◻︎楽しい旅路 よく旅行に行ってた。車で色々なところを走り、新鮮さを感じながら感性を磨いていた。 旅は心を磨く、そして感受性も豊になる。だからこの一瞬一瞬を大切にしない。 いつも同じ言葉を呟く彼を横目で見ながら、クスリと微笑んだ。 子供じゃないんだからさ、一度で分かるよ、子供扱いして、なんて思いながら、この空間を満喫している自分がいる。凄く温かくて、なんだか落ち着く。変なのよ、頬が緩んで『かわいい』なんて思いながら、笑っているあたし。 『そんな笑う事か?』 彼は少しふくれっつらをして、聞いてくる。 勿論あたしはいつもと同じ答えを言葉にするの。「かわいい」 かわいい、なんて言われて嬉しいのかというと、微妙みたい。 そんな毎回の旅行も楽しい時間、ひと時なの。 『飲み物買ってくる。お前いる?』「うん」 『待ってろよ』「はーい」 ちゃんと素直さをアピールして安心させると、あたしを車に残し、遠のいていく。 それを見ていたかのように、二人の人物があたしの前に現れ、窓をコンコンとノックする。 いつもと同じパターンだ、これ……。そう思いながらも、ついつい演じてしまう自分がいて、怖い。 『ねぇ|ぼく《・・》どこから来たの?』 綺麗なロングヘアーが似合う、見た目大学生らしき女性二人組。 いっつも、そうだ。この繰り返し。もう慣れた。いつもの事だから。 そう思いながらも、内心は『またかよ……めんどくせ』なんて毒を吐きながら、暴走している。 まぁ、そんなあたしの心の言葉なんて興味がないだろうから、話の続きをしようか。 『ねぇ。シカトしないで。お姉さん悲しい』 車の窓が少し開いているので、自らの事をお姉さんと言う、この人の声が耳で木魂する。 どう説明しようかと
Huling Na-update : 2025-06-03 Magbasa pa