも含めて出入口付近に待機して貰っているわけです。 これらの役割なんだけど会話の相性次第で当然変わるわけです、ハイ。「あ、では頼まれていたアクセサリーをお渡ししたいのですが、よろしいでしょうか?」 「ああ、これは気が付かなくて申し訳ない。えっと、出来たら詳しい説明を含めよろしくお願いしたいかな」「ええ、かしこまりました……」 私は営業スマイルと共に軽く会釈し、懐から取り出した宝石入れの装飾小箱をテーブルにそっと置く。 対してラデーニ王子も説明を聞く為に、私の対面に移動し腰かける。「ええっ! なにこれ……。凄い……」 すると驚いた事に、今まで反応が薄かったアレニー王妃が急ぎ足でこちらに向い、ラデーニ王子の横に腰かけたのだ。(ええ? なにこの反応? うーん、ま、まあ女性だからね?) うっとりとした恍惚の表情で宝石入れの装飾小箱を見つめるアレニー王妃……。 ちなみにこの宝石入れの小箱、片手で掴める大きさでかつ金の装飾が施さ
last updateLast Updated : 2025-05-19
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第12話 犯人のリサーチと対策

 【紫色のヘリオトロープ】は私が昔所属していた怪盗組織【エターナルアザー】が怪盗予告に必ず使う贈り物の花だったのだ!(うーん、これは非常にまずいことになったなあ……) 回廊にて、立ち尽くした私は思わず海より深いため息をついてしまう。(こうしてはいられない!)「あの【紫色のヘリオトロープ】、間違いないわ!」「ふむ、確かヘリオトロープの花言葉は渾身的な愛じゃったかの?」 私達は時間が惜しいため最低限の会話をしながら、回廊を駆け足で進み、目的である騎士団長の部屋まで向かっていく。「そう、贈り物としては別におかしくはないんだけど」「成程、裏言葉か……。えっと確か、夢中とか熱望の意味じゃったかな……」 そう、小次狼さんの言う通り花言葉には裏言葉もあるのだ。「……今気が付いたんじゃが、あの花の色嬢ちゃんの髪の色にそっくりじゃがたまたまかの?」「えっ! うん、そうじゃないかな?」 小次狼さんの鋭い指摘に少し狼狽える私。 そのせいか、私の走っているスピードが少し上がったのが自身でも分る。「……儂は怪盗組織【エターナルアザー】の内部は詳しくはないが、遥か大昔は怪盗予告は出してなかったと聞くが……はて?」 その私に追いつくように、私の顔を覗き込みながら駆け足のスピードを上げる小次狼さん。「……す、すいません。あの怪盗予告、私が幹部になって作ったルールなんです……」「そうか、逆算すると丁度100年前くらいからじゃったし、そんな感じがしたんじゃよな」 目を泳がせながら、しどろもどろに話す私に対し、小次狼さんは腹を抱え豪快に大爆笑していた。(この感じ、やはりバレてましたか……) そう、組織の幹部試験を無事? 通過した私はほど
last updateLast Updated : 2025-05-20
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